犬の便秘の原因とは?病院に連れて行くべき症状を獣医が解説

犬が便秘になる、うんちが出ない原因としてどんな病気が考えられるのでしょうか。また、病院に連れて行くタイミング、予防や対処法などを獣医師さんに伺ってみました。

人が便秘になったら、自ら整腸剤を飲んだり、食事に気を配ったりできますが、飼い犬にはそれができません。気になることがあれば、すぐに獣医師さんに相談しましょう。

犬の便秘の原因とは?病院に連れて行くべき症状を獣医が解説

犬の保険について

目次

犬の便秘の原因と症状

うんちの回数は犬それぞれ

―うんちが何日くらい出ないと便秘と言うのでしょうか?

人間では3日以上排便がないと便秘と呼ぶようですが、犬の場合、具体的な基準はありません。

―普通と見なせるうんちの回数について教えてください。

うんちの回数も定義はありませんが、子犬は回数が多いことが一般的です。1日に5回以上する犬もいます。

成長とともに徐々に回数は減っていき、1日1~2回程度が多いようです。大型犬と小型犬では1回の量が変わりますが、回数はほとんど変わりません。大事なのは、毎日どれくらいの回数をするのかを知っておき、それが突然増えたり減ったりするという変化を見逃さないことです。

―犬が便秘になると、うんちが出ない以外に、どんな症状が見られますか?

お尻に痛みがある場合、排便時に鳴いたり、くるくる回ったりすることがあります。ほかには、いきみすぎることで吐いてしまったり、脳圧が高くなり、けいれんしたりすることもあります。

―便秘が起こるメカニズム、原因について教えてください。

大腸の動きが悪くなる場合

まずは、大腸の動きが悪くなることで便秘が起こるケースがあります。大腸は、便を押し出す蠕動運動(ぜんどううんどう:内容物を運ぶ動き)をしていますが、この蠕動運動が十分に起こらないと大腸の中に便がたまっていきます。大腸では、便の水分吸収が行われているため、そこにとどまっていると便の水分はどんどんなくなっていき、カチカチになります。

副交感神経の興奮による場合

次に、自律神経のうち副交感神経の興奮が原因となるケースです。大腸が緊張して、便がうまく運ばれなくなることで便秘になります。これは、環境変化のようなストレスがかかったときに見られます。

また、便が直腸まで運ばれていても、そこで排便のサインが起こらないために直腸で便がとままってしまうケースもあります。

ここまでが、便が作られる過程や排便の仕組みに問題があって便秘になるものです。

ほかには、物理的な閉塞のような消化管の通過障害が起こってしまうことで便秘になることがあります。こういったものの中には、何らかの病気が原因になることがあります。

犬の便秘の原因として考えられる病気とは?

犬の便秘の原因として考えられる病気とは

―犬が便秘になる病気として、どんなものがありますか?

蠕動運動が不十分になるもの

蠕動運動が不十分になるものとしては、年齢によるもの、食物繊維の不足、甲状腺機能低下症といったものがあります。

食物繊維の不足は若い犬でも見られますが、それ以外は一般的に中高齢の犬によく見られます。甲状腺機能低下症になると全身の代謝が低下するため、腸の蠕動運動も低下することで便秘になります。

痛みによるもの

また、肛門周囲に傷ができたり、肛門嚢炎といった炎症が起こったり、馬尾症候群による神経障害があると、痛みのために排便を我慢することがあります。その場合、直腸まで便は運ばれますが、そこで停滞してしまい便秘になります。骨盤や後肢の骨折の場合も痛みで踏ん張れないため、同様の状態になることがあります。なお、馬尾症候群は、小型犬よりも大型犬での発生が多い病気です。

ほかに痛みが出るようなものには、直腸内の異物や腫瘍があります。外傷や骨折は年齢に関係なく見られますが、そのほかは中高齢の犬でよく見られます。

閉塞による消化管の通過障害

閉塞による消化管の通過障害は、会陰ヘルニア、腫瘍、ポリープ、前立腺肥大で起こります。会陰ヘルニアは、去勢していない中高齢のオス犬で多く見られます。この病気は、会陰部というお尻の周りの筋肉が薄くなり、その隙間から骨盤内の臓器や脂肪が逸脱してしまうのです。肛門付近が膨らむことで発見されます。前立腺肥大も去勢していない中高齢のオス犬で見られ、便秘のほか排尿障害が出ることもあります。

下痢の後、便秘になる原因とは?

―下痢の後、便秘になることがあるようですが、どうしてですか?

一度便秘になってしまうと、腸に便がたまってしまいカチカチになり、その後に流れてくる便を蓋のように留めてしまいます。その後で、消化吸収機能が低下すると下痢便になりますが、便秘で蓋をされているため外に出ることができません。

その状態で便秘を解消すると、蓋がなくなるため、その後には下痢になってしまうのです。腸の状態によっては便秘と下痢を繰り返すこともあります。どちらにしても、腸は正常ではないため、適切な治療が必要になります。

犬の便秘でこんな症状が見られたら、すぐ病院へ

犬が苦しそうにしている、ぐったりしている

犬の便秘でこんな症状が見られたら、すぐ病院へ

―人間とっても便秘はつらいものですが、犬の場合、何日くらいなら様子を見ていいですか?

犬の便秘は具体的な基準がないため、その子その子の変化を見つけることが大事です。

例えば、毎日便が出ている子が、3日も便が出ていなければ明らかにおかしいですし、1日おきにしか出ない子であれば、もしかしたら、たまたまなのかもしれません。いつもより間隔が空いていても、元気で食欲があれば少し様子を見ても問題ないと思われます。

―動物病院を受診すべき状態について教えてください。

犬が苦しそうにしている、ぐったりしているなど、明らかに具合が悪そうであれば、できるだけ早く受診してください。

また、そこまでの状態ではなくても、吐き気がある、食欲が落ちているなど複数の変化があるようなら、早めに受診してください。なぜなら、便秘状態が続くと脱水や衰弱が起こる危険があるからです。

犬の便秘の予防・解消法

犬の便秘の予防・解消法

―自宅でできる犬の便秘の予防や解消法について教えてください。

マッサージ

腸の蠕動を促すために、犬のお腹をマッサージすることはとても有効です。勢いよく押さえると反射的に犬がお腹に力を入れてしまうため、ゆっくりと押さえながらマッサージをしてあげましょう。お腹の上からお尻方向に便を動かすようなイメージでやるのがお勧めです。

食事

便秘対策で最も大事なのは、食事による腸内環境の改善です。基本的に食物繊維を増やすことを心がけましょう。

簡単な方法は、ダイエット用のドッグフードを与えることです。ダイエット用フードには、食物繊維が多く配合されています。また、手作り食を与えている場合は、サツマイモやカボチャ、大根、りんごといった食材がお勧めです。

このほか、腸内の善玉菌を増やすための食品を添加するのもお勧めです。例えば、乳酸菌を足すためにヨーグルト、オリゴ糖を足すためにバナナやサツマイモといった食材です。ただし、食品によってはカロリーが多くなりすぎることがあるため、量には注意しましょう。

運動

運動で体を動かすことも大事です。特に運動好きな犬がストレスで便秘になっている場合は、しっかり運動をさせてあげましょう。

市販薬

人間用の整腸剤でも、ある程度の症状の改善は期待できます。ビオフェルミン製剤のような整腸剤は善玉菌を足すことになるため、症状が軽度であれば与えても問題ないでしょう。

まとめ

便秘は、いろいろな原因で起こる可能性があり、1回の治療だけでは症状が改善しないことがあります。また、原因によっては、手術が必要になることがあります。

その反面、日ごろの食事を気を付けることで予防できるものもあります。犬に苦しい思いをさせないために、できるケアをしっかりしてあげましょう。

そのほか気になる犬の体や行動の異常・変化については、獣医師監修の「犬の症状」を併せてご覧ください。

犬の保険について

ペット保険の契約対象となる犬種・品種について

当社のペット保険は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。
犬種の区分については、「ペット保険取り扱い犬種分類表」をご覧ください。

ミックス犬の保険料は、下記のように設定します。

  • 両親の犬種が共にわかっているミックス犬の場合は、いずれか大きい型に該当する保険料となります。
  • 片方の親の犬種のみわかっている場合は、わかっている親の型に該当する保険料となります。
  • 当社の「ペット保険取扱の犬種分類表」に記載のない犬種の区分については、別途お問合わせください。

なお、猫の保険料については、品種による違いはありません。