犬がパンを食べると起こりうる症状と応急処置を獣医が解説

最終更新日:2024年07月08日

本コンテンツは獣医師2名による確認を行い、制作をしております。

犬にパンは、与え方に注意すれば、与えても問題ありません。ただし、内容物に注意しないと中毒症状を始め、さまざまな害があります。犬にとってどんなパンが良くて、どんなパンが危険なのか、また起こりうる症状や対処法について、獣医師が詳しく解説します。

犬がパンを食べると起こりうる症状と応急処置を獣医が解説

犬がパンを食べても大丈夫。ただし、注意は必要

―犬に人が食べるパンを与えても問題ありませんか?

パンの基本材料は直接犬に中毒を引き起こすような危険物質を含まないため、基本的には犬が「人間用のパン」を食べても問題はありません。

しかし、人間用のパンは種類が豊富で、中には犬に有害なものもあります。犬に与えても問題のないパンは、バターや生クリームなどの油分や塩分、糖分の含有量がいずれも控えめなものです。犬用のパンであればこれのような成分が控えられているため、安心して食べさせられます。犬に与えられるような材料でパンを手作りしてもいいかもしれません。

もし「人間用のパン」を犬に与えたい場合には、おやつ程度に1〜2口程度にとどめておくだけでなく、以下のような点に注意しましょう。

犬に人用のパンを与える際に注意が必要な理由とは?

犬に人用のパンを与える際に注意が必要な理由とは?

中毒症状を引き起こす成分が含まれる

総菜パンに含まれる可能性のあるものとして玉ねぎのようなネギ類があります。玉ねぎには犬の赤血球を破壊する成分が含まれているため、貧血を引き起こし、死亡する可能性があります。

また、レーズンパンも禁忌(読み:きんき、意味:してはいけないこと)です。犬がレーズンを食べると急性腎不全を引き起こされ、死亡してしまう場合があります。

ほかにもチョコレートはテオブロミン中毒を、マカダミアナッツはマカダミアナッツ中毒を引き起こす可能性があるので、食べさせないようにしてください。

菓子パンの中には保存料や香辛料などが使われている場合があり、犬にとって有害に働く可能性があるため、たくさん与えないようにしてください。

塩分過多

多くのパン生地には、材料中の1.5%程度の塩が含まれます。また、ハムやベーコンなど塩分量の多い食材が使われる総菜パンを犬が丸ごと食べてしまうと、塩分を取りすぎてしまいます。ちなみに、体重5kgの成犬が一日に必要とする塩分量は0.635gですが、ロースハム2枚で1.0gの塩分が含まれるのです。

カロリー過多

パンは糖分や脂質が多く含まれているため、比較的高カロリーな食べ物です。少しだけなら食べさせてもいいだろうと思っても、食パン6枚切り1枚で158キロカロリーのため、すぐにカロリー過多になってしまいます。

アレルギー

パンに含まれる材料にアレルギー反応を起こす場合があります。特に、小麦アレルギーは犬でも最近増えており、パンを日常的に食べさせているとアレルギーを発症することがあるので注意が必要です。

また、惣菜パンや菓子パンには、小麦のほかに牛乳やとうもろこし、添加物、香辛料など、さまざまな成分が含まれます。そのため、特にアレルギー体質の犬には与えないほうがいいでしょう。

犬にとって危険なパンの種類

犬にとって危険なパンの種類

犬がパンを少し食べてしまったらどうなるの?

―愛犬が少量のパンを食べてしまったりしたら、どうなってしまうのでしょうか? 様子を見ていても大丈夫ですか?

中毒を引き起こすような材料が含まれていなければ基本的には問題ありません。油分や塩分、糖分は犬にとって長期的に見て良いものではありませんが、食べたとしてもすぐに対処しなければならないものではないからです。

菓子パンや総菜パンに含まれる中毒物質に要注意

しかし、レーズンや玉ねぎなど、犬に中毒を引き起こす食材を含む菓子パンや惣菜パンを食べた場合、できるだけ早く動物病院を受診するようにしてください。

犬に与えてはいけないパンの種類

  • 惣菜パン
  • 菓子パン
  • デニッシュパン
  • レーズンパン
  • チョコレートパン
  • カレーパン(玉ねぎが含まれる)

また、愛犬に小麦アレルギーがあると、下痢や皮膚のかゆみといった症状が見られる場合があります。しかし、たくさん食べなければ症状の悪化はほとんどないため、愛犬の具合が落ち着いているようなら、まずは様子を見ましょう。

犬がパンを食べたかも!? こんな症状が見られたら病院へ

―どんな症状が見られたら、動物病院を受診すべきでしょうか?

以下のような症状であれば受診を勧めます。

  • 下痢が数日続く
  • 嘔吐
  • 食欲がなく元気がなくなった
  • 体をかゆがり顔が腫れている

犬にとって危険な食材の摂取量

―どのくらいの量を食べると中毒症状が出るのですか?

菓子パンや惣菜パンに含まれる危険物質の量は正確に測れるものではないため、どの程度食べたらだめなのかということはわかりません。また、個体差がありますが、パンの材料として使われる食材で犬にとって害を及ぼす量(体重1kgあたり)は、以下のように示されています。

  • チョコレート(テオブロミン中毒量)20mg
  • ネギ類(ネギ中毒量)5~10g
  • レーズン(ぶどう中毒量)2.8g(レーズン5、6粒程度)
  • 食塩2~3gで中毒症状、4gで致死量

犬がパンを食べて具合が悪くなった場合の応急処置

犬がパンを食べて具合が悪くなった場合の応急処置

家庭内ですべき応急処置、対処法

犬が食べてもすぐには害にならない食パンのようなパンでも、たくさん食べてしまった場合は、念のため動物病院に問い合わせてください。どのくらいの量をいつごろ食べたのか、現時点で何かしらの症状が出ているのかを伝えるといいでしょう。

レーズンパンや玉ねぎの入った惣菜パンを食べてしまった場合には、すぐに診てもらうべきかをできるだけ早く動物病院に相談しましょう。

パンは消化吸収されるまで目立った症状が現れないことが多いため、危険物質の入ったパンを食べた場合には決して様子を見ようとしてはいけません。

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病院での対処法

食パンをたくさん食べた場合は、レントゲンを撮り、様子を見るだけの場合があります。しかし、危険物質を一緒に食べてしまった場合は、その原因物質による症状に合わせた治療を行います。場合によっては入院治療を行うため、診療費には大きな幅があります。

まとめ「犬には総菜・菓子パンを避け、低カロリーのパンを少量で」

惣菜パンや菓子パンは、犬に中毒を引き起こす材料がしばしば含まれるので、食べさせないでください。また、食べられるパンであってもできるだけ脂質や糖質を控えた低カロリーのパンを、おやつ程度の1~2口にとどめましょう。

関連リンク

愛犬に食べさせていいかを迷ったり、何かを食べて具合が悪くなったかもしれないと思ったりしたら、獣医師監修の「犬が食べてはいけない危険な食べ物」「犬が食べても大丈夫なもの」を併せてご覧ください。

犬種別の保険料

  • 純血犬は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。犬種の区分については、「犬種分類表」をご確認ください。
  • ミックス犬の保険料は、年齢と体重により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類します。詳しくは、「犬種分類表」の「ミックス犬」の欄をご確認ください。
  • 猫の場合は、品種によらず純血猫もミックス猫もすべて同じ保険料です。
ア行~カ行犬の品種分類表
ア行
カ行
サ行~ナ行
サ行
タ行
ナ行
ハ行~ワ行・その他
ハ行
マ行
ヤ行
ラ行
ワ行
ミックス犬(※1)
  • 8か月未満:6kg未満
  • 8か月以上:8kg未満
  • 8か月未満:6kg以上~20kg未満
  • 8か月以上:8kg以上~25kg未満
  • 8か月未満:20kg以上
  • 8か月以上:25kg以上

※ 「犬種分類表」に記載のない犬種の分類につきましては別途お問い合わせ下さい。