犬がお茶を飲んだときの症状と応急処置を獣医が解説

最終更新日:2024年03月27日

お茶に含まれるカフェインは、犬にとっては中毒を引き起こす有害なものです。愛犬がカフェイン入りのお茶をなめてしまった、飲んでしまった場合、どんな症状が起こり、どう対処すべきかを獣医師が詳しく解説します。

犬がお茶を飲んだときの症状と応急処置を獣医が解説

犬がお茶を飲むと引き起こされる症状

お茶の成分「カフェイン」が犬にカフェイン中毒を引き起こす

―犬が飲むと、何が原因で、どんな症状が現れるのですか?

お茶は健康に良い飲み物と考えられがちですが、実は犬にとって有害になりうるものだということをご存知でしょうか?

お茶には種類によってカフェイン入りのものがあり、このカフェインに犬は感受性が高いために中毒を引き起こしやすいのです。そのため、安易にお茶を愛犬に与えてはいけません。

犬がカフェインを過剰に摂取すると速やかに吸収され、通常、数時間以内に興奮、心拍数の増加、下痢、吐気などを引き起こします。また、カフェインには、その代謝物としてテオブロミンという成分も含まれ、これには中枢神経興奮作用があり、痙攣(けいれん)やてんかん様発作を誘発する場合があります。

犬がお茶を飲むと引き起こされる症状

犬がお茶を飲んだかも!? こんな症状が見られたら病院へ

犬がカフェイン入りのお茶を飲んで中毒を起こすと、具体的には以下のような症状が現れます。

  • 興奮
  • 心拍数の増加
  • めまい
  • 不安や不眠
  • 震え
  • 下痢
  • 嘔吐
  • 尿失禁
  • てんかん様発作
  • けいれん

これらの症状のうち、震えやてんかん様発作、けいれんといった症状が見られる場合は緊急性が高いと考えられるため、急いで動物病院に連絡し指示を仰ぎましょう。

犬にとって危険なカフェインが含まれる食品

―犬が誤飲してしまいそうな、お茶のようにカフェインが含まれる食品について教えてください。

下記のように、ココアやコーラ、ミルクチョコレートなど甘さがあるものは、犬が好んで食べてしまうことがあるため要注意です。

飲料の場合

  • コーヒー
  • ココア
  • 栄養ドリンク
  • コーラ

食品の場合

  • ブラックチョコレート
  • ミルクチョコレート
  • ブラックガム(眠気覚ましガム)

犬が飲んでも大丈夫なお茶は?

―カフェインが含まれていなければ、犬にお茶を与えても大丈夫ですか?

カフェインが入っていないお茶であれば、犬に飲ませても影響はないはずですが、カフェインレスとうたった飲料はカフェイン0%ではなく微量に残っています。そのため、カフェインレスのお茶も犬には与えないほうがいいでしょう。

―どんなお茶なら安全ですか?

カフェインが入っていないお茶として代表的なものは、下記のとおりです。

  • 麦茶
  • はと麦茶
  • そば茶
  • タンポポ茶
  • 黒豆茶
  • ルイボス茶

これらのお茶はカフェインが元々入っていないため、安全に与えられるでしょう。ただし、そばアレルギーのようなアレルギー体質がある犬は、与える際に注意が必要です。いずれにしても一度にたくさんのお茶を与えるのは良くありません。少しずつ様子を見ながら与えるようにしましょう。

犬がお茶をどのくらい飲むと危険なのか

犬がお茶をどのくらい飲むと危険なのか

犬がお茶をなめた、少量を飲んでしまったらどうなるの?

―愛犬がお茶をなめたり、少量を飲んでしまったりしたら、どうなってしまうのでしょうか? 様子を見ていても大丈夫ですか?

犬はカフェインに感受性が高く、少しの摂取でも速やかに吸収されてしまいます。そのため、できるだけお茶は口にさせないことが大切ですが、通常はある程度の液体量として摂取しなければ、すぐに中毒症状は現れないと考えられます。

ひと口やごく少量であれば、まずは慌てず様子を見て、愛犬に変化がないかどうかを見てあげましょう。

犬にとって危険なお茶の摂取量

―どのくらいの量のお茶、カフェインを飲むと中毒症状が出るのですか?

犬のカフェイン中毒は体重1kgあたり約20mgで、下痢や嘔吐といった症状が現れ始め、40~50mgで循環機能に影響が出ると言われています。さらに、致死量は約140mg(120~200mg)と言われていますが、そこまで過剰な量でなくても死亡する可能性があるため、カフェインは犬にとって非常に注意しなければならない成分です。

各お茶100mlに含まれるカフェインの量は以下のとおりです。

  • せん茶 20mg
  • ウーロン茶 20mg
  • 紅茶 30mg
  • 玉露 160mg

引用元:http://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/factsheets_caffeine.pdf

せん茶なら、体重1kgあたり100mlでカフェイン中毒の症状が現れる可能性が高くなります。そして、致死量は中毒量の6~7倍量となります。例えば、体重3kgの小型犬だと、玉露をコップ1杯強(260ml)飲んだだけで致死量に達してしまうのです。

犬がお茶を飲んでしまったときの応急処置

犬がお茶を飲んでしまったときの応急処置

家庭内ですべき応急処置、対処法

―愛犬が、カフェイン入りのお茶を飲んでしまった場合、自宅でできる応急処置について教えてください。

家庭内でできることはほとんどないため、まずは動物病院に電話をして、お茶の種類と飲んだ量、どんな症状が出ているか、飲んでしまった時間などをわかる範囲でしっかりと伝えられるようにしましょう。

すぐに治るかもしれないからと様子を見ることは、悪化させてしまう可能性が高いため避けてください。

愛犬の急なトラブルに、24時間365日、獣医師が電話で直接サポート

ペットメディカルサポート株式会社のペット保険「PS保険」では、24時間365日、獣医師による電話相談サービス「獣医師ダイヤル」を提供しています。愛犬のお困りごとがありましたら、いつでも獣医師に相談できます。

病院での対処法

―犬がカフェイン入りのお茶を飲んでしまったら、病院ではどのような処置をするのですか?

神経症状や循環器の異常が出ている場合があるため、心電図をとり、状態を把握するために血液検査をしたうえで静脈点滴を行います。

お茶を飲んで30分以内の場合なら、吐かせる処置や鎮静下で胃洗浄をする場合もあります。

まとめ「犬にカフェイン入りのお茶を飲ませてはいけない」

ほとんどのお茶にはカフェインが含まれているため、犬にお茶を飲ませてしまうとカフェイン中毒を引き起こす可能性があります。犬は、一旦カフェインを吸収し中毒を起こすと、治療が難しくなるだけでなく、量によっては死亡する場合もあるため、お茶を飲ませないよう最大限注意してください。

万が一、愛犬が誤ってお茶の成分を口にしてしまった場合には、速やかに動物病院へ連絡し、すぐに連れて行くべきかを必ず相談しましょう。

愛犬に食べさせていいかを迷ったり、何かを食べて具合が悪くなったかもしれないと思ったりしたら、獣医師監修の「犬が食べてはいけない危険な食べ物」「犬が食べても大丈夫なもの」を併せてご覧ください。

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