犬がナッツ類を食べたときの症状と応急処置を獣医が解説

最終更新日:2024年03月21日

多くのナッツ類は犬が食べても問題ありませんが、マカダミアは中毒を引き起こしてしまう危険なものです。愛犬がビターアーモンドをなめてしまった、食べてしまった場合、どんな症状が起こり、どう対処すべきかを獣医師が詳しく解説します。

犬がナッツ類を食べたときの症状と応急処置を獣医が解説

犬が食べられるナッツと食べられないナッツとは?

犬が食べられるナッツ類と与え方の注意点

―犬が食べても大丈夫なナッツについて教えてください。

ナッツ類の中でもピーナッツ(落花生)は中毒を起こすことがなく、犬が食べても大丈夫なものの代表ですが、犬によってはアレルギーを引き起こす可能性があります。

また、次に挙げるナッツ類についても犬が中毒を引き起こしたという報告はなく、犬が食べても大きな問題はないとされています。

  • クルミ
  • アーモンド(スイートアーモンド)
  • カシューナッツ
  • ピスタチオ

ただし、これらのナッツ類を犬に与える際には、いくつか注意点があります。

まず、ナッツ類は基本的にどれも犬にとって消化が悪いため、食べすぎると嘔吐や下痢などの消化器症状を引き起こす可能性があります。次に、ナッツ類はカロリーが非常に高いため、食べすぎると肥満につながるおそれがあります。

さらに、犬がナッツ類を殻付きのまま食べてしまったり、丸飲みをしてしまったりした場合には、特に小型犬では腸に詰まってしまうおそれもあります。

ナッツ類をおやつとして愛犬に与えたい場合、その量は一日に必要なカロリー量を基に計算しましょう。犬のおやつの量は一日に必要なカロリー量の10~20%くらいが適量と言われています。そのため、例えば体重3kgの小型犬の場合、一日に必要なカロリーは約255kcalで、適量とされるおやつの量は、26から51kcalとなります。この量をひと粒あたり約3kcalのゆでピーナッツで換算すると、次のようになります。

255kcal×10~20%÷3kcal/粒=約8~17粒

犬が食べられないナッツ類

―犬にとって害のあるナッツについて教えてください。

ナッツ類の中でも、マカダミアナッツやビターアーモンドは犬に中毒を引き起こす可能性があります。

マカダミアナッツはお土産やチョコ菓子に使われていることが多く、比較的入手しやすい身近な食べ物です。一方、ビターアーモンドは食用ではなく、薬やオイルの原料として使用されているため、犬が誤って食べてしまうというケースはほとんどないでしょう。

ここでは、マカダミアナッツが犬に与える影響について解説します。

犬がマカダミアナッツを食べると引き起こされる症状

犬がナッツ類を食べたときの症状と応急処置を獣医が解説

犬に中毒を引き起こすマカダミアナッツの成分は不明

マカダミアナッツを食べた犬が中毒症状を起こしたという報告は多数あります。しかし、マカダミアナッツのどの成分が犬に対して中毒症状を引き起こすのかは、いまだにわかっていません。

犬がマカダミアナッツを食べたかも!? こんな症状が見られたら病院へ

マカダミアナッツを食べてから6~24時間の間に症状が現れますが、多くの場合はマカダミアナッツを食べてから12時間以内に次のような症状が現れます。

  • 嘔吐
  • 運動失調
  • 腹痛
  • 後ろ足の麻痺
  • 発熱

―マカダミアナッツが含まれる食べものについて教えてください。

ローストされたマカダミアナッツはもちろん、マカダミアナッツ・チョコレートやマカダミアナッツ・クッキー、マカダミアナッツ入りのサラダ、マカダミアナッツの豆乳飲料などにも注意が必要です。

マカダミアナッツの加工食品は、商品名やパッケージに「マカダミアナッツ」の文字がわかりやすく入っているものが多いため、マカダミアナッツが含まれているかどうか、比較的判断しやすいと思います。

犬がマカダミアナッツをどのくらい食べると危険なのか

犬がマカダミアナッツをどのくらい食べると危険なのか

犬がマカダミアナッツをなめた、少量を食べてしまったらどうなるの?

―愛犬がマカダミアナッツをなめたり、少量を食べてしまったりしたら、どうなってしまうのでしょうか? 様子を見ていても大丈夫ですか?

マカダミアナッツによる犬の中毒はまだ解明されていないことが多く、一概には言えませんが、なめたり少量を食べてしまったりした程度であれば、特に中毒症状は現れず、問題はないことが多いようです。

犬にとって危険なマカダミアナッツの摂取量

―どのくらいの量を食べると中毒症状が出るのですか?

オーストラリアのデータですが、体重1kgあたり0.7~4.9g、平均で3.5gの量を食べると中毒症状が現れるという報告※があります。これは体重3kgの犬の場合、マカダミアナッツ約1~8粒に相当しますが、比較的少量で中毒症状が現れることがわかります。
Macadamia nut poisoning of dogs.

マカダミアナッツによる犬の死亡例の報告がなく、致死量もわかっていませんが、逆にいえば絶対に死なないという根拠もないため、犬にマカダミアナッツを与えるのは控えるようにしましょう。

犬がマカダミアナッツを食べてしまったときの応急処置

犬がマカダミアナッツを食べてしまったときの応急処置

家庭内ですべき応急処置、対処法

―愛犬がマカダミアナッツを食べてしまった場合、家庭でできる応急処置を教えてください。

中毒症状は24時間以内に現れますので、最低でも1日は愛犬の様子をよく観察するようにしましょう。

また、嘔吐をしている場合、脱水が心配になり、水を与える飼い主さんが多いのですが、水を飲むことが刺激となってさらに吐いてしまいます。そのため、半日ほど絶食・絶飲するようにしましょう。

ただし、嘔吐が激しい場合は脱水を引き起こす可能性があるため、なるべく早く動物病院を受診するようにしてください。

愛犬の急なトラブルに、24時間365日、獣医師が電話で直接サポート

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病院での対処法

―犬がマカダミアナッツを食べてしまったら、病院ではどのような処置をするのですか?

マカダミアナッツによる中毒は、治療をしなくても発症から24~48時間以内に体調が回復することがわかっています。とはいうものの催吐処置(読み:さいとしょち、意味:吐かせること)を行ったり、嘔吐が激しい場合には吐き気止めの投与や点滴など、いわゆる対症療法(症状に合わせた治療方法)を行ったりすることもあります。気になる診療費は、場合によって検査を行うことがあり、1通院当たり5,000~2万円くらいかかります。

また、チョコレートでコーティングされたマカダミアナッツを食べた場合はチョコレート中毒を引き起こす可能性もあります。食べてしまった量によっては胃洗浄を行うことがあります。

まとめ「犬にマカダミアナッツを食べさせてはいけない」

ナッツ類は栄養豊富なので、愛犬に食べさせたいと思っている飼い主さんは少なくないかもしれません。しかし、ナッツ類は消化不良を起こしやすく、高カロリーであることから、特別な事情がない限りは愛犬に与えないほうがいいでしょう。

特に、マカダミアナッツは犬に対して中毒を引き起こすことがあるため、万が一、愛犬が口にしてしまった場合は最低でも24時間は体調を観察して、何かおかしいと思ったらすぐに動物病院を受診するようにしましょう。

愛犬に食べさせていいかを迷ったり、何かを食べて具合が悪くなったかもしれないと思ったりしたら、獣医師監修の「犬が食べてはいけない危険な食べ物」「犬が食べても大丈夫なもの」を併せてご覧ください。

関連リンク

犬種別の保険料

  • 純血犬は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。犬種の区分については、「犬種分類表」をご確認ください。
  • ミックス犬の保険料は、年齢と体重により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類します。詳しくは、「犬種分類表」の「ミックス犬」の欄をご確認ください。
  • 猫の場合は、品種によらず純血猫もミックス猫もすべて同じ保険料です。
ア行~カ行犬の品種分類表
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  • 8か月未満:6kg未満
  • 8か月以上:8kg未満
  • 8か月未満:6kg以上~20kg未満
  • 8か月以上:8kg以上~25kg未満
  • 8か月未満:20kg以上
  • 8か月以上:25kg以上

※ 「犬種分類表」に記載のない犬種の分類につきましては別途お問い合わせ下さい。