犬の目が赤い、充血している原因とは?病院に連れて行くべき症状を獣医師が解説

最終更新日:2024年02月22日

愛犬の目が赤い、充血しているなど、目の様子がおかしい原因としてどんな病気が考えられるのでしょうか。また、病院に連れて行くタイミング、予防や対処法などを獣医師さんに伺ってみました。

そのうち治るだろうと思っていたら、病状が悪化し、取り返しのつかない事態になってしまうかもしれません。気になることがあれば、すぐに獣医師さんに相談しましょう。

犬の目が赤い、充血している原因とは?病院に連れて行くべき症状を獣医が解説

犬の目が赤い、充血する原因とは?

―犬の目が赤くなったり、充血したりする原因について教えてください。

一言で目が赤いといっても、目の血管が過度に拡張する「充血」と、血管が壊れ血液が組織へ流出する「出血」に分けられます。

充血によるもの

充血とはさまざまな原因で血液の量が増え、普段は見えない細い血管までもが広がっているため、目が赤く見える状態です。

出血によるもの

何かの原因で目の中の血管が壊れ、血液がたまってしまい、全体的に目の中が赤く見える状態です。

次に、犬の目が赤くなる、充血が見られる病気について詳しく紹介していきましょう。

犬の目が赤い、充血する原因として考えられる病気とは?

―犬の目が赤くなる原因としてどんな病気が考えられますか?

黒目の中が赤い

次に挙げるような病気が原因となり、目の中で出血が起こっていることが考えられます。

  • 網膜剥離は、視覚にかかわる神経が集まっている網膜が剥がれてしまう病気です。
  • 眼内腫瘍は、目の中に腫瘍ができ、出血が起こります。
  • ぶどう膜炎は、目に入る光の量を調節する虹彩、ピントを合わせる毛様体、目に栄養を運ぶ脈絡膜を覆うぶどう膜と呼ばれる部位の炎症です。

このほか、免疫疾患によって血液凝固障害が起こり、血管が壊れやすくなってしまうと、日常生活でも血管が大きく破綻し、黒目に赤く出血が見られることがあります。

黒目の表面に血管が入り込み赤い

もともと黒目は、角膜という透明の膜で覆われており、血管はありません。しかし、次のような場合、周りから血管が入り込む血管新生が起きると一部が赤く見えます。

  • 異所性睫毛(いわゆる逆さまつ毛)
  • 鋭利なものや擦ったことによる外傷
  • 眼瞼外反症や乾燥性角膜炎などドライアイを伴う角膜障害など

白目が真っ赤

目や頭部への強い衝撃や外傷による出血で見られることがあります。落下や衝突などによる事故で起こりやすい異常です。

犬の目が赤い、充血する原因として考えられる病気とは?

白目に血管が目立ち赤い

何らかの原因で血管が怒張(はちきれるように膨れている状態)し、目立つようになる状態です。目の表面の充血(結膜炎)、深層部の充血、その両方が考えられます。

白目の充血は、下記のようなさまざまな目の疾患が起きている兆候です。

緑内障

目は眼房水と呼ばれる液体が流入、流出し、眼圧を一定に保っています。しかし、その調節がうまくいかないと眼圧が上昇し、高眼圧となった結果、充血が起こります。

角結膜の外傷

目の表面が傷付くことで、その周りの血管が影響を受け、充血が起こります。

乾燥性角結膜炎

目が潤いを十分保てず、目が慢性的に乾燥してしまうと、充血や目やににつながります。

水晶体脱臼

レンズの役目を果たしている水晶体が、変形、または固定している周囲の組織が弱くなってしまい、正しい位置から外れてしまう状態です。これにより充血を来すことがあります。

白内障

水晶体を構成しているタンパク質が、加齢や遺伝の影響で変性し、その結果、炎症を起こしたり、高眼圧となったりすることで充血が見られます。

目頭から赤いものが出ている

犬には、目頭の部分に第三眼瞼(瞬膜)という赤い膜があります。普段は目頭の下に隠れて見えませんが、体調が悪いときや衝撃を受けたときに腫れて目立つようになることがあります。また、第三眼瞼には、瞬膜腺という分泌腺があり、それが飛び出してしまったものをチェリーアイ(瞬膜腺突出)と言います。

このほか、老犬の場合、腫瘍の可能性もあります。

目が赤くなりやすい犬種とは?

―目が赤くなりやすい犬種、特徴について教えてください。

  • シーズー、パグ、ペキニーズは、目が大きく飛び出ているため乾燥や傷をつけやすい犬種です
  • 柴犬は、遺伝的に眼圧が上がりやすい犬種です
  • ブルドック、ピットブルは、目の周りが垂れているため、チェリーアイを生じやすい犬種です

犬の目が赤い、充血している以外に、こんな症状ならすぐ病院へ

心配のいらない症状

―犬の目が赤くても様子を見ていて大丈夫なケースはありますか?

喜んだり怒ったり、一時的な興奮による充血は生理的なものなので自然と治まります。犬には、痛みや不快感がないため、目を気にすることがなく、食欲や元気もいつもどおりです。

犬の目が赤い、充血している以外に、こんな症状ならすぐ病院へ

受診を強く勧める犬の目の症状

―受診すべき症状の見分け方、併発するそのほかの症状を教えてください。

犬に下記のような症状が見られる場合は、実際に目に痛みや不快感があるため、放置すると悪化してしまうおそれがあります

  • 流涙
  • 目やに
  • 目がきちんと開かず、しょぼしょぼしている
  • 目を気にする
  • 元気がないなど

また、眼圧が上がり、頭痛や吐き気が出ることもあります。最悪の場合、失明してしまうことがありますので注意しましょう。

犬の目が赤い場合の対処法

愛犬の目を触らせないように

―犬の目が赤くなってしまったら、どう対処すればいいのでしょうか?

まず、目の中に異物が入っていないかを確認してください。犬が目を触ると症状が悪化してしまうおそれがあるので、抱っこする、タオルで巻くなどをして、目をいじらせないようにしましょう。自宅にエリザベスカラーがある場合は、速やかに着けてあげてください。また、眼圧が高いと頭痛や目の痛みが強く、顔や頭を触られるのを嫌がることがあります。

いずれもなるべく早く病院に連れて行くことが、目を守る最善の方法です。

お勧めできないNGなケア

―人間用の目薬を使っても大丈夫ですか?

人間用の目薬には爽快感や疲労回復を目的とした刺激物が含まれているため、犬に使うとかえって悪化してしまうことがあります。人用の洗眼薬も同じ理由でお薦めできません。

犬の目が赤い場合の対処法

犬の目が赤くなる、充血を予防にするには?

こまめに顔を拭き清潔に。涙や顔の汚れが増えたら注意

―予防法や飼い主が日ごろから気を付けるべきことを教えてください。

犬は人と違い、顔にもたくさんの毛が生えています。そのため汚れがつきやすいので、普段から清潔なタオルでこまめに顔を拭いてあげるようにしましょう。日常的に多少の涙や顔の汚れはあるものですが、いつもよりその量や回数が多い場合は要注意です。

また、皮膚炎のように顔のかゆみがある犬は、目を傷付けないようにカラーを着けるといいでしょう。

―犬の目のトラブルを早期発見するには、普段どのようなことを気にしていればいいですか?

犬が発する目の不快感のサインを見逃さないようにしてください。どんなに気を付けていても目に異物が入ったり、目を傷付けてしまったりすることがあるかもしれません。また、ある日急に眼圧が上がってしまうこともあります。

目の病気は早期発見、早期治療が最も番重要です。おかしいなと思ったら、なるべく目を触らせず早めに動物病院を受診しましょう。

まとめ

目は犬のチャームポイントのひとつであり、比較的飼い主さんが気付きやすい場所でもあります。人ほど視力が発達していないとは言え、やはり視覚は大切です。日ごろからこまめに顔全体の手入れをし、犬が顔を触られることに慣れていると、点眼が必要になったとき、スムーズに治療に入れます。

毎日のケアを心がけ、愛犬の健やかな毎日を守ってあげてください。

犬の目が赤いに関連する記事

そのほか気になる犬の体や行動の異常・変化については、獣医師監修の「犬の症状」を併せてご覧ください。

犬種別の保険料

  • 純血犬は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。犬種の区分については、「犬種分類表」をご確認ください。
  • ミックス犬の保険料は、年齢と体重により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類します。詳しくは、「犬種分類表」の「ミックス犬」の欄をご確認ください。
  • 猫の場合は、品種によらず純血猫もミックス猫もすべて同じ保険料です。
ア行~カ行犬の品種分類表
ア行
カ行
サ行~ナ行
サ行
タ行
ナ行
ハ行~ワ行・その他
ハ行
マ行
ヤ行
ラ行
ワ行
ミックス犬(※1)
  • 8か月未満:6kg未満
  • 8か月以上:8kg未満
  • 8か月未満:6kg以上~20kg未満
  • 8か月以上:8kg以上~25kg未満
  • 8か月未満:20kg以上
  • 8か月以上:25kg以上

※ 「犬種分類表」に記載のない犬種の分類につきましては別途お問い合わせ下さい。

PS保険

記事監修:ペットメディカルサポート株式会社

動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。