犬のアレルギー症状一覧とは? 主な原因や対策/対処法も徹底解説

最終更新日:2024年07月09日

本コンテンツは獣医師2名による確認を行い、制作をしております。

前提として、犬(わんちゃん)のアレルギーとは?

今では2人に1人が発症する国民病の花粉症ですが、これは花粉をアレルゲンとする季節性アレルギー疾患の総称ということは多くの方がご存じだと思います。では、人間と同様に犬もアレルギーによって様々な病気が引き起こされる場合があるということを知っていますか?

犬のアレルギーでは主に以下の症状が見られることが多いといわれています。

  • 皮膚炎
  • 下痢
  • 嘔吐

もし、愛犬に特定のタイミングでこれらの症状が見られた場合はアレルギーの可能性が疑われるため注意が必要となります。

愛犬がアレルギーなのか見分ける方法は?

そもそもアレルギー症状とは病気を引き起こす異物であるウイルスや細菌などから体を守る仕組みである「免疫」という仕組みが、ある特定の異物に対して過剰に反応することで引き起こされることをいいます。

よって愛犬が「春のみといった特定の季節」や「ある特定のフードを食べたとき」さらには「特定のお部屋に入った瞬間」などのように症状が見られるタイミングが限られているならばアレルギーが疑われるため、動物病院への通院をおすすめします。

犬アレルギーの主な症状一覧とは?対処法も徹底ガイド

同じ花粉症でも人によっては鼻水がひどかったり眼が異常にかゆくなったりなどの違いがあるように、犬におけるアレルギーにも様々な症状が起こることが知られています。ここからは、特に犬に多いアレルギー症状についてご紹介していくので参考にしてみてくださいね。

犬アトピー性皮膚炎

ハウスダストやホコリ、花粉などの環境中に存在する何かしらの物質がアレルゲンとなることで主に耳、眼の周り、口の周り、足先、肉球の間、脇の下に痒みを起こす皮膚疾患を「犬アトピー性皮膚炎」といいます。

皮膚のバリア機能が先天的に弱いことでアレルゲンが皮膚から体の中に入りやすいことが原因の一つと考えられており、犬種でいうと柴犬やシー・ズー、ボストン・テリア、フレンチ・ブルドッグなどに多いともいわれています。

ノミアレルギー性皮膚炎

犬に寄生する外部寄生虫の1つであるノミが犬の血を吸う時にノミの唾液が犬の皮膚に入ることで、この唾液に含まれる「パプテン」というタンパク質に対してアレルギー反応が起こる皮膚疾患を「ノミアレルギー性皮膚炎」といいます。

全身の強いかゆみやしっぽ、腰の背部、足の付け根、後ろ足、腹部の脱毛、赤み、発疹といった症状が出やすいことが特徴的です。かゆみがとても激しいため、犬がかきむしったことで皮膚が傷ついて炎症が起こり、細菌などの二次感染が起こる場合もあります。

マラセチア皮膚炎

健康な犬の皮膚にも常在している「マラセチア」という真菌が何かしらの原因による異常に増殖することで、耳の中や口の周り、顔、内股、指の間などにアレルギーによる炎症が起こる皮膚疾患を「マラセチア皮膚炎」といいます。

マラセチアが増殖する理由としては基礎疾患による免疫機能の低下や皮脂の増加などがあり、犬種としてはシー・ズーやアメリカン・コッカー・スパニエルやウェスト・ハイランド・ホワイト・テリア、フレンチ・ブルドッグなどに多いといわれています。

食物アレルギー

鶏肉や牛肉、豚肉、穀物などの特定の食べ物に対して過剰に免疫反応が起こることで見られる症状を「食物アレルギー」といいます。

症状としては目や口、耳の周辺、足先、尻尾などでの強いかゆみに加えて、60%の犬においては下痢や嘔吐などの消化器症状も見られるといわれています。人間の食物アレルギーでは食べてからすぐに症状が起こりますが、犬の場合は数時間以上経ってから症状が出ることが多いため注意が必要となります。

犬のアレルギーが出やすいと言われる原因は?

犬においてアレルギー症状が見られる主な原因には以下のものを挙げることができます。

  • 特定の食べ物などに対して免疫が過剰に反応してしまう個体差
  • ノミダニ予防を適切に行なっていない

この中で、犬種特異性や個体差によるアレルギーの予防は難しいですが、それ以外の原因は飼い主さんによって除外することができるため、愛犬のためにも適切に対策を行ってあげましょう。

犬のアレルギー症状を予防する対策とは?

犬のアレルギーの中で、最も予防を行いやすいものは「ノミアレルギー性皮膚炎」となります。室内飼いだからといってノミ予防を行わない飼い主さんもいるかもしれませんが、家の中でもノミは生息することはできますし、散歩の間にノミが寄生することも考えられます。かかりつけの獣医師と相談して愛犬に合った適切な予防薬を投与するようにしましょう。

また、定期的なシャンプーなども犬の体に付着するアレルゲンを減らす有効な対策となります。

他にアレルゲンを検査したうえで、生活環境からアレルゲンを排除することはとても有意義です。アレルギー用の除去食や、植物にアレルギー反応を示す場合はお散歩コースの見直しなども対策になる可能性が高いです。

愛犬がアレルギーになった時の対処法

もし、愛犬がアレルギーになってしまった時には適切な対処が必要となります。少しでも疑われる症状が見られたらまずは動物病院を受診するようにしましょう。

最後に受診してアレルギーと診断された場合に、飼い主さんによって行うことのできる対処法をご紹介していきます。

ノミ/ダニの駆除薬を投与してあげる

「ノミアレルギー性皮膚炎」を予防する対策として「ノミ予防薬の投与」をご紹介しましたが、ノミ予防薬は駆除薬としても使用することができます。

駆除薬の種類として皮膚に滴下するスポットオンタイプや経口タイプなどが存在し、また予防・駆除することができる寄生虫の種類や投与を行う頻度も製品によって異なるため、必ず獣医師に相談の上、愛犬に合ったものを処方してもらうようにしましょう。

こまめにシャンプーをしてあげる

予防策としてアレルゲンを減らすための定期的なシャンプーをご紹介しましたが、治療としてもシャンプー療法は有効な場合があります。特にマラセチア性皮膚炎では治療効果が非常に高く、動物病院で処方される抗真菌効果のあるシャンプー剤で獣医師に指示された頻度でシャンプーを行うことは一般的な治療法となります。

他にも皮膚のコンディションを良くすることで、皮膚炎を起こしにくく、健常な皮膚バリアを作ることが期待できます。また、犬アトピー性皮膚炎でも皮膚の乾燥を防ぐために保湿成分を含んだ刺激性の少ないシャンプー剤でシャンプーを行うこともあります。

アレルゲン食材を徹底的に避ける

愛犬が特定の食べ物にアレルギーを起こす食物アレルギーであると確定した場合は徹底的にアレルゲンとなる食材を避ける必要があります。

ドッグフードのパッケージには同じ生産工程で取り扱った食材までは記載されていないため、飼い主さん自身でフードを選ぶことは難しい場合が多く「食事療法」として獣医師の選んだ療法食を継続して与える必要があります。

愛犬がフードに飽きたり、おやつを欲しがったりする場合に備えて与えても良い食べ物を予め獣医師に確認しておくこともおすすめです。

部屋の空気環境をキレイに保つ

ハウスダストやホコリ、花粉などが環境アレルゲンとなる「犬アトピー性皮膚炎」は原因を特定することや完璧に取り除くことは難しいため、アレルギー反応を抑える薬による対症療法が一般的な治療法となります。

また、対症療法以外にも空気清浄機などの使用や部屋をこまめに掃除するなどによって環境アレルゲンを減らすことも有効と考えられています。さらには愛犬がよく使用する部屋の床をカーペットではなく掃除をしやすいフローリングなどに替えてみるのもおすすめです。ただ、滑り止めなどの対策は行ってくださいね。

まとめ

犬のアレルギーでは主に皮膚炎や下痢、嘔吐などの症状が見られることが多く、また原因としては環境アレルゲンやノミやヒゼンダニといった外部寄生虫、常在菌のマラセチア、特定の食べ物などが挙げられます。

適切なシャンプーやノミダニ予防などで対策することができる場合もあるため、気になる症状が愛犬に起きたら様子を見るのではなく動物病院に相談するようにしましょう。

犬種別の保険料

  • 純血犬は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。犬種の区分については、「犬種分類表」をご確認ください。
  • ミックス犬の保険料は、年齢と体重により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類します。詳しくは、「犬種分類表」の「ミックス犬」の欄をご確認ください。
  • 猫の場合は、品種によらず純血猫もミックス猫もすべて同じ保険料です。
ア行~カ行犬の品種分類表
ア行
カ行
サ行~ナ行
サ行
タ行
ナ行
ハ行~ワ行・その他
ハ行
マ行
ヤ行
ラ行
ワ行
ミックス犬(※1)
  • 8か月未満:6kg未満
  • 8か月以上:8kg未満
  • 8か月未満:6kg以上~20kg未満
  • 8か月以上:8kg以上~25kg未満
  • 8か月未満:20kg以上
  • 8か月以上:25kg以上

※ 「犬種分類表」に記載のない犬種の分類につきましては別途お問い合わせ下さい。