元気で食欲あるのに犬が下痢をするのは?原因や対処法を獣医師が解説

元気で食欲あるのに犬が下痢をするのは?原因や対処法を獣医師が解説

食欲があって元気なのに愛犬が下痢をする原因や最適な対処法を獣医師が詳しく解説していきます。

元気で食欲があっても愛犬が下痢なら病院へ行くべき?

基本的に元気で食欲があっても愛犬が下痢をしているならば、動物病院を受診することをおすすめします。

というのも、下痢をしているということは食べたものを適切に消化・吸収することができていないということになり、長期間続くと脱水症状を引き起こす可能性もあるため体力がない子犬や老犬においては特に注意する必要があるからとなります。しかし、愛犬の状態や飼い主さんの事情などによって速やかに動物病院を受診することが難しいという場合もあると思います。

  • 三日以上、下痢が続いている
  • 下痢が黒くてベタベタしたタール便である
  • 血便が続いている
  • 子犬や老犬、または何かしらの基礎疾患がある
  • 嘔吐がある
  • 体重が減っている
  • いつもより呼吸が荒い

ただ、そのような場合でも上記の状態が見られたならば重篤な疾患である可能性も高いため、元気や食欲があっても往診などを検討して速やかに獣医師に診てもらうようにしましょう。

犬が下痢をする主な原因とは?

犬が下痢をする主な原因とは?

犬に下痢を引き起こす疾患としては様々なものが考えられるため、下痢をしているという症状だけで特定することは困難です。ただ、中には飼い主さんの行動によって改善することができる場合もあります。

ここからは、犬が下痢をしたときに考えられる原因をいくつか詳しくご紹介していくため、ぜひ参考にしてみてくださいね。

食事

食事が関連する犬の下痢の原因の一つとして、アレルギー性の腸炎も考えられると言われています。犬にも「食物アレルギー」は存在し、アレルゲンとなりやすい食べ物として鶏肉や牛肉、乳製品、小麦などを挙げることができます。

食物アレルギーの症状としては下痢などの消化器症状や外耳炎などの皮膚症状が主に見られるといわれています。

愛犬が元気や食欲はあるものの、これらの状態が頻繁に見られるならば、食物アレルギーの検査方法としてアレルゲンを除去した食事である除去食を与えてみて症状が治まるかどうかを観察する除去食試験の実施をかかりつけの獣医師と検討してみても良いでしょう。

ストレス

引っ越しや来客、騒音、ペットホテルなどをストレスと感じてしまい、精神的な負担となり、その結果、下痢などの症状が現れることもあります。

ただ、犬の性格によってはストレスとなる原因がなくなるとすぐに症状が治まる場合もあるため、飼い主さんが愛犬のストレス源に気が付かずに繰り返してしまうという危険性もあります。大切な家族の一員である愛犬がどのようなことを苦手と感じているのか判断することができるように、日頃から飼い主さんは愛犬の様子を念入りに観察するようにしてあげてくださいね。

誤飲誤食

誤飲誤食による中毒や食べなれないものを食べてしまったことによって下痢が引き起こされている場合は基本的に元気や食欲も低下していることが多いですが、食べてしまったものや量によって下痢のみが見られることもあります。

しかし、そのまま放置しておくと完全に閉塞したり臓器を傷つけてしまったりする危険性もあるため、たとえ元気や食欲などがあっても愛犬が誤飲誤食をした場合には動物病院に速やかに相談するようにしましょう。

慢性腸症や腫瘍

小腸や大腸の粘膜に慢性的に炎症が引き起こされる慢性腸症という疾患の症状の1つに下痢があり、一般的に下痢や嘔吐などの状態が3週間以上続くことが特徴といわれています。また、消化器型リンパ腫などの悪性腫瘍においても、初期症状として下痢が見られる場合があります。

これらのように下痢といっても診断や治療などが困難な疾患の症状である可能性も否定できないため、愛犬が下痢をした場合は飼い主さんの判断のみで様子見に留めることや一時的な現象として放置しないように注意しましょう。

寄生虫

犬の寄生虫において犬回虫や犬鉤虫、コクシジウム、ジアルジアなどの内部寄生虫が下痢を引き起こすといわれています。

これらの寄生虫が大量に感染していると下痢に加えて嘔吐や元気消失、腹部膨満などの症状が見られます。しかし、少量の感染だと下痢のみ見られたり、栄養が寄生虫にとられてしまうことで食欲があるにも関わらず体重が増えない。または減少していくという状態が起こることもあります。

基本的に内部寄生虫の検出には顕微鏡で直接、便の中の虫体や虫卵を見つける検便が適していますが、検便で使用する便の量が限られていることや虫卵の排泄時期などによっては検出されにくいことも。そのため、子犬においては便に異常がなくてもワクチン接種や避妊・去勢手術のためなどで通院するたびに検便をすることを推奨している動物病院もあります。

犬が下痢をした際の対処法

犬が下痢をした際の対処法

どのような症状にも当てはまることですが、愛犬が下痢をした場合は早々に動物病院を受診して検便などを行い、下痢の原因となる寄生虫の感染有無や腸内細菌のバランスなどを確認することが大切となります。

また、検便を行っても異常が見られなかったり、整腸剤や下痢止めなどの内科学的な治療を行っても改善が見られなかったりした場合はさらなる検査として血液検査やレントゲン・エコーなどのより精密な検査を行う必要があります。

まとめ

犬が下痢をしているということは何かしらのトラブルが体のどこかに起きていると考えられるため、たとえ元気や食欲があっても速やかに動物病院を受診することをおすすめします。

おなかの痛さや違和感は大きな負担となり得て、軽度の下痢であっても継続することで脱水症状や栄養吸収の不十分さにもつながり、体力の消耗や全身状態の悪化を引き起こすことがあります。特に体力のない子犬や老犬においては、様子見を続けることでより状態が悪化してしまう危険性もあります。

なお、便の異常を発見することができるのは毎日お世話をしている飼い主さんのみのため、愛犬の排泄物を片付けるときは便の硬さや色、形、臭いなどをじっくり観察することや便の回数などを記録しておくことも考えてみてくださいね。

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犬種別の保険料

  • 純血犬は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。犬種の区分については、「犬種分類表」をご確認ください。
  • ミックス犬の保険料は、年齢と体重により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類します。詳しくは、「犬種分類表」の「ミックス犬」の欄をご確認ください。
  • 猫の場合は、品種によらず純血猫もミックス猫もすべて同じ保険料です。
ア行~カ行犬の品種分類表
ア行
カ行
サ行~ナ行
サ行
タ行
ナ行
ハ行~ワ行・その他
ハ行
マ行
ヤ行
ラ行
ワ行
ミックス犬(※1)
  • 8か月未満:6kg未満
  • 8か月以上:8kg未満
  • 8か月未満:6kg以上~20kg未満
  • 8か月以上:8kg以上~25kg未満
  • 8か月未満:20kg以上
  • 8か月以上:25kg以上

※ 「犬種分類表」に記載のない犬種の分類につきましては別途お問い合わせ下さい。

PS保険

記事監修:ペットメディカルサポート株式会社

動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。