犬がぶどうを食べたときの症状と応急処置を獣医師が解説

最終更新日:2024年03月29日

ぶどうは、犬にとっては中毒を引き起こす有害なものです。犬がぶどうをなめてしまった、食べてしまった場合、どんな症状が起こり、どう対処すべきかを獣医師が詳しく解説します。

犬がぶどうを食べたときの症状と応急処置を獣医師が解説

犬がぶどうを食べると引き起こされる症状

ぶどうが犬に中毒症状を引き起こす

24時間以内に症状が現れ、その原因となる成分は不明

犬がぶどうを食べると、24時間以内に中毒を引き起こす可能性があります。ただし、残念ながら、ぶどうに含まれているどの成分が中毒を引き起こしているのかは、いまだにわかっていません。

犬がぶどうを食べると引き起こされる症状

犬がぶどうを食べたかも!? こんな症状が見られたら病院へ

初期症状として、ぶどうを食べてから6~12時間以内に次のような症状が見られます。

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 食欲不振
  • 腹痛

重度の場合、急性腎障害のおそれ

重度の場合は、ぶどうを食べてから24~72時間以内に急性腎障害を引き起こし、最悪の場合、死に至ることもあります。

ぶどうの成分が含まれる食べもの

犬にぶどう中毒を引き起こす原因物質はわかっていませんが、ぶどうの皮や、干しぶどうであるレーズンを食べた場合にも中毒を引き起こす場合があります。そのため、ぶどうやレーズンを使用したパンやお菓子、ジュース、ワインなどは注意が必要です。

犬がぶどうをどのくらい食べると危険なのか

犬がぶどうをどのくらい食べると危険なのか

犬がぶどうをなめた、少量を食べてしまったらどうなるの?

犬が、ぶどうをなめた程度であれば、多くの場合、問題ありませんが、少量であっても口にしてしまった場合は、先ほど紹介したような中毒症状が現れる可能性があります。そのため、愛犬がぶどうを食べた場合は、量にかかわらず動物病院を受診しましょう。

犬にとって危険なぶどうの摂取量

個体差があり、正確な量は断定できない

あるデータ(Acute Renal Failure in Dogs After the Ingestion of Grapes orRaisins: A Retrospective Evaluation of 43 Dogs (1992-2002)Paul A. Eubig, Melinda S. Brady, Sharon M. Gwaltney-Brant, Safdar A. Khan, Elisa M. Mazzaferro, andCarla M.K. Morrow、Canine renal pathology associated with grape or raisin ingestion: 10 cases Carla M. K. Morrow1, Victor E. Valli, Petra A. Volmer, Paul A. Eubig)によると、ぶどうであれば犬の体重1kgあたり4g、レーズンであれば体重1kgあたり2.8gで中毒症状を起こしたという報告があります。

しかし、犬に中毒症状が現れるかどうかには個体差によるところが多く、これ以上の量を食べたら危険、逆にこれくらいの量であれば安心、と断言できません。

ぶどう・レーズンの1粒あたりの重さ

ちなみに、ぶどう・レーズンの1粒あたりの重さは、おおよそ下記のようになります。

  • デラウェア:約1~2g
  • 巨峰:約10~20g
  • マスカット:約10~15g
  • レーズン:約0.5g

そのため、体重3kgの小型犬の場合、巨峰やマスカットなら1粒、レーズンなら17粒くらいで中毒症状が起こる可能性があるということになります。

犬がぶどうを食べてしまったときの応急処置

犬がぶどうを食べてしまったときの応急処置

家庭内でできる対処法はなく、様子を見ようとせずに受診しましょう

犬がぶどうを口にしてしまったら、飼い主さんが自宅でできる応急処置はないと考えてください。ぶどうやレーズンは少量であっても犬に中毒を引き起こす可能性があるため、まずは次のような点をメモをしましょう。

受診に際し、用意したいメモ

  • 犬がぶどうを食べた時間
  • 犬が食べたぶどうの種類や量
  • 中毒症状の有無

症状が出ていれば、すぐに病院へ

愛犬がぶどうを食べたことに気付くのが遅れて、すでに症状が出ているのであれば、その時点で動物病院に電話を入れましょう。

症状が出ていなくても様子を見ずに受診すること

まだ犬に症状が出ていない段階であれば、先ほどのメモを持って、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。繰り返しになりますが、ぶどうは少量であっても犬に中毒を引き起こす可能性があるため、夜間や休日であっても様子を見ずに、動物病院を受診してください。

また、すでに嘔吐や下痢などの症状が犬の見られる場合には、吐しゃ物や便をペットシーツなどにくるんで持っていくと、診察に役立ちます。

病院での対処法

催吐処置や全身麻酔をかけ胃洗浄を行うなど高額診療になることも

犬がぶどうやレーズンを食べてからあまり時間がたっていないのであれば、動物病院では催吐処置(さいとしょち:薬を使って吐かせる)を行ったり、毒素を吸着する活性炭を投与したり、場合によっては胃洗浄を行ったりする場合もあります。

また、犬が食べたぶどう・レーズンの量や症状などから、急性腎障害が起こる可能性がある場合には、入院をさせて点滴治療を行います。

催吐処置を行う場合は1万円ほど、胃洗浄を行う場合は全身麻酔をかける必要がありますので、2万5,000円ほどかかります。入院治療では、血液検査や尿検査などさまざまな検査を行いますので、退院後の通院費も含めると、10万円前後かかる場合があります。

※こちらの診療費は参考例です。平均や水準を示すものではありません。診療費は病院によって異なります。

愛犬の急なトラブルに、24時間365日、獣医師が電話で直接サポート

ペットメディカルサポート株式会社のペット保険「PS保険」では、24時間365日、獣医師による電話相談サービス「獣医師ダイヤル」を提供しています。愛犬のお困りごとがありましたら、いつでも獣医師に相談できます。

まとめ「犬にぶどうを食べさせてはいけない」

チョコレートや玉ねぎと違い、「ぶどうやレーズンによって犬が中毒を起こすことを知らなかった」という飼い主さんも多かったかもしれません。しかし、犬のぶどう中毒はいまだにわかっていないことが多く、少量であっても犬の命をおびやかす危険があります。

ぶどうやレーズンは身近な食べ物ですので、テーブルを始めとして犬の口が届く場所に置いたままにしないといった対策が必要です。しかし、どんなに気を付けていても誤食は100%防げるものではありません。万が一、愛犬がぶどうやレーズンを口にしてしまった場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。

愛犬に食べさせていいかを迷ったり、何かを食べて具合が悪くなったかもしれないと思ったりしたら、獣医師監修の「犬が食べてはいけない危険な食べ物」「犬が食べても大丈夫なもの」を併せてご覧ください。

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犬種別の保険料

  • 純血犬は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。犬種の区分については、「犬種分類表」をご確認ください。
  • ミックス犬の保険料は、年齢と体重により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類します。詳しくは、「犬種分類表」の「ミックス犬」の欄をご確認ください。
  • 猫の場合は、品種によらず純血猫もミックス猫もすべて同じ保険料です。
ア行~カ行犬の品種分類表
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サ行
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ハ行
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  • 8か月以上:8kg未満
  • 8か月未満:6kg以上~20kg未満
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  • 8か月未満:20kg以上
  • 8か月以上:25kg以上

※ 「犬種分類表」に記載のない犬種の分類につきましては別途お問い合わせ下さい。

PS保険

記事監修:ペットメディカルサポート株式会社

動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。