犬がアルコールを飲んだときの症状と応急処置を獣医が解説

最終更新日:2024年03月22日

アルコールは、犬が飲むと中毒を引き起こしてしまう危険なものです。愛犬がアルコールをなめてしまった、飲んでしまった場合、どんな症状が起こり、どう対処すべきかを獣医師が詳しく解説します。

犬がアルコールを飲んだときの症状と応急処置を獣医が解説

犬がアルコールを飲むと引き起こされる症状

犬はアルコールの成分を分解できず、アルコール中毒を引き起こされる

中毒症状はアルコール摂取後、30分ほどで現れる

犬は人間と異なり、摂取したアルコールを分解できません。その理由は、犬がアルコールを分解する酵素を持っていないからです。

人がアルコールを摂取すると、主にアルコール脱水素酵素によりアセトアルデヒドに分解され、さらにアセトアルデヒドはアルデヒド脱水素酵素により無害化されます。一方、犬は、これらの酵素や代謝系を持っていません。そのため、胃や腸で急速に吸収された後、血液脳関門という脳や中枢神経にあるバリア機能を持つ部分を容易に通過してしまい、脳に影響を与えるのです。

ほかにも、アルコールが分解されないまま長時間体内に残るため、犬の体のさまざまな機能に悪い影響を与え続けてしまいます。量にもよりますが、通常、犬がアルコールを摂取してしまうと急速に吸収されるため、30分程度で中毒症状が現れる場合があります。

犬がアルコールを飲むと引き起こされる症状

犬がアルコールを飲んだかも!? こんな症状が見られたら病院へ

犬がアルコールを飲んでしまうと、次のような症状が現れます。

  • 酔っ払ったようにふらふらする
  • ぼんやりしている
  • ぐったりして動かない
  • 食欲がない
  • 嘔吐する
  • 意識がもうろうとする
  • 呼吸が弱くなる

特に、呼びかけても意識がもうろうとして反応が鈍くなっている場合や呼吸が弱い場合は、命にかかわる危険性があり、緊急性が高いと考えられます。このような場合はすぐに動物病院に問い合わせ、受診するようにしてください。

アルコールが含まれる食べ物

―アルコールが含まれるもので、犬が誤飲しかねないものを教えてください。

アルコールを含むお酒類の飲料はもちろんですが、アルコールを多く含んだチョコレートやケーキも危険です。また、加熱していない生のパン生地やピザ生地は、発酵によりアルコールを含んでいます。そのため、生のパン生地やピザ生地を誤って食べさせてしまうことのないように気を付けてください。

さらに、アルコール含有の傷の消毒薬や除菌シート、ウェットティッシュなどは、犬が誤ってなめてしまったり、遊んでいるうちに誤食したりするおそれがありますので注意しましょう。

犬がアルコールをどのくらい飲むと危険なのか

犬がアルコールをどのくらい飲むと危険なのか

犬がアルコールをなめた、少量を飲んでしまったらどうなるの?

―愛犬がアルコールをなめたり、少量を飲んでしまったりしたら、どうなってしまうのでしょうか? 様子を見ていても大丈夫ですか?

アルコールは少量であっても中毒を起こすおそれがあるため危険です。そのため、一概に少しなら大丈夫とは言えませんが、もしほんのひと口なめた程度であれば、症状が出るかどうかをよく観察しながら様子を見てもいいでしょう。

ただし、なめただけでなく少量飲んでしまった場合であれば、様子を見ることはせず、まずは動物病院に問い合わせて指示を仰ぐようにしてください。この時、どんなものをいつ、どのくらい摂取したかを正確に伝えられるようにしてください。

犬にとって危険なアルコールの摂取量

―どのくらいの量のアルコールを飲むと中毒症状が出るのですか?

犬にとってアルコールは分解して無害化できない危険なものです。ほんの少量でも中毒を起こす危険性があるとされ、犬の体重1kgあたり95%アルコール5~6mlで致命的になると言われています。

犬の体重1kgあたり種類別アルコールの危険量

  • ビール(アルコール度数5%)約110ml
  • ワイン(アルコール度数10%)約50ml
  • 日本酒(アルコール度数15%)約37ml
  • ウイスキー(アルコール度数40%)約14ml

このように、非常に少ない量で致死的になるとわかります。3kgの小型犬ならワインをコップ1杯程度飲んでしまっただけで中毒量に達してしまうので、誤って口にさせないよう日ごろから注意しておく必要があります。

犬がアルコールを飲んでしまったときの応急処置

犬がアルコールを飲んでしまったときの応急処置

家庭内ですべき応急処置、対処法

―愛犬がアルコールを飲んでしまったら、家庭でどう対処したらいいのでしょうか?

まずは落ち着いて動物病院に連絡し、どのように対処すべきかを相談しましょう。絶対に自己判断で吐かせるといった処置をしないようにしてください。吐かせることは、愛犬の体調悪化をさらに促してしまうリスクがあり、誤嚥(ごえん)の危険が伴います。吐かせるかどうかは、必ず獣医師に判断してもらいましょう。すでにアルコールが犬の体内に吸収されて症状が出始めた場合でも、動物病院を受診し、治療をお願いしてください。

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病院での対処法

―愛犬がアルコールを飲んでしまったら、病院ではどのような処置をするのですか?

アルコールを摂取して間もなければ、すぐに動物病院に連絡し、吐かせるかどうかを相談します。症状が出ている場合は、それに合わせて血液検査を始め各種検査を行い、また、点滴といった治療も並行して行うでしょう。場合によっては入院治療になることがあります。

まとめ「犬にアルコールを飲ませてはいけない」

愛犬が誤ってアルコールを飲んでしまうことは日常的に起こりうることでしょう。犬が人間のように酔っ払っても、しばらくすれば元に戻ると勘違いしやすいかもしれません。しかし、犬はアルコールを分解できず、その成分は長時間にわたり体内に残って悪影響を及ぼし続けます。そのため中毒を起こしやすく、命にかかわる可能性の高い危険なものです。

また、アルコールは摂取すると急速に吸収される性質から、治療が難しくなる可能性が高くなります。そのため、愛犬にアルコールを口にさせないよう徹底して注意することが大切です。

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犬種別の保険料

  • 純血犬は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。犬種の区分については、「犬種分類表」をご確認ください。
  • ミックス犬の保険料は、年齢と体重により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類します。詳しくは、「犬種分類表」の「ミックス犬」の欄をご確認ください。
  • 猫の場合は、品種によらず純血猫もミックス猫もすべて同じ保険料です。
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