犬の目やにが多くなる原因とは?治療法や目やにの取り方を獣医師が解説

最終更新日:2024年02月26日

犬の目やにが多くなった、目の様子がおかしい原因としてどんな病気が考えられるのでしょうか。また、病院に連れて行くタイミングや治療法、目やにの取り方、予防法を獣医師さんに伺ってみました。

そのうち治るだろうと思っていたら、病状が悪化し、取り返しのつかない事態になってしまうかもしれません。気になることがあれば、すぐに獣医師さんに相談しましょう。

犬の目やにが多くなる原因とは?病院に連れて行くべき症状を獣医師が解説

犬の目やにが多くなる原因、病気とは?

目やにとは?

目やには、皮膚でいう垢のようなもので、新陳代謝によって古くなり剥がれ落ちた細胞や、目に付着したほこりやゴミが涙に混じってできたものです。目やには、これらを体の外に出す働きがあります。

犬の目やにが増える原因として、次のような病気が考えられます。また、それぞれの原因や主な症状、治療法について解説します。

アレルギー

犬のアレルギーは、食べ物や花粉、ノミなどが原因で起こります。犬のアレルギーの主な症状は、皮膚炎で、強いかゆみを伴います。目の周りの皮膚に炎症が起こると、目の周りが赤い、目をしきりにこする、結膜炎を引き起こして目やにや涙が出るなどの症状が現れます。

また、次のような犬種によく見られます。

  • 柴犬
  • コッカー・スパニエル
  • ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア など

結膜炎の治療は、アレルゲンを取り除いたり、かゆみを抑えるためにステロイド剤や抗ヒスタミン剤などの薬を飲ませたり、抗生物質や抗炎症剤の目薬を使ったりします。

角膜炎

角膜炎は、外傷や細菌・ウイルスなどの感染、ドライアイ(KCS、乾性角結膜炎)などが原因で起こります。目やにのほかに、目を気にしてこする、結膜の充血、痛みで目が開かない、流涙などの症状が見られ、重度の場合は角膜が白く濁って見えます。

原因となる病気の治療をしながら、抗生物質や消炎剤などの目薬による治療を行いますが、重度の場合は手術が必要になることがあります。シー・ズーやチワワ、パグなどの短頭種は目に傷がつきやすいため、注意が必要です。

犬の角膜炎の原因、気になる症状と治療法について獣医師が解説

角膜潰瘍

角膜潰瘍は、角膜に傷がついた状態のことを指し、目やにの他に目を気にしてこする、結膜の充血、痛みで目が開かない、流涙などの症状が見られます。

軽度の場合は、抗生物質や角膜保護成分が入った目薬による治療を行いますが、重度の場合は、手術が必要になることがあります。角膜穿孔(角膜に穴が開いた状態)にまで進行すると、眼球摘出をしなければならないケースもあるため、早期発見・早期治療が大切です。

犬の角膜潰瘍の原因、気になる症状と治療法について獣医師が解説

流涙症

流涙症とは、いわゆる「涙やけ」のことで、逆さまつげが原因で涙の量が増えたり、涙を目から鼻に流す鼻涙管が詰まることで涙があふれたりします。また、目やにが出るだけでなく、目の周りの毛が茶色っぽく変色します。

よく見られる犬種:シー・ズー、トイ・プードル、パグなど

原因となる病気の治療を行いながら、抗生物質や消炎剤などの目薬による治療を行います。

犬の流涙症の原因、気になる症状と治療法について獣医師が解説

犬の目やにが多くなる原因、病気とは?

ドライアイ

ドライアイは、自己免疫性や特発性(原因不明のもの)、神経性、先天性、外傷、感染症など、さまざまな原因で涙の量が減ってしまう病気です。黄色~緑色のネバネバした目やにが出るほかに、結膜の充血や角膜潰瘍、角膜の色素沈着などの症状が見られます。

よく見られる犬種:シー・ズーやウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、パグ など

治療は、人工涙液や抗生物質、免疫抑制剤などの目薬を用い、ほとんどのケースで生涯治療が必要になります。

犬のドライアイの原因、気になる症状と治療法を獣医師が解説

まつ毛の異常

逆さまつげや異所性睫毛(いしょせいしょうもう)など、まつ毛の生え方の異常によっても目やにが出ます。目やにのほかにも、結膜の充血、痛みで目が開かない、流涙、角膜潰瘍などの症状が見られます。

軽度の場合は、角膜保護剤といった目薬をさしながら動物病院で定期的にまつ毛を抜く処置を行いますが、重度の場合は、手術が必要になることがあります。

よく見られる犬種:トイ・プードル、シー・ズー、コッカー・スパニエル など。

眼瞼内反症・外販症

眼瞼内反症・外販症は、主に先天的な異常が原因で起こり、目やにのほかに、目を気にしてこする、結膜の充血、痛みで目が開かない、流涙などの症状が見られます。

軽度の場合は、目薬をさしたり、眼瞼内反症の場合は、目に当たっているまつ毛を抜く処置をしたりしますが、重度の場合は手術が必要になることがあります。眼瞼内反症は、トイ・プードルやシー・ズー、ペキニーズなどの犬種に、眼瞼外反症はコッカー・スパニエルやセント・バーナード、ラブラドール・レトリーバーなどに犬種によく見られます。

犬の眼瞼内反症の原因、気になる症状や治療法を獣医師が解説

犬のこんな目やにや症状が見られたら病院へ

犬のこんな目やにや症状が見られたら病院へ

心配のいらない犬の目やに

古い細胞やほこり、ゴミを体の外に出す際に出る目やには生理的なものであるため、問題のない目やにと言えます。

透明や白、グレーのさらっとした目やにや、茶色や黒のカサカサした目やにの場合は特に心配はありません。

病気が疑われる犬の目やに

次に挙げるような症状が見られる場合は、獣医師の治療が必要です。

  • 犬の目やにが急に増えた
  • 犬の目やにの色が黄色や緑色

また、以下に挙げるような症状が犬の目に見られる場合は、感染症や炎症など何にかしらの目の病気にかかっている可能性が考えられます。

  • 結膜の充血(目が赤い)
  • 羞明(しゅうめい:まぶしそうに目をシバシバさせること)

受診時の注意点

動物病院では、犬の目やにの色や状態(粘度など)を確認、検査するため、受診する前は目やにを取りすぎないようにしてください。また、問診では、いつごろから愛犬の目やにが出るようになったのか、目やに以外に何か症状はないかなどを確認するため、それらをメモして持参しましょう。

犬の保険について

犬の目やにの取り方、家庭内の対処法

犬の目やにの取り方、家庭内の対処法

病気が原因の目やには、むやみに自宅で対処しようとせず、まずは動物病院で治療を受け、獣医の指示を守るようにしましょう。ここでは、ご家庭でできる犬の目やにの取り方、対処法について紹介します。

犬の目やにの取り方は、濡らしたコットンやガーゼで、ふやかすように

犬の目やにを取ろうとするとき、ついティッシュを使ってしまいがちですが、目の表面を傷つけてしまうおそれがあるため、避けたほうが無難です。そこで、水やぬるま湯で濡らしたコットンやガーゼを用意し、目やにをふやかすようにしてやさしく取り除いてあげましょう。

ゴシゴシこすってしまうと犬の皮膚に炎症が起こったり、目の表面に傷がついたりするおそれがあるため、注意が必要です。

また、こびりついている目やにを無理やり引っ張って取ろうとすると、皮膚が引っ張られて犬が嫌がることがあります。そのため、うまく取れないときは目やにをしっかりふやかしてから、ノミ取りコームを使って取り除くようにしましょう。

犬の目やにを予防するには?

ほかの犬との接触を避けたり、短頭種ではお散歩中に木の枝のような尖ったものが目に刺さらないように気を付けたりすることで、外傷性のものはある程度予防することができます。

しかし、犬の目やにを引き起こす病気は遺伝や体質によるものが多いため、予防することが難しいケースがほとんどです。

そのため、日ごろから愛犬の目の様子をよく確認し、何か目がおかしいなと思ったらすぐに動物病院を受診することが大切です。

まとめ

目やにには問題のない目やにと治療が必要な目やにがあり、なかなか判断が難しいかもしれません。しかし、病気に気づかず放置してしまうと重症化してしまうことがあります。

そのため、日ごろから愛犬の目の様子をよく確認し、目やにの量が急に増えた、黄色から緑色の目やにが出ている、結膜が充血している、片目をつぶるようにしているなどの症状が見られる場合は、すぐに動物病院を受診するようにしましょう。

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犬の保険について

犬種別の保険料

  • 純血犬は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。犬種の区分については、「犬種分類表」をご確認ください。
  • ミックス犬の保険料は、年齢と体重により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類します。詳しくは、「犬種分類表」の「ミックス犬」の欄をご確認ください。
  • 猫の場合は、品種によらず純血猫もミックス猫もすべて同じ保険料です。
ア行~カ行犬の品種分類表
ア行
カ行
サ行~ナ行
サ行
タ行
ナ行
ハ行~ワ行・その他
ハ行
マ行
ヤ行
ラ行
ワ行
ミックス犬(※1)
  • 8か月未満:6kg未満
  • 8か月以上:8kg未満
  • 8か月未満:6kg以上~20kg未満
  • 8か月以上:8kg以上~25kg未満
  • 8か月未満:20kg以上
  • 8か月以上:25kg以上

※ 「犬種分類表」に記載のない犬種の分類につきましては別途お問い合わせ下さい。

PS保険

記事監修:ペットメディカルサポート株式会社

動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。