犬にとってりんごの危険な部位を食べたときの症状と応急処置を獣医師が解説

最終更新日:2024年07月09日

本コンテンツは獣医師2名による確認を行い、制作をしております。

犬にりんごを与えても問題ありません。ただし、どんなものも食べすぎは良くありませんし、犬に適さないりんごの危険部位には注意が必要です。犬にとってりんごの適切な与え方や適正量、りんごの危険部位を食べてしまったときの対処法について、獣医師が解説します。

犬にとって危険なりんごの部位を食べたときの症状と応急処置を獣医が解説

犬にりんごを与えても大丈夫。その適量は?

―犬にりんごを食べさせても大丈夫ですか?

りんごの果肉部分と皮には、犬に有害な成分は含まれていません。そのため、愛犬に与えることは可能ですが、与え方にいくつかの注意点があります。

犬に与えるりんごの適量

犬にりんごを与えても大丈夫。その適量は?

―りんごを愛犬に与える際の適量を教えてください。

りんごは栄養成分が豊富に含まれているものの、犬に必要な栄養素をすべて満たしているわけではありません。おやつとして、または主食に加えるなどといった方法で与えましょう。

犬のおやつは一日の必要カロリーの10%程度にすると良いとされます。また、一般的なりんご1個のカロリーは約180Kcalです。そのため、一日に与えるりんごの量としては、体重5kgの成犬で1/6個、体重10kgの成犬で1/3個程度が目安になります。ほかのおやつも与える場合は、りんごの量を減らしてカロリーを調節しましょう。

犬にりんごを与えるときの注意点

りんごの種や芯、葉や茎に含まれる「シアン化合物」が犬に中毒を引き起こす

―りんごのどんな成分が、犬の健康に悪影響を与えるのですか? 与える際の注意点を教えてください。

りんごの種や芯、葉や茎にはアミグダリンというシアン化合物が含まれています。アミグダリン自体に毒性はないのですが、犬が食べると消化の途中で有毒なシアン化水素が発生し、中毒を引き起こす可能性があります。この場合、りんごを食べてから3時間以内に呼吸困難、けいれん、嘔吐、下痢などの症状が現れるおそれがあります。

このほか、りんごの果皮には、農薬が付着している場合があります。微量であっても小さな犬にとっては有害となる可能性がありますので、よく洗ってから与えるようにしましょう。

犬にりんごを与えるときの注意点

犬がりんごの種や芯、葉や茎を食べたかも!? こんな症状が見られたら病院へ

犬がりんごの危険部位、種や芯、葉や茎を食べてしまうと、次のような症状が見られる場合があります。

  • 食欲がない
  • 元気がない
  • 体が熱い
  • 吐いている
  • 下痢をしている
  • お腹を痛そうにしている

特に緊急性の高い状態

下記に挙げる症状が見られる場合は、すぐに動物病院を受診してください。

  • 舌が紫色っぽい
  • 呼吸が荒い
  • 頻繁に吐いている
  • けいれんしている
  • 立てない
  • 歩けない
  • 意識がもうろうとしている

そのほかの注意点

―危険部位を避ければ、安心して愛犬にりんごを与えられますか?

愛犬の状態に応じて適切に与えることが大切です。りんごは糖分を多く含む食べ物ですから、与えすぎは肥満につながりますし、糖尿病で一日の血糖値を大きく変動させたくない犬にも不向きです。

また、犬がりんごを大きな塊のまま飲み込んでしまうと、喉や食道に詰まらせてしまうことがあります。そのため、りんごを愛犬に与えるときは、小さくカットし、少しずつ食べさせるようにしましょう。

このほか、愛犬の体質によっては、りんごを与えるたびに嘔吐や下痢などを起こすことがあります。これは愛犬がりんごにアレルギーを持っている、体質に合っていない可能性がありますので、与えないようにしましょう。

りんごの与え方のまとめ

  • 種・芯・葉・茎は取り除く
  • 果肉と果皮は、小さくカットする
  • 果皮はよく洗う
  • 適量にとどめる
  • 愛犬の体質・状態に合わない場合には与えない

犬がりんごを食べて急変した場合の応急処置

犬がりんごを食べて急変した場合の応急処置

犬がりんごを丸飲みしてしまった場合

家庭内ですべき応急処置、対処法

―愛犬がりんごを丸飲みして喉を詰まらせてしまったら、どう対処したらいいですか?

りんごが喉や食道に詰まると、急に呼吸困難などを引き起こすことがあります。特にりんごを食べた後に舌の色が青く変化している、または意識を失うといった症状がある場合には、緊急度が高く、応急処置が必要です。

愛犬の口を大きく開き、舌を下へ引っ張ることで気道を確保できる場合があります。りんごが喉の奥に見えた場合にはかき出して外に出す方法が有効ですが、無理をせず、早急に動物病院に連絡を取りましょう。

また、食道に詰まるケースでは、吐出(食べたものを勢いよく吐き出す症状)が見られることがあります。この場合もすぐに動物病院を受診してください。

受診の際には、食べたりんごの量、大きさや、食べた日時といった情報をわかる範囲でまとめておきましょう。

病院での対処法

―病院ではどのような処置をするのですか?

  • レントゲン検査・超音波検査など

    りんごの有無や大きさなどを調べます。
    1万~2万円程度

  • 催吐処置(読み:さいとしょち、意味:吐かせること)

    食道の中にりんごが残っている場合に行うことがあります。
    1万~3万円程度(処置前検査などを含む)

  • 摘出処置

    りんごが喉の奥に詰まっている、または催吐処置で取り出せない場合などに行うことがあります。摘出方法によって、費用はさまざまです。
    5万~30万円程度

犬がりんごの危険部位を食べてしてしまった場合

家庭内ですべき応急処置、対処法

―愛犬がりんごの危険部位、種、芯、茎、葉を食べてしまったら、家庭でどう対処したらいいのでしょうか?

残念ながら、応急処置としてご自宅でできることはありません。

りんごの種や葉、茎や花などを食べてしまったあと、愛犬に何らかの状態の変化がある場合は、早急に動物病院を受診してください。

愛犬の状態に変化がないようでしたら、りんごの危険部位を食べた日時、量、食べた後の愛犬の状態を整理、記録しながら様子を見てください。

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ペットメディカルサポート株式会社のペット保険「PS保険」では、24時間365日、獣医師による電話相談サービス「獣医師ダイヤル」を提供しています。愛犬のお困りごとがありましたら、いつでも獣医師に相談できます。

病院での対処法

―病院ではどのような処置をするのですか?

  • 血液検査・レントゲン検査・超音波検査など

    りんごの種を始め危険部位を摂取したことで、体内への影響度合や異常の有無を調べます。
    1万~2万円程度

  • 催吐処置、胃洗浄

    胃の中にりんごの種や葉が大量に残っていると思われる場合に行うことがあります。
    1万~5万円程度(処置前検査を含む)

  • 点滴、薬剤処置

    中毒物質の解毒や、症状の緩和を目的に行います。入院が必要な場合があります。
    一日あたり1万~3万円程度

  • 摘出処置

    催吐処置では不十分な場合に行うことがあります。摘出方法によって、費用はさまざまです。
    10万~30万円程度

まとめ「犬にりんごの種、芯、茎、葉を食べさせてはいけない」

りんごのような甘い食べ物を好む犬は多く、飼い主としては、ついつい与えてしまいがちになることがありますが、与えすぎは体に良くありません。

また、りんごの種や芯、茎や葉は、犬に深刻な中毒を引き起こす可能性がありますので、絶対に与えないようにしましょう。

愛犬に食べさせていいかを迷ったり、何かを食べて具合が悪くなったかもしれないと思ったりしたら、獣医師監修の「犬が食べてはいけない危険な食べ物」「犬が食べても大丈夫なもの」を併せてご覧ください。

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犬種別の保険料

  • 純血犬は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。犬種の区分については、「犬種分類表」をご確認ください。
  • ミックス犬の保険料は、年齢と体重により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類します。詳しくは、「犬種分類表」の「ミックス犬」の欄をご確認ください。
  • 猫の場合は、品種によらず純血猫もミックス猫もすべて同じ保険料です。
ア行~カ行犬の品種分類表
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カ行
サ行~ナ行
サ行
タ行
ナ行
ハ行~ワ行・その他
ハ行
マ行
ヤ行
ラ行
ワ行
ミックス犬(※1)
  • 8か月未満:6kg未満
  • 8か月以上:8kg未満
  • 8か月未満:6kg以上~20kg未満
  • 8か月以上:8kg以上~25kg未満
  • 8か月未満:20kg以上
  • 8か月以上:25kg以上

※ 「犬種分類表」に記載のない犬種の分類につきましては別途お問い合わせ下さい。

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記事監修:ペットメディカルサポート株式会社

動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。