犬がいちじくを食べたときの症状と応急処置を獣医師が解説

いちじくには、犬に中毒を引き起こしてしまう危険な成分が含まれています。愛犬がいちじくをなめてしまった、食べてしまった場合、どんな症状が起こり、どう対処すべきかを獣医師が詳しく解説します。

犬がいちじくを食べたときの症状と応急処置を獣医師が解説

犬がいちじくを食べると引き起こされる症状

いちじくの成分「ソラレン」「フィシン」が犬に中毒を引き起こす

いちじくは「不老不死の果実」と呼ばれているほど美容や健康に良いため、愛犬にも食べさせてあげたいと考える飼い主さんは多いのではないでしょうか。しかし、いちじくを犬に与えると、むしろ健康を害するおそれがあります。

というのも、葉に多く含まれ、紫外線を多く吸収してしまう「ソラレン」や、茎の樹液に含まれ、タンパク分解酵素の「フィシン」といった成分が、犬に対して中毒を引き起こす可能性があるからです。

また、ラテックスに対してアレルギーをもっている犬では、いちじくに対してもアレルギー反応が起こることがあります。

犬がいちじくを食べたかも!? こんな症状が見られたら病院へ

犬がいちじくを食べると、胃腸や口の中に炎症が起こり、次のような症状が見られる場合があります。

  • 口内炎
  • よだれ
  • 食欲の低下
  • 嘔吐(おうと)
  • 下痢

また、いちじくの樹液が犬の皮膚に付着すると、皮膚に炎症を起こす場合もあります。

犬がいちじくを食べると引き起こされる症状

柑橘系の皮にも注意

ソラレンを多く含む食べ物には、次のようなものがあります。

  • みかん
  • レモン
  • ライム
  • グレープフルーツ
  • セロリ
  • パセリ

柑橘系のフルーツは「皮」にソラレンが多く含まれているため、愛犬に与える際は実の部分だけを与えるよう工夫をしましょう。

ラテックスアレルギーの犬に有害な果物

また、ラテックスアレルギーをもっている犬では、いちじくだけではなく、下記に挙げるような果物に対してもアレルギー反応を示すことがあります。

  • バナナ
  • アボカド
  • キウイ
  • メロン

これらの野菜や果物をそのまま愛犬に与えるのはもちろん、ジュースやジャム、スープなどの加工食品も与えないでください。

犬がいちじくをどのくらい食べると危険なのか

犬がいちじくをどのくらい食べると危険なのか

犬がいちじくをなめた、少量を食べてしまったらどうなるの?

犬がいちじくをどのくらい食べたら中毒症状を起こすのかは、いまだにわかっていません。また、中毒症状が現れるかどうかは個体差による部分も大きく、同じ量を食べても中毒症状が現れる犬と何ら体調の変化を示さない犬がいます。つまり、犬がいちじくをなめたり少量を食べたりした程度であっても、中毒症状が現れる可能性はゼロではないのです。

そのため、食べてしまったいちじくの量がたとえ少量であっても、しばらくは愛犬の体調をよく観察してください。先ほど紹介したような症状が見られた場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。

また、ジャムのように加熱してあっても、ドライフルーツのような乾燥させた食品であっても、いちじくを犬が食べると中毒を引き起こす可能性があるため、これらも愛犬に与えないよう気を付けましょう。

犬がいちじくを食べてしまったときの応急処置

犬がいちじくを食べてしまったときの応急処置

家庭内ですべき応急処置、対処法

愛犬が、いちじくを食べてしまったら、まずは愛犬の体調をしっかりと観察して、中毒症状が出ていないかどうかを確認します。愛犬に嘔吐や下痢、よだれなどの症状が見られる場合には、中毒の可能性があるため、軽度であっても動物病院を受診しましょう。

夜間や休日に症状が見られた場合は、動物病院の診察開始の時間を待つのではなく、かかりつけ医や救急対応をしている動物病院にすぐに連絡を入れ、治療を受けてください。

動物病院を受診する際には、次の事項をメモしておくと、診察時に慌てることなく正確な情報を伝えられるでしょう。

  • いちじくを食べた時間
  • 食べた量
  • 食べたいちじくの種類(生、乾燥、加熱済など)
  • 症状が現れ始めた時間
  • 現れた症状

また、愛犬が嘔吐や下痢をしている場合には、吐しゃ物やうんちをペットシーツでくるんだり、ビニール袋に入れたりして動物病院に持参するとよりいいでしょう。

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病院での対処法

いちじくを食べてからあまり時間が経っていない場合は、動物病院では、薬を使って吐かせる処置(催吐処置:さいとしょち)を行います。また、毒素を吸着させるために、活性炭を投与する場合もあります。犬の嘔吐や下痢がひどく、脱水状態に陥っている場合は点滴を行います。

症状が重度の場合には入院治療を行う場合もありますが、たいていは通院治療で済むでしょう。治療費は検査や治療の内容などによっても異なりますが、1万~2万円くらいです。入院が必要な場合や夜間・休日診療を受ける場合には、さらに治療費が高くなります。

※こちらの診療費は参考例です。平均や水準を示すものではありません。診療費は病院によって異なります。

まとめ「犬にいちじくを食べさせてはいけない」

人間にとっては良い効果をもたらしてくれるいちじくですが、犬が食べると中毒を引き起こし、嘔吐や下痢、よだれなどの症状が現れる場合があります。

いちじくが犬に中毒症状をもたらすメカニズムは、いまだに詳細が不明で少量の摂取でも中毒を引き起こす可能性があります。そのため、いちじくを愛犬に与えないことはもちろん、盗み食いにも注意が必要です。

愛犬が、万が一いちじくを食べてしまった場合には、体調をよく観察し、何か変わったことがあればすぐに動物病院を受診しましょう。

愛犬に食べさせていいかを迷ったり、何かを食べて具合が悪くなったかもしれないと思ったりしたら、獣医師監修の「犬が食べてはいけない危険な食べ物」「犬が食べても大丈夫なもの」を併せてご覧ください。

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犬種別の保険料

  • 純血犬は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。犬種の区分については、「犬種分類表」をご確認ください。
  • ミックス犬の保険料は、年齢と体重により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類します。詳しくは、「犬種分類表」の「ミックス犬」の欄をご確認ください。
  • 猫の場合は、品種によらず純血猫もミックス猫もすべて同じ保険料です。
ア行~カ行犬の品種分類表
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カ行
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サ行
タ行
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ハ行~ワ行・その他
ハ行
マ行
ヤ行
ラ行
ワ行
ミックス犬(※1)
  • 8か月未満:6kg未満
  • 8か月以上:8kg未満
  • 8か月未満:6kg以上~20kg未満
  • 8か月以上:8kg以上~25kg未満
  • 8か月未満:20kg以上
  • 8か月以上:25kg以上

※ 「犬種分類表」に記載のない犬種の分類につきましては別途お問い合わせ下さい。

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記事監修:ペットメディカルサポート株式会社

動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。