犬がコーヒーを飲んだときの症状と応急処置を獣医が解説
最終更新日:2024年07月09日
本コンテンツは獣医師2名による確認を行い、制作をしております。
コーヒーに含まれるカフェインは、犬が飲むと中毒を引き起こしてしまう危険なものです。愛犬がコーヒーをなめてしまった、飲んでしまった場合、どんな症状が起こり、どう対処すべきかを獣医師が詳しく解説します。
犬がコーヒーを飲むと引き起こされる症状
コーヒーの成分「カフェイン」が犬に中毒を引き起こす
―犬がコーヒーを飲むと、何が原因で、どんな症状が現れるのですか?
コーヒーを飲むと眠れなくなるということをご存知の方は多いでしょう。これはコーヒーに含まれているカフェインが原因で、カフェインには中枢神経を刺激して興奮させる作用があります。この作用は犬に対しても現れ、犬がカフェインを大量に摂取してしまうと中毒を引き起こす危険性があります。
犬がコーヒーを飲んだかも!? こんな症状が見られたら病院へ
犬がコーヒーを飲んでしまうと、多くのケースでは2~4時間以内に次のような症状が見られるようになります。
- 落ち着きがなくなる
- 水をたくさん飲む
- 尿失禁
- 嘔吐
- 下痢
- 頻脈
さらに、中毒が進行していくと、下記のような重い症状が見られるようになり、最悪の場合、死に至ることもあります。
- 高血圧
- 不整脈
- 筋肉の硬直
- けいれん
- ぐったりする
カフェインが含まれる主な食品
―コーヒー以外に、犬に害を及ぼすカフェインが含まれる食品について教えてください。
緑茶や紅茶、エナジードリンク、栄養ドリンク、ココアパウダー、チョコレート、ガムなどにもカフェインは含まれています。
カフェインレスコーヒーはカフェインが含まれる
―カフェインレスコーヒーであれば愛犬に飲ませても大丈夫ですか?
カフェインレスコーヒーはカフェインを90%以上除去したコーヒーのことを指すため、少量ですがカフェインが含まれています。そのため、愛犬に飲ませないようにしましょう。
同じようなものに「デカフェ」がありますが、「デカフェ」ももともと含まれているカフェインを取り除いたものを指すため、少量のカフェインが含まれています。
犬がコーヒーをどのくらい飲むと危険なのか
犬がコーヒーをなめた、少量を飲んでしまったらどうなるの?
―愛犬がコーヒーをなめたり、少量を飲んでしまったりしたら、どうなってしまうのでしょうか? 様子を見ていても大丈夫ですか?
コーヒーをなめたり少量を飲んでしまったりといった程度であれば、問題ないことがほとんどです。ただし、コーヒーを飲んでから比較的短時間で中毒症状が見られることが多いため、念のため数時間は愛犬の様子をよく観察するようにしてください。
犬にとって危険なコーヒーの摂取量
―どのくらいのコーヒーの量を飲むと中毒症状が出るのですか?
まずは、コーヒーなどの飲み物に含まれる100mlあたりのカフェイン量について説明しましよう。
- インスタントコーヒー:約60mg(粉末2g+熱湯140mlの場合)
- 玉露:約160mg
- 煎茶:約20mg
- 紅茶:約30mg
- エナジードリンク:約30~40mg
- 栄養ドリンク:約50mg
参考:全日本コーヒー協会
また、ココアパウダーに含まれるカフェインの量は、ピュアココアの場合、粉末1gあたり2mgですが、ミルクココアであれば粉末100gであっても微量しか含まれていません。
チョコレートやガムも商品や種類によってカフェインの含有量は異なりますが、ミルクチョコレートの板チョコ1枚(50g)あたり約14mg、ブラックガム1粒、もしくは1枚あたり約12mgのカフェインが含まれています。
犬の体重1kgあたりカフェイン摂取量と症状の程度
次に、犬の体重1kgあたりのカフェイン摂取量と症状の程度について説明しましょう。
- 20mgで軽度の症状
- 40~50mgで重度の症状
- 60mgで発作
致死量はそれよりも多く、体重1kgあたり140㎎だと言われています。
参考:Some food toxic for pets
これらを基に体重3kgの小型犬で考えてみると、コーヒーを200ml以上飲んでしまうと重度の症状が現れることになります。ただし、カフェインによる中毒は個体差があることや、商品や抽出方法などによってカフェインの含有量が異なることから、この量より少なければ安心というわけではありません。
犬がコーヒーを飲んでしまったときの応急処置
家庭内ですべき応急処置、対処法
―愛犬がコーヒーを飲んでしまったら、家庭でどう対処したらいいのでしょうか?
一刻も早く動物病院を受診することが大切です。動物病院でコーヒーを飲んでしまったときの状況を伝えられるように、次に挙げるようなことをメモして持参するようにしましょう。
- コーヒーを飲んでしまった時間
- コーヒーの種類
- 摂取量
特に犬の体重1kgあたりコーヒーを40~50mg以上摂取してしまった場合や、摂取から時間が経っていて、すでに中毒症状が出てしまっている場合は、すぐに処置をしなければなりません。そのため、動物病院を受診する前にあらかじめ電話で状況を説明し、動物病院に到着後、すぐに処置を受けられるようにしましょう。
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ペットメディカルサポート株式会社のペット保険「PS保険」では、24時間365日、獣医師による電話相談サービス「獣医師ダイヤル」を提供しています。愛犬のお困りごとがありましたら、いつでも獣医師に相談できます。
病院での対処法
―犬がコーヒーを飲んでしまったら、病院ではどのような処置をするのですか?
多くの場合は薬を使って吐かせる処置(催吐処置)を行ったり、中毒物質を吸着してくれる活性炭の投与を行ったりして解毒を試みます。また、催吐処置ができない場合には胃洗浄を行うこともあります。コーヒーを飲んでから2~4時間以内にこれらの処置を行うことができれば、通常は予後良好(回復の見込みが良好であること)です。
すでに症状が現れている場合は、すぐに入院し、点滴や薬剤の投与など、症状に合わせた治療が行われます。
気になる治療費ですが、活性炭の投与、催吐処置、入院治療の順に高くなり、入院治療中はさまざまな検査を行わなければならないため、一連の治療費は10万円を超えることもあります。
※こちらの診療費は参考例です。平均や水準を示すものではありません。診療費は病院によって異なります。
まとめ「犬にコーヒーを飲ませてはいけない」
愛犬がコーヒーを飲んでしまったとき、一番大切なことは飼い主さんが落ち着いて行動をすることです。
コーヒーは中毒症状が比較的短時間で現れますが、それでも2~4時間以内に動物病院で処置を受けることができれば、愛犬を助けられる可能性が高くなります。愛犬の体調やコーヒーを飲んでしまった状況をしっかりと確認し、すぐに動物病院を受診するようにしましょう。
愛犬に食べさせていいかを迷ったり、何かを食べて具合が悪くなったかもしれないと思ったりしたら、獣医師監修の「犬が食べてはいけない危険な食べ物」「犬が食べても大丈夫なもの」を併せてご覧ください。
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犬種別の保険料
- 純血犬は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。犬種の区分については、「犬種分類表」をご確認ください。
- ミックス犬の保険料は、年齢と体重により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類します。詳しくは、「犬種分類表」の「ミックス犬」の欄をご確認ください。
- 猫の場合は、品種によらず純血猫もミックス猫もすべて同じ保険料です。
ア行~カ行犬の品種分類表
ア行
- アーフェンピンシャー
- アイリッシュ・ウルフハウンド
- アイリッシュ・セター
- 秋田
- アフガン・ハウンド
- アメリカン・コッカー・スパニエル
- アメリカン・スタッフォードシャー・テリア
- アメリカン・ピット・ブルテリア
- アメリカン・フォックスハウンド
- アラスカン・マラミュート
- イタリアン・グレーハウンド
- イングリッシュ・コッカー・スパニエル
- イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル
- イングリッシュ・セター
- イングリッシュ・ポインター
- ウィペット
- ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
- ウェルシュ・コーギー・カーディガン
- ウェルシュ・コーギー・ペンブローク
- ウェルシュ・スプリンガー・スパニエル
- ウェルシュ・テリア
- エアデール・テリア
- オーストラリアン・キャトル・ドッグ
- オーストラリアン・ケルピー
- オーストラリアン・シェパード
- オーストラリアン・シルキー・テリア
- オーストラリアン・テリア
- オールド・イングリッシュ・シープドッグ
カ行
- カーリーコーテッド・レトリーバー
- 甲斐
- カニーンヘン・ダックスフンド
- キースホンド/ジャーマン・ウルフスピッツ
- 紀州
- キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
- キング・チャールズ・スパニエル
- グレート・デーン
- グレート・ピレニーズ
- グレーハウンド
- ケアーン・テリア
- ケリー・ブルー・テリア
- コーイケルホンディエ
- コーカサス・シープドッグ
- ゴードン・セター
- ゴールデン・レトリーバー
- コリア・ジンドー・ドッグ
- コリー
サ行~ナ行
サ行
- サモエド
- サルーキ
- シー・ズー
- シーリハム・テリア
- シェットランド・シープドッグ
- 四国
- 柴(小柴・豆柴も含む)
- シベリアン・ハスキー
- シャー・ペイ
- ジャーマン・シェパード・ドッグ
- ジャーマン・ポインター
- ジャイアント・シュナウザー
- ジャック・ラッセル・テリア
- スカイ・テリア
- スキッパーキ
- スコティッシュ・テリア
- スタッフォードシャー・ブル・テリア
- スタンダード・シュナウザー
- スタンダード・ダックスフンド
- スタンダード・プードル
- セント・バーナード
タ行
- ダルメシアン
- ダンディ・ディンモント・テリア
- チェサピーク・ベイ・レトリーバー
- チベタン・スパニエル
- チベタン・テリア
- チベタン・マスティフ
- チャイニーズ・クレステッド・ドッグ
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- 狆(ちん)
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ナ行
- ナポリタン・マスティフ
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ハ行~ワ行・その他
ハ行
- バーニーズ・マウンテン・ドッグ
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ラ行
- ラージ・ミュンスターレンダー
- ラサ・アプソ
- ラブラドール・レトリーバー
- レークランド・テリア
- レオンベルガー
- ローデシアン・リッジバック
- ロットワイラー
ワ行
ミックス犬(※1)
- 8か月未満:6kg未満
- 8か月以上:8kg未満
- 8か月未満:6kg以上~20kg未満
- 8か月以上:8kg以上~25kg未満
- 8か月未満:20kg以上
- 8か月以上:25kg以上
※ 「犬種分類表」に記載のない犬種の分類につきましては別途お問い合わせ下さい。