犬のおならが臭い原因とは?病院に連れて行くべき症状を獣医師が解説

最終更新日:2024年02月26日

犬もおならをします。音があったり、なかったり、匂いがあったり、なかったりと私たち人間と同様に生理現象です。しかし、愛犬の臭いおならが続く、頻発する場合、それは何らかの病気に起因する症状なのかもしれません。そこで、病院に連れて行くタイミング、予防や対処法などを獣医師さんに伺ってみました。

病状が悪化し、取り返しのつかない事態にならないよう、気になることがあれば、すぐに獣医師さんに相談しましょう。

犬のおならが臭い原因とは?病院に連れて行くべき症状を獣医が解説

犬がおならをするのはどうして?

犬がおならをする体内メカニズム

―犬もおならをするのですか?

犬も人間と同じようにおならをします。腸にたまったガスが肛門から出てくるのがおならですが、その成分のほとんどは口から吸った空気です。基本的に呼吸で吸い込んだ空気は肺に運ばれますが、胃に入った空気のうち、げっぷとして出ない分は、そのまま腸の中を進んでいきます。そして、空気以外の成分は、腸の中にいる細菌(腸内細菌)が食べ物を分解したときに発生するガスです。これらが腸の中で混ざって、お尻から出てくるのがおならです。

短頭種の犬は、おならが出やすい

ブルドッグやパグのように鼻が潰れている短頭種は呼吸が激しくなりやすく、飲み込む空気の量が多くなります。そのため、短頭種はおならが出やすい犬種として知られています。また、短頭種でなくてもテンションの高い犬やご飯を早食いする犬も飲み込む空気の量が多くなるため、おならが出やすくなるのです。

―うちの子の場合、おならの音をあまり聞いたことがないような......。

おならの音は、出る量やスピードによって変わります。そのため、犬がおならをしていても音がしなかったり、匂いが薄いと飼い主さんが気付かなかったりすることが多いようです。このように、犬のおならは人間と同じように個体差があります。

犬のおならが臭い原因とは?

犬のおならが臭い原因とは?

―犬のおならが臭くなる原因としてどんなことが考えられますか?

食べ物によるもの

タンパク質を多く食べるとおならが臭くなる

腸内細菌が食べ物を分解したときに発生するガスがおならの成分になるため、食べ物によっておならが臭くなることがあります。特に、肉類のようなタンパク質を多く食べると、臭いがきつくなります。

老犬は消化機能の低下から腸内細菌のバランス変化で臭くなる

老犬になると同じものを食べていても消化機能が低下します。このときの腸内細菌のバランスの変化によって、おならが臭くなる場合があります。

ストレスによるもの

体がストレスを感じると、免疫力が低下します。これによって腸内細菌のバランスが崩れ、悪玉菌が増えたり、異常な発酵が起こったりするとおならが臭くなります。

病気によるもの

―犬のおならが異常に臭くなる病気として、どんなものがありますか?

下痢を起こすような病気になると、消化不良が起こったり腸内細菌のバランスが崩れたりして、おならが異常に臭くなることがあります。

病名としては、腸炎、膵外分泌不全、腸の腫瘍などがあります。

腸炎

腸炎は食べ過ぎやストレス、細菌・ウイルス・寄生虫感染など非常に多くの原因が考えられます。その結果として主に下痢が見られるようになりますが、同時におならが異常に臭くなることがあります。

膵外分泌不全

膵外分泌不全は膵臓という消化酵素を分泌する臓器に異常が起こり、消化不良を起こす病気です。膵臓からは脂肪を分解する酵素が分泌されているため、下痢をしたり、白っぽい便が出るようになったりします。

腸の腫瘍

腸の腫瘍にはいくつかの種類がありますが、いずれも腸の消化吸収ができなくなり、下痢が見られます。

犬のおならの頻度が高くなる原因とは?

犬のおならの頻度が高くなる原因とは?

―犬のおならの回数が多いと気になりますが、どんな原因があるのでしょうか?

食事によるもの

食物繊維の取り過ぎや消化の悪い物が原因

人間は食物繊維を多く取ると、おならが増えることが知られています。犬でも同じことが起こると考えられ、食物繊維が多く配合されているダイエット用のドッグフードを食べると、おならが出やすくなります。

また、消化の悪いものを食べると腸内細菌による異常発酵が起こります。それによってガスの発生量が多くなると、おならの回数が多くなることがあります。

早食いによるもの

飲み込む空気の増加がおならを増やす

ご飯を早食いすると、一緒に飲み込んでしまう空気の量も多くなります。これにより、おならの成分が多くなるため、おならの回数も多くなります。

老化によるもの

消化機能の低下により腸内細菌によるガスの量が増える

加齢によって腸の消化吸収能力がだんだん弱くなります。そうなると同じフードでも消化吸収しにくくなり、その結果、腸内細菌によるガスの産生量が増え、おならの回数が増えることがあります。

病気によるもの

―犬のおならの頻度が高くなる病気として、どんなものがありますか?

空気を飲み込む量が多くなるような病気や、腸で発生するガスの量が増える病気ではおならの頻度が高くなる可能性があります。

具体的には、肺炎や気管支炎のような呼吸器系の病気や、心臓病のような循環器の病気、膵炎や関節炎などのように体のどこかに痛みが出るような病気があります。これらの病気では呼吸が苦しかったり痛みがあったりするため、呼吸数が多くなり、飲み込む空気の量が増えます。その結果として、おならの頻度が高くなると言えるのです。

犬のおならが異常に臭い、回数が多いなど、こんな症状ならすぐ病院へ

おならが頻発しても元気で食欲があれば緊急性は高くない

―犬のおならが臭い、おならがずっと続くと心配ですが、どんな状態であれば、様子を見てもいいですか?

おならが臭くなったり、おならの出る頻度が高くなったりしても、元気や食欲に問題がなく、便の状態も異常がなければ、緊急性は高くないと考えられます。こうした場合は、病的な状態ではないと考えられるため、様子を見てもいいでしょう。

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犬のおならで緊急を要する状態や症状

―動物病院を受診すべき状態について教えてください。

次に挙げるような状態が見られる場合では、おならが何らかの異常の結果として出ていることが考えられます。そのため、できるだけ早く動物病院を受診した方がいいでしょう。

  • 下痢をしている
  • 元気や食欲がなくなる
  • 体重が減ってくる
  • 呼吸が苦しそう

また、これらの症状が下記のように激しければ激しいほど、緊急性が高くなります。

  • 水のような下痢が止まらない
  • 血便がでるといった症状や
  • ほとんど動かなくなってしまう
  • 大好きなおやつも食べない
  • 水も飲まない
  • 触ると痛がって鳴く
  • 苦しそうにしている

犬のおならの予防と対処法

―どうやって予防すればいいのでしょうか?

フードを変更する

動物性のタンパク質は、おならが臭くなります。そのため、魚系や穀物系のフードに変更することで変化が見られる可能性があります。

また、早食いする犬の場合は、早食いがしにくいような大きさや形のフードに変更することで空気を飲み込む量を減らすことができます。

ストレスを除去する

ストレスによって免疫力が低下すると、腸内細菌のバランスが崩し、おならが臭くなることがあります。加えて、おならの回数が増えるような病気になってしまうリスクが高まります。できる限りストレスを除去してあげましょう。

空気を多く飲み込ませないようにする

空気を多く飲み込むことで、おならの回数が増えます。おならの回数が気になるようなら、愛犬をあまり興奮させすぎないようにしましょう。また、早食いしにくいフードや食器に変更すれば、空気を飲み込む量を減らせます。

整腸剤を与える

腸内環境を整えるような整腸剤を愛犬に与えれば、腸内細菌の善玉菌を増やせます。これによって、おならの臭いを軽減できる場合があります。

―緊急性がない場合、自宅ではどのように過ごせばいいのでしょうか?

先に挙げたような予防や対処法で変化があるかどうかを確認してください。もし、症状の悪化や体調に変化が出るようなら、早めに動物病院を受診してください。

まとめ

おなら自体は生理現象ですが、匂いが臭くなる、頻度が高くなるといった変化は病気の可能性を考えたほうがいいかもしれません。

下痢をするようになるといった体調に変化が出ることが多いと思われますが、おならの変化に注目することで病気を早期発見できれば、動物の苦しみを早く治すことができるかもしれません。また、おならの匂いが変わったり、回数が増えたりしたら、下痢の対策として、まずは食事を一回分抜く、消化のいいフードに変えてみるのもいいかもしれません。

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犬種別の保険料

  • 純血犬は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。犬種の区分については、「犬種分類表」をご確認ください。
  • ミックス犬の保険料は、年齢と体重により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類します。詳しくは、「犬種分類表」の「ミックス犬」の欄をご確認ください。
  • 猫の場合は、品種によらず純血猫もミックス猫もすべて同じ保険料です。
ア行~カ行犬の品種分類表
ア行
カ行
サ行~ナ行
サ行
タ行
ナ行
ハ行~ワ行・その他
ハ行
マ行
ヤ行
ラ行
ワ行
ミックス犬(※1)
  • 8か月未満:6kg未満
  • 8か月以上:8kg未満
  • 8か月未満:6kg以上~20kg未満
  • 8か月以上:8kg以上~25kg未満
  • 8か月未満:20kg以上
  • 8か月以上:25kg以上

※ 「犬種分類表」に記載のない犬種の分類につきましては別途お問い合わせ下さい。

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記事監修:ペットメディカルサポート株式会社

動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。