犬のよだれの原因とは?病院に連れて行くべき症状を獣医が解説

私たち人間は、おいしいものが目の前にあると、思わずよだれが垂れそうになります。それは、犬も同じことですが、よだれが異常なほど垂れるとなると何かの病気のサインかもしれません。

犬がやたらによだれを垂らす原因としてどんな病気が考えられるのでしょうか。また、病院につれて行くタイミング、予防や対処法などを獣医師さんに伺ってみました。

犬が普段と違って、よだれをまき散らすといった動作の変化や異常について気になることがあれば、すぐに獣医師さんに相談しましょう。

犬のよだれの原因とは?病院に連れて行くべき症状を獣医が解説

犬の保険について

目次

犬がよだれを垂らす原因とは?

―犬が異常によだれを垂らす原因としてどんなものが考えられますか?

唾液が出ることは正常な体の働きですが、正常なレベルを超えて異常に分泌することがあります。この時の原因を、心理的なもの、生理現象、病気に分類してそれぞれ見ていきましょう。

心理的なものによるよだれ

心理的な要因でよだれが増える場合は、自律神経の働きによるものです。自律神経には交感神経と副交感神経があり、お互いがバランスを取りながら内臓の動きや呼吸の回数、血液の循環などを調節しています。

交感神経は、基本的に興奮状態や恐怖を感じているときに優位になり、血管が収縮して血圧や脈拍数が増加します。一方、副交感神経はリラックスしているときに優位になり、消化管の蠕動運動や消化液の分泌を促します。このように自律神経は、それぞれが反対の働きを促すのですが、唾液についてはどちらの神経も分泌を促す方向に働くのです。

飼い主さんが自分の犬を見て唾液が多いと感じるのは、主に犬の自律神経が優位なときの唾液でしょう。これは、ストレスや緊張時にダラダラ出てくるタイプです。例えば、犬見知りの犬が散歩中にほかの犬にばったり会ってしまった、ドッグランに行った、病院嫌いの犬が動物病院に行ったときなどに見られます。

これらは、病的なよだれではないため治療の必要はありませんが、犬が緊張状態にあるため、リラックスさせてあげましょう。

生理現象としてのよだれ

生理現象としてのよだれは、匂いのような外部刺激に対する反応です。犬が食べ物の匂いを感知すると、それを受け入れるための準備としてよだれが多く分泌されます。また、口の中に食べ物が入っているときも唾液の分泌量は増加して、よだれが出ます。

ほかには、体温調節のためのパンティング時のよだれです。犬は人間と違って汗をかいて体温を下げることができないため、口を開け、はぁはぁという呼吸(これをパンティングと呼びます)によって体温を下げますが、このときによだれが出ます。また、車酔いをすると吐き気を催してよだれが出ることがあります。

これらのような生理現象は異常ではないため、治療の必要はありません。

しかし、夏場でパンティングをしても体温調節ができなくなると熱中症になってしまう危険があります。そこで、こまめに休ませて水分補給をし、体を冷やせるように濡れたタオルなどを用意して外出する、あるいは日中の外出を控えるといいでしょう。また、室内でもエアコンで温度管理をしないと熱中症のリスクが高まります。熱中症は、普通の犬種でも注意が必要ですが、特に短頭種は気を付けてください。

車酔いは、酔い止めの薬を使ったり、こまめに休憩を取ったりするなどの対策をしてあげましょう。

犬が異常なほどよだれを垂らす原因となる病気とは?

犬が異常なほどよだれを垂らす原因となる病気とは?

中毒性物質や化学物質による刺激、消化器の炎症や異物の存在などで犬の唾液の分泌が増え、よだれが異常に出ることがあります。

―犬が異常なほどよだれを垂らす病気として、どんなものがありますか?

下記のような病気になると、唾液の分泌量が異常に増えることがあります。

  • 口内炎
  • 歯周病
  • 咽頭炎
  • 胃炎
  • 胃拡張・捻転症候群
  • 熱中症
  • てんかん
  • 異物誤飲

よだれに加えて、犬のこんな症状が見られたらすぐ病院へ

―よだれ以外に、注意すべき症状としてどんなものがありますか?

泡を吹く、歩けなくなる、ふらつくなどの症状が出ることがあり、上記の病気の中では、胃拡張・捻転症候群や熱中症で見られます。

胃拡張・捻転症候群

胃拡張・捻転症候群は、大型犬や超大型犬で食後になることがあり、対処が遅れると血液の循環が悪くなり、ショック状態に陥って命にかかわることがあります。

胃拡張・捻転症候群についてのより詳しい記事は、獣医師監修の「犬の胃拡張・胃捻転」を併せてご覧ください。

熱中症

熱中症は暑いときに多く見られますが、初夏に部屋を閉め切っていて熱中症になる犬もいます。この病気は、暑さによって体温調節ができなくなり、よだれと共にパンティングが止まらなくなります。さらに、ふらつきのような症状が出るようだと状態はかなり進行しています。これは、かなり緊急性が高い重大な症状です。

てんかん

てんかんでは、いわゆるてんかん発作が見られます。よだれは発作前徴候と呼ばれる症状のひとつで、ほかには舌をペロペロしたり、落ち着きがなくなったりして、ウロウロ歩き回ることもあります。その後に、てんかん発作が起こります。

また、発作の途中で別の発作が起きる「重積発作」や、1日の中で何度も発作が起きる「群発発作」は脳へのダメージが大きくなるため、緊急性が高くなります。

てんかんについてのより詳しい記事は、獣医師監修の「犬のてんかん」を併せてご覧ください。

胃炎や異物誤飲

吐き気が見られるときは、胃炎や異物誤飲の可能性があります。異物誤飲の場合は、誤飲したものに毒性があったり、尖ったものだったりすると緊急で対処しなければなりません。

異物誤飲による症状については、「犬のお腹がキュルキュル鳴る。その原因は異物誤飲かも!?」を併せてご覧ください。

犬のよだれから感染症にかかることはあるの?

犬のよだれから感染症にかかることはあるの?

―犬のよだれから、ほかの犬に感染することはありますか? それはどんな病気ですか?

犬の口の中にいる細菌のような病原体が原因となる可能性があります。

犬ジステンパー

犬ジステンパーは、感染した犬の目やに、鼻水、よだれ、糞尿との接触が感染経路のひとつとして知られています。犬ジステンパーはワクチン接種によって予防可能であるため、ワクチン接種をきちんと行いましょう。

狂犬病

また、狂犬病も唾液に排出されるウイルスが、傷口から体内に侵入することで感染します。つまり、よだれが関係していますが、かまれなければ感染はほとんど起こりません。日本は世界でも数少ない狂犬病の清浄国ですが、予防接種が義務付けられているため、きちんと予防しておきましょう。

犬のよだれから人に細菌感染する

―犬のよだれによって、何か病気が人に感染することはありますか?

パスツレラという細菌が原因となるパスツレラ症は、かまれたり、唾液を介したりすると人に感染することが知られています。唾液による感染の場合には、痰が出たり、気管支炎や副鼻腔炎になったりといった症状が見られます。ほかにも、唾液から細菌が感染することで敗血症性ショックになり、命の危険に陥った例もあります。

こういった病気は、それほど頻繁に見られるわけではありませんが、リスクがあるということはきちんと覚えておいてください。犬に口や傷口をペロペロなめさせるといった接触はできるだけ控え、犬を触った後は手を洗うといった対処を日ごろからしておきましょう。

犬のよだれの対処法・応急処置

犬のよだれの対処法・応急処置

よだれ自体を止めるというよりも、よだれが異常に増えてしまう根本的な問題に対処することが必要です。

胃拡張・捻転症候群や熱中症は非常に緊急性が高いため、すぐに動物病院に行ってください。

てんかんを疑うような発作が見られたら、不用意に手を出すとかまれて大ケガをすることがあります。また、犬がケガをしないように、周りをクッションのような物で囲ってあげましょう。

異物誤飲は異物がある部位によっては、早期に病院で発見できれば、手術せずに取り出せることがあります。

―動物病院での治療方法を教えてください。

  • 炎症に対しては、基本的に消炎剤などの内科治療を行います。
  • 歯周病には、全身麻酔をかけて歯石除去を行います。
  • 胃拡張・捻転症候群は血液の流れを正常にしつつ、捻転した胃を元に戻して固定する手術を行います。
  • 熱中症には、点滴によって血液の流れを正常にして、臓器が壊死するのを防ぐ治療を行います。
  • てんかんには、てんかん発作を抑える薬を投与します。
  • 異物誤飲には、吐かせられるものなら催吐処置(※)を行います。それができず、放置もできない異物であれば、内視鏡による摘出、または開腹手術で摘出を行います。

※催吐処置(さいとしょち)とは、強制的に吐かせる処置のことです。

まとめ

よだれはいろいろな原因で増えます。放っておいていいかどうかを正確に判断することは難しいですが、それが一時的かどうか、犬にほかの状態の異常がないかを確認してください。

よだれは多いけど元気で走り回っているようなら、少し様子を見ても問題ないでしょう。しかし、「よだれ+ぐったり」や「よだれ+苦しそう」であれば緊急性が高いので、すぐに動物病院へ行ってください。

また、犬のよだれの中には人間にはいない細菌がいます。唾液から人間にも大きなトラブルを起こすリスクがあることも覚えておきましょう。

そのほか気になる犬の体や行動の異常・変化については、獣医師監修の「犬の症状」を併せてご覧ください。

犬の保険について

ペット保険の契約対象となる犬種・品種について

当社のペット保険は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。
犬種の区分については、「ペット保険取り扱い犬種分類表」をご覧ください。

ミックス犬の保険料は、下記のように設定します。

  • 両親の犬種が共にわかっているミックス犬の場合は、いずれか大きい型に該当する保険料となります。
  • 片方の親の犬種のみわかっている場合は、わかっている親の型に該当する保険料となります。
  • 当社の「ペット保険取扱の犬種分類表」に記載のない犬種の区分については、別途お問合わせください。

なお、猫の保険料については、品種による違いはありません。