犬の目が白い原因は?病院に連れて行くべき症状を獣医師が解説

最終更新日:2024年09月09日

本コンテンツは獣医師2名による確認を行い、制作をしております。

愛犬の目が白っぽい、白く濁る、目に白い点ができる原因としてどんな病気が考えられるのでしょうか。また、病院に連れて行くタイミング、予防や対処法などを獣医師さんに伺ってみました。

目の病気は進行すると失明につながる場合があります。愛犬の目に気になることがあれば、すぐに獣医師さんに相談しましょう。

犬の目が白いのは白内障だから?病院に連れて行くべき症状を獣医が解説

犬の目が白い原因とは?

―犬の目が白くなるのは、白内障のせいですか? その原因を教えてください。

犬の目が白くなるというのは、同じ目の中でも白くなる部位による違いがあることをご存知でしょうか?

例えば、水晶体という目の中にあるレンズにあたる部分が白く濁り、透明度がなくなると、犬の目が白く見えます。また、角膜という、いわゆる黒目の表面部分を覆っているところが白くなる場合があります。白くなる原因はそれぞれ異なりますが、いずれも病気やケガなどが原因で白くなることがほとんどです。

犬の目が白い原因として考えられる病気とは?

犬の目が白い原因として考えられる病気とは?

―犬の目が白い原因として、どんな病気が考えられますか?

犬の目が白いと感じたら、まずは何らかの病気を疑う必要があります。もし、犬の目のどの部位が白くなっているのかを把握できれば、動物病院に行く前に飼い主さん自身である程度判断できるかもしれません。犬の目が白く変化しすいところとして、主にふたつの部位に分けられますので、以下の項目に分けて部位ごとに説明しましょう。

角膜が白く濁る場合

角膜は黒目の表面を覆っている部位で、透明な膜構造になっています。通常は透明なので光を眼球内まで通すことができるのですが、角膜が白く濁ると光や物の動きを捉えにくくなってしまいます。

角膜が白く濁る病気には、傷や炎症、免疫異常による乾性角膜炎、遺伝による角膜ジストロフィーなどが考えられます。

角膜の傷

角膜は表面がツルツルとした膜状の構造になっており、硬いものや鋭利なものが角膜に当たると表面に傷が付いてしまいます。また、角膜浮腫といって角膜の中に水がたまって、角膜全体が白く濁ることがあります。

角膜に傷が付き、炎症を引き起こしやすい犬種としては、パグやシー・ズーなど短頭種に比較的多く見られます。これは鼻先が短いことから、草むらの葉や家具の角などに目をぶつけてしまうために起こるとされています。傷を繰り返すと炎症が長引き、白濁した部分が黒くなる現象(色素沈着と呼ばれる)が起こる場合もあります。こうなると、元どおりに治る可能性が低くなってしまいます。

乾性角膜炎

免疫異常を原因とする角膜の濁りとしては、乾性角膜炎という涙が出なくなる病気があります。涙の産生が少なくなると両目の角膜が乾き、傷が容易に付くようになります。すると角膜炎を起こし、傷になっている部分が白い膜のように濁ります。この場合は角膜全体が白く濁るので、重症化すると失明してしまうことがあります。

角膜ジストロフィー

遺伝的な原因としては、角膜ジストロフィーという片目、もしくは両目の角膜に白い斑ができる病気があります。その理由は、コレステロールや脂質が犬の角膜に付着するためで、多くの場合、痛みやかゆみはありません。通常、犬の角膜の中心部分に小さい白い点や白い斑として見えるようになりますが、白斑(はくはん)が徐々に大きくなることもあります。

水晶体が白く濁る場合

白内障

水晶体は眼球の中のほうにあり、カメラのレンズに当たる部分です。この水晶体が白く濁る病気としては白内障が挙げられます。白内障は水晶体のタンパク質が異常変質して起こり、進行すると視力の低下を引き起こします。白内障の初期段階では水晶体は真っ白ではなく、白い筋状の線が水晶体部分に見えますが、その後、徐々に水晶体全体が白くなっていきます。

白内障は両目に起こることが多いのですが、片目のみに起こることもあります。この症状は、比較的高齢な犬に見られますが、何かほかのきっかけで若い時から片目の白内障を引き起こすこともあります。

核硬化症

白内障以外でも、犬が7~8歳ごろのシニア期に入ると、水晶体が白く濁って見えるようになります。これは白内障とは違い「核硬化症」と呼ばれ、視力が著しく落ちることはありません。核硬化症の場合は特に心配はなく、大抵の中高齢犬は同じような変化が見られるものです。

犬の目が白い、こんな症状ならすぐ病院へ

犬の目が白い、こんな症状ならすぐ病院へ

心配がいらない場合

―どのような症状や状態であれば、様子を見てもいいですか?

痛みやかゆみがなく、目を頻繁に閉じる様子がなければ緊急性はないと思われます。ただし、犬の目が白く見えるということは、何かしらの異常が出ている可能性もあるので、一度は動物病院で診てもらいましょう。

受診を強く勧める場合

―受診すべき状態の見分け方、併発するそのほかの症状を教えてください。

次に挙げるような症状があれば目の異常が起こっているので、できるだけ早めに動物病院を受診しましょう。

  • 痛みやかゆみがある
  • 目を閉じたり、しょぼつかせたりしている
  • 目やにや涙が多い
  • 白目や角膜部分に赤い色も見える

糖尿病の可能性

目だけでなく体調の変化が起こっている場合もあります。下記のような症状があって、白内障のように水晶体が白くなっていると、糖尿病の可能性があります。糖尿病を放っておくと死亡する可能性があるので緊急性が高い病気と言えます。

  • 飲水量が異常に多い
  • 食べているのに急に痩せてきた

「PS保険」では、24時間365日、獣医師による無料※電話相談サービス「獣医師ダイヤル」を提供しております。病院へ足を運ぶまでの応急処置を含む医療相談から、素朴な疑問まで幅広く応対してくれるので、もしものときも安心です。

※:通話料はお客さまのご負担になります。

※当サービスは、株式会社チェリッシュライフジャパン(CLJ)と提携し、アニクリ24のサービスを提供するものです。

※Anicli24(アニクリ24)は獣医師による電話医療相談サービスを提供する動物病院です。

犬の目が白くなった場合の対処法

犬の目が白くなった場合の対処法とさせないための予防法

―犬の目が白くなってきたら、どう対処すればいいのでしょうか?

角膜に傷が付いた場合

角膜に傷が付いた場合は、傷を治すために動物病院で点眼薬をもらいましょう。また、愛犬が痛みを伴う場合が多く、自分自身の目をこすることもあるため、エリザベスカラーといった顔周りをガードするものを装着する必要があります。治療中は、散歩は極力控えて安静にさせ、早めに治してあげることが最善の方法です。

乾性角膜炎の場合

乾性角膜炎についても、点眼薬での治療が必要です。この病気は完治が難しいため、長期的に点眼によるケアをしてあげましょう。

白内障の場合

白内障も完治は困難です。しかし、白内障の進行はゆっくりな場合が多いので、家具の配置を愛犬の視力が低下する前と同じ状態にして、生活しやすくしてあげるといいでしょう。また、暗い夜道での散歩はまったく見えなくなる場合があります。明るいうちであれば少しは見えて、歩きやすいかもしれません。

犬の目が白くなるのを予防にするには?

―予防法や飼い主が日ごろから気を付けるべきことを教えてください。

日ごろから愛犬の目の状態を観察しておくことが大切です。そうすれば異常があったときに、ここがおかしいと気付きやすくなります。

また、老年性白内障の場合には、進行抑制を目的とした点眼薬がありますが、発症そのものの予防や治癒させる効果はないので使用に関してはケースバイケースになるでしょう。

そのほか、犬の目が白くなるケースとして多いのが、角膜の傷や炎症を伴うものなので、少しでも愛犬の目が白く見えたり、痛みを感じたりしているように思えるときには早めに動物病院を受診することが大切です。特に短頭種の犬では目を傷つけないように、草むらの散歩に気を付け、また、目の周りをどこかにぶつけないように注意してあげる必要があります。

まとめ

一概に犬の目が白いと言っても、その部位によってさまざまな病気と原因があります。目のどこが悪いのかは飼い主さん自身が見極めることは難しいことも多く、さらに目の異常はこじれて重症化すると、完治させるまでに非常に時間がかかるものです。

そのため、愛犬の目が白いと感じた段階で、できるだけ早く動物病院で診てもらいましょう。

そのほか気になる犬の体や行動の異常・変化については、獣医師監修の「犬の症状」を併せてご覧ください。

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犬種別の保険料

  • 純血犬は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。犬種の区分については、「犬種分類表」をご確認ください。
  • ミックス犬の保険料は、年齢と体重により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類します。詳しくは、「犬種分類表」の「ミックス犬」の欄をご確認ください。
  • 猫の場合は、品種によらず純血猫もミックス猫もすべて同じ保険料です。
ア行~カ行犬の品種分類表
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  • 8か月未満:6kg未満
  • 8か月以上:8kg未満
  • 8か月未満:6kg以上~20kg未満
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  • 8か月以上:25kg以上

※ 「犬種分類表」に記載のない犬種の分類につきましては別途お問い合わせ下さい。

PS保険

記事監修:ペットメディカルサポート株式会社

動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。