犬の下痢の原因とは?病院に連れて行くべき症状を獣医が解説

犬が下痢をする、お腹が下る原因としてどんな病気が考えられるのでしょうか。また、予防や対処法、飼い主さんが心がけたいことなどを獣医師さんに伺ってみました。

人が下痢をしたら、自ら整腸剤を飲んだり、食事に気を配ったりできますが、飼い犬にはそれができません。気になることがあれば、すぐに獣医師さんに相談しましょう。

犬が下痢を起こして心配。こんな症状が見られたらすぐ病院へ

犬の保険について

目次

犬の下痢の原因とは?

―飼い主にとって愛犬の下痢は、大きな心配です。

下痢とは、水分量が増えた状態の便のことです。正常な便には75~80%の水分が含まれていますが、80%を超えると便は軟らかくなり、さらに水分量が増えるとドロドロになり、ほとんどが水分の状態になります。

―犬が下痢をする原因としてどんなものが考えられますか?

食事

フードが古いと微生物が繁殖する可能性があり、その微生物が作り出す毒素が原因で犬が下痢を起こすことがあります。フード自体が劣化してしまい、お腹の刺激になることもあります。

また、食べる量が多すぎると、消化吸収できずに下痢を起こします。犬によっては、食物アレルギーの症状として下痢が見られることもあります。

ストレス

体にストレスがかかると、体内ではホルモンなどのさまざまな物質が放出されます。これが犬の腸を刺激することで下痢を起こすことがあります。

環境要因でストレスになるものとしては、近所で工事をしている、台風が来た、雷が鳴ったなどが挙げられます。また、季節の変わり目、朝晩の大きな気温の変化などもストレスになります。

異物誤飲、誤食

おもちゃを始め食べ物以外のものを食べてしまった場合、その形や大きさによっては腸閉塞を起こすことがあります。腸閉塞になった場合、どこで閉塞を起こしたかによって症状は変わりますが、激しい下痢を起こすことがあります。

また、フード以外のものを盗み食いした場合も、消化できずに下痢を起こすことがあります。

腸閉塞に関する詳しい記事は、獣医師監修による『犬の疾患 腸閉塞』を併せてご覧ください。

異物誤飲によって起こる症状をこちらで紹介しています。
犬のお腹がキュルキュル鳴る。その原因は異物誤飲かも!?

犬の下痢の原因とは?

ウイルス

犬の下痢の原因になるウイルスはいくつかありますが、もっとも重要なのがパルボウイルスです。消化管に炎症を起こすことで下痢になりますが、下痢だけでなく嘔吐も見られることがあり、体力があまりない子犬では命にかかわることがあるので十分注意しましょう。

寄生虫

回虫、条虫、鞭虫といった目に見えるような寄生虫や、ジアルジア、コクシジウムといった原虫という種類まで、さまざまな寄生虫が犬に下痢を起こします。ウイルスと同じく成犬よりも子犬のほうが多く見られます。

そのほか

子犬ではほとんど見られませんが、成犬~老犬では、慢性腸症膵外分泌不全腫瘍といった病気が下痢の原因になります。慢性腸症は、腸に炎症が起こり、慢性的な下痢になる病気です。膵外分泌不全は膵臓からの消化酵素がきちんと出なくなることで消化ができなくなる病気です。

犬のこんな症状、下痢が見られたらすぐ病院へ

―どのような下痢をしたら、動物病院を受診すべきですか? 犬の症状や特徴について教えてください。

様子を見てもいい下痢のチェックポイント

症状が下痢だけで、ほかの状態はいつもと変わらない場合は、しばらく様子を見てもいいでしょう。また、下痢だけでなく嘔吐もあったが、その後は落ち着いているような状態も緊急性は低いと考えられるため、様子を見てもいいでしょう。

しかし、2日以上症状が続くようであれば病院に行きましょう。下痢が続くと脱水が起こる可能性があり、全身状態が悪化する危険があるためです。

緊急性が高い下痢のチェックポイント

子犬の場合

子犬の場合は、症状が軽くても体力がないため急激に状態が悪化することがあります。そのため、元気や食欲があっても、何度も下痢をしているようなら早めに病院に行きましょう。

成犬の場合

成犬は子犬よりも体力がありますが、下痢が激しい場合や嘔吐も見られる場合は脱水の危険があります。

また、次のような症状が見られたら、腸の状態がかなり悪い可能性があります。

  • ゼリー状の便
  • 血便が止まらない
  • 治療しても治らない
  • 治療を止めるとまた症状を繰り返す
  • 便の臭いがいつもと全然違う

さらに、食欲不振や元気がないようだと、単純な下痢だけでなく、ほかの病気の可能性も考えられます。そのような状況なら、すぐに動物病院に行きましょう。

老犬の場合

老犬は子犬と同じような基準で考えてください。それは、体力や免疫力が低下していることがあるからです。

犬の下痢は感染性があるの?

犬の下痢は人にうつることがある

―犬の下痢は、人にうつることはありますか?

寄生虫性の下痢の中には、人間にうつるものがあります。こういったものは、「人獣共通感染症(ズーノーシス)」と呼ばれます。寄生虫のいる犬の便が口に入ったり、傷口から体内に侵入したりすることでうつります。

犬の下痢は感染性があり、ほかの犬にも人にもうつる

犬の下痢に愛犬を近づけないこと

―犬の下痢は、ほかの犬にうつることはありますか? どんなことに気を付けなければなりませんか?

ウイルス性と寄生虫性の下痢でうつる可能性があります。どちらも多頭飼育で最もリスクが大きく、下痢に含まれるウイルスや寄生虫、寄生虫の卵を口にしてしまうことでうつります。

このほか、散歩中の道で、下痢自体は片付けられていてもウイルスや寄生虫が残っていて、匂いを嗅いでいるときに鼻先に付いてしまい、それを舐めることで体内に取り込んでしまうことがあります。散歩中にほかの犬の便を見つけたら、近づかないようにしましょう。

犬の下痢の対処法

動物病院での治療法

―動物病院では、犬の下痢をどのように治療するのですか?

それぞれの原因に応じて、次のように対処します。

  • 食事が原因の場合は、食事内容の変更、食事方法の調整を指導します
  • ストレスが原因になっている場合は、ストレスの排除を指導します
  • 環境要因によるストレスは、回避が難しいことが多いため、対症療法をしながら体力の回復を待ちます
  • 異物誤飲から腸閉塞を起こした場合は、外科治療が必要になります
  • ウイルス性下痢には、対症療法で体力を維持しながらウイルスが体外に排泄されるまで待ちます
  • 寄生虫性下痢の場合は、駆虫薬を使用します
  • 慢性腸症には、抗生物質やステロイドの投与、食事の変更などを行い、症状を抑えます
  • 膵外分泌不全には、消化酵素を投与します
  • 腫瘍には、抗がん剤治療や外科手術を行います

家庭での対処法

―愛犬が下痢になってしまったら、家庭でどんな対処をしたらいいのでしょうか?

受診前

成犬や老犬であれば、下痢をした後は絶食にしましょう。下痢になると腸の動きが活発になりすぎることがあり、食べたものがどんどん下痢として出てしまいます。そのため、腸を休ませるためにも絶食は非常に有効です。

ただし、子犬の場合は絶食ではなく少量を頻回に与えてください。これは、食べないと低血糖になる危険があるためです。

下痢の様子を記録して診断に役立てましょう

―受診時に、どのような準備をしておくといいですか? また、どのようなことを獣医師さんから聞かれるのでしょうか?

受診に際し、次のようなことを記録しておくといいでしょう。

  • いつから下痢が始まったか
  • その前に食事や環境の変化はあったか
  • 下痢はどのくらいの状態でどれくらいの頻度でしているか

これらの情報は診断をするためにも非常に重要です。また、下痢の状態は写真で確認できると、飼い主さんから言葉で説明されるよりも獣医師が正確に把握できます。

受診後

動物病院で、食事の内容や与え方の変更、投薬、環境整備についての指示がされることが多いので、それらを確実に行うようにしましょう。

―下痢の治療中の食事は、どのようにしたらいいですか?

動物病院で指示があった場合は、それに従ってください。指示がなかった場合は、基本的に腸に負担をかけないように少量頻回(少ない量で回数を多く)で与えてください。

急性の下痢の場合は数日で症状が落ち着くため、療法食に変更する必要はほとんどありませんが、長引いた場合や犬の状態によっては変更したほうがいいでしょう。その場合は自己判断をせずに、獣医師に相談してください。

犬が下痢になったときの対処法

整腸作用を促すために

―例えばビオフェルミンのような人用の整腸剤を犬に服用させて問題ありませんか?

整腸剤の成分は主に善玉菌です。薬の作用を考えると、犬の状態が悪くなることは少ないと考えられます。すぐ病院に行けない場合は、とりあえず飲ませても問題ないでしょう。投与量は決まっていませんが、錠剤であれば大型犬で1~2錠、小型犬で0.5~1錠ずつを朝晩に飲ませるのが目安です。

―人はヨーグルトを食べて整腸を促すことがありますが、犬の場合もその効果を期待できますか?

ヨーグルトに含まれる乳酸菌が整腸作用を促すことは犬にも当てはまります。しかしながら、乳製品にアレルギーをもっている犬もいます。普段から与えていて問題なければいいですが、下痢をしたときに初めて与えるというのはお勧めできません。

下痢にならない予防と対策

―下痢にならない予防法、日ごろから気をつけたい事柄を教えてください。

感染性の下痢は、ワクチン接種や定期駆虫によって予防可能です。そのほか、適切な食事管理ができていれば下痢になる頻度は低くなります。

異物誤飲癖のある犬には、手の届くところに飲み込んでしまうような異物を置かないこと、散歩の時はリードを短く持っておくなどの対策が有効です。

そのほか気になる犬の体や行動の異常・変化については、獣医師監修の「犬の症状」を併せてご覧ください。

犬の保険について

ペット保険の契約対象となる犬種・品種について

当社のペット保険は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。
犬種の区分については、「ペット保険取り扱い犬種分類表」をご覧ください。

ミックス犬の保険料は、下記のように設定します。

  • 両親の犬種が共にわかっているミックス犬の場合は、いずれか大きい型に該当する保険料となります。
  • 片方の親の犬種のみわかっている場合は、わかっている親の型に該当する保険料となります。
  • 当社の「ペット保険取扱の犬種分類表」に記載のない犬種の区分については、別途お問合わせください。

なお、猫の保険料については、品種による違いはありません。