犬が吐く原因とは?病院に連れて行くべき症状を獣医師が解説

最終更新日:2024年06月24日

犬が吐いてしまう原因としてどんな病気が考えられるのでしょうか。また、病院に連れて行くタイミング、予防や対処法などを獣医師の三宅亜希先生に監修いただきました。

犬が吐くのは珍しいことではありません。しかし、嘔吐が続く、食欲や元気がないなど動作の異常や症状の変化は、何かの病気のサインかもしれません。気になることがあれば、すぐに獣医師さんに相談しましょう。

犬が吐く原因とは?嘔吐のほか病院に連れて行くべき症状を獣医師が解説

犬が吐いても様子を見ていい場合

犬は吐きやすい動物だと言われます。これは犬が四足歩行で、消化管の流れが地面と平行になっていて、吐くときに重力に逆らう必要がないからです。このように犬の嘔吐は珍しものではなく、以下のように犬が吐いても様子を見ていい場合があります。

  • 健康な成犬で、嘔吐を繰り返さない
  • 吐いた後に、食欲がある
  • 嘔吐のほかに症状が見られない

犬が吐いたものの色を確認してみる

透明、白っぽい液体を吐く

犬は、朝ご飯の前や夜ご飯の前など、空腹時に無色透明、あるいは白っぽい胃液を吐く場合があります。これは、お腹が空いて胃酸がたくさん分泌されるからです。

黄色っぽい液体を吐く

犬の胃液は、透明や白っぽい場合もあれば、黄色っぽい場合もあります。黄色っぽくなる理由は、本来透明の胃液に十二指腸に分泌される胆汁が混ざるためです。

茶色っぽい液体を吐く

犬が吐くものが、ドロッとして茶色っぽく、ドッグフードの匂いがすれば、未消化のフードの可能性が高いと言えます。

犬が吐いても様子を見ていい場合

これらのほか、日常で見られる状況としては次に挙げるような場合は、様子を見てもいいでしょう。

草を食べて吐く

犬は草を食べて吐く場合があります。胸焼けをしたときにスッキリするためのような説がありますが、その確かな理由は不明です。犬は草を食べるとその刺激で嘔吐を起こす場合があるので、あまり積極的に食べさせないほうがいいでしょう。

吐いても食欲がある

犬は食事をして半日くらいたっているのに、食べたものを吐く場合があります。これは犬の胃の動きが悪いときに見られますが、吐いた後でスッキリしていて食欲が落ちていなければ問題ありません。乗り物酔いによる嘔吐も次第に落ち着きます。

注意が必要なのは、何らかの病気やそのほかの原因によって犬が吐いてしまう場合です。

犬の嘔吐で、こんな症状が見られたら、すぐ病院へ

犬の嘔吐で、こんな症状が見られたら、すぐ病院へ

愛犬に次のような嘔吐やそのほかの症状が見られる場合は注意が必要です。

一日に何度も嘔吐を繰り返す

数日間にわたって嘔吐が続く

嘔吐だけでなく、下痢やぐったりしている

これらの症状の原因として、つぎのような病気が考えられます。

消化器の病気

犬の消化器で、炎症、腫瘍、閉塞といった問題が起こると嘔吐が見られます。

犬の消化器で急性の炎症を起こすと、激しく何度も嘔吐します。慢性疾患の場合は、長期に渡って嘔吐が続きます。胃腸の炎症はもちろんのこと、膵臓の炎症(膵炎)も嘔吐の原因となる代表的な炎症性疾患です。

胃腸の腫瘍は外からは見えないため、画像診断が必要です。

犬に見られる消化器の閉塞で最も多いのが、おもちゃのようなものを飲み込んでしまう「異物誤飲」です。そのほか、消化器の重積(腸管の一部が後ろの腸管に引き込まれ、重なってしまう状態)や麻痺(まひ)で閉塞を起こす場合もあります。

消化器以外の病気

腎疾患による尿素窒素の上昇、肝疾患によるアンモニアの上昇、糖尿病性ケトアシドーシスなどによって、犬の嘔吐を引き起こす場合があります。

また、次のような感染症で犬に嘔吐が見られる場合があります。また、いずれの病気も元気や食欲が減退します。

  • 犬パルボウイルス感染症
  • 犬コロナウイルス感染症
  • 犬伝染性肝炎
  • 犬レプトスピラ病

嘔吐が続くと、犬の体力が奪われたり、脱水が起こったりする危険があります。特に子犬や老犬(高齢犬)は、体力があまりなく脱水が起こりやすいため、早めに受診しましょう。

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ピンクや赤色のもの(血液)を吐く

犬の嘔吐物に、ピンクや赤色の液体が見られたら、血液が混じっている可能性があります。これは、異物を飲み込んで口の中や消化器官から出血、炎症によって口内や食道、胃や腸から出血、肺や気管支などの呼吸器からの出血などが考えられます。なお、胃や腸から出血している場合、酸化が進み、茶色っぽく見える場合があります。

嘔吐物に異物が見られる

犬の吐いたものに、おもちゃの破片や消化できないもの、また、ドッグフードやおやつ以外のものが含まれていたら注意が必要です。犬が吐き出しても体内に残って腸閉塞や中毒症状を引き起こすおそれがあります。

犬がチョコレートやココアを食べてしまうと、嘔吐や下痢、神経症状といった中毒を引き起こす危険があります。また、ぶどうやレーズンは犬に嘔吐だけでなく、急性腎不全を引き起こし、治療が遅れると死に至るおそれがありますので、特に注意しましょう。

これら以外にも犬に中毒を引き起こす食べ物はたくさん存在します。詳しくは、「犬が食べてはいけない危険な食べ物とは?」をご覧ください。食べ物以外でも、化学薬品、人の薬、植物などにも注意が必要です。

吐きたそうにしていて吐けない

犬がすごく苦しそうにして、吐こうとしているのに吐けないという様子が見られたら、胃拡張・捻転症候群の可能性があります。これは、大型犬や超大型犬でしばしば見られる病気です。食後で急激に発症する場合が多く、処置が遅れると血行障害が起こり、命にかかわるおそれがあります。

この病気の詳しい症状や原因、予防については、「犬の胃拡張・胃捻転」を併せてご覧ください。

なお、子犬の場合では、飼い主さんから「吐きたそうにしている」「えずいている」と見えても、実は咳であるということがよくあります。ただし、愛犬の様子で気になることがあったら、自己判断せず獣医師に相談しましょう。

「PS保険」では、24時間365日、獣医師による無料※電話相談サービス「獣医師ダイヤル」を提供しております。病院へ足を運ぶまでの応急処置を含む医療相談から、素朴な疑問まで幅広く応対してくれるので、もしものときも安心です。

※:通話料はお客さまのご負担になります。

※当サービスは、株式会社チェリッシュライフジャパン(CLJ)と提携し、アニクリ24のサービスを提供するものです。

※Anicli24(アニクリ24)は獣医師による電話医療相談サービスを提供する動物病院です。

犬が吐いたときの対処法

犬が吐いたときの対処法

犬が吐いた後は、水を与えないこと

愛犬が吐いてしまったら、飼い主としては脱水しないように水をあげたくなるでしょう。また、犬も吐いた後に水を飲みたがりますが、水を飲ませないようにしてください。

嘔吐の原因にもよりますが、吐いた直後に胃の中に物が入ってくると、反射的に再び吐いてしまう場合があります。これによって、さらに脱水が進行してしまうおそれがあるからです。そのため、しばらくは愛犬に水もフードも与えず、ゆっくり休ませてあげてください。

軽症であれば、時間をおいて普段どおりに

症状が軽ければ、少し時間がたってから、愛犬にいつも与えているフードや水を少量あげてください。愛犬が食べても吐かなければ、その後は、いつもどおりの食事で問題ありません。また、空腹時に吐いた場合は絶食の必要がないため、いつもどおりの食事を与えましょう。

嘔吐の回数が多い場合は、絶食絶水で病院へ

犬が吐く原因が何らの病気である場合は、食べても飲んでも吐いてしまう可能性があります。嘔吐の回数が増えるほどに脱水が悪化し衰弱するため、絶食絶水で病院へ行きましょう。

吐いたものは時間がたつと乾燥するため、すぐに病院に行けない場合は、写真を撮って獣医師に確認してもらってください。また、いつから、どのくらいの頻度か、食事と嘔吐の関連などがわかるようにしておきましょう。

犬が嘔吐した場合の病院での治療法

異物の可能性がなければ、吐き気止めの薬を使います。脱水している、あるいは、これから脱水する可能性がある場合は、点滴のような方法で犬に水分補給をします。

まとめ

犬は吐きやすい動物ですが、その分、病気と病気でない場合の区別が付きにくいという難点があります。犬が吐き始めてから病院に行くまでの症状の変化も、診断の重要な手がかりになります。嘔吐が見られたら、ていねいに愛犬を観察してください。

記事の監修者:獣医師 三宅亜希

監修者:三宅 亜希

獣医師。日本で唯一の電話相談専門病院である「電話どうぶつ病院Anicli24」院長。電話による24時間365日の相談、健康診断や未病予防の啓発、獣医師向けのホスピタリティ講演などを中心に活動。

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そのほか気になる犬の体や行動の異常・変化については、獣医師監修の「犬の症状」を併せてご覧ください。

犬種別の保険料

  • 純血犬は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。犬種の区分については、「犬種分類表」をご確認ください。
  • ミックス犬の保険料は、年齢と体重により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類します。詳しくは、「犬種分類表」の「ミックス犬」の欄をご確認ください。
  • 猫の場合は、品種によらず純血猫もミックス猫もすべて同じ保険料です。
ア行~カ行犬の品種分類表
ア行
カ行
サ行~ナ行
サ行
タ行
ナ行
ハ行~ワ行・その他
ハ行
マ行
ヤ行
ラ行
ワ行
ミックス犬(※1)
  • 8か月未満:6kg未満
  • 8か月以上:8kg未満
  • 8か月未満:6kg以上~20kg未満
  • 8か月以上:8kg以上~25kg未満
  • 8か月未満:20kg以上
  • 8か月以上:25kg以上

※ 「犬種分類表」に記載のない犬種の分類につきましては別途お問い合わせ下さい。