犬のお腹がキュルキュル鳴る。その原因は異物誤飲かも!?
最終更新日:2024年07月08日
本コンテンツは獣医師2名による確認を行い、制作をしております。
犬のお腹がキュルキュル鳴る、またはギュルギュルと音がする原因としてどんな病気が考えられるのでしょうか。また、予防や対処法、飼い主さんが心がけたいことなどを獣医師さんに伺ってみました。
人も犬もお腹が空くと、お腹が鳴ることがありますが、犬が吐いたり、下痢や血便が出たりといった症状があったら、異物誤飲や何かの病気のサインかもしれません。すぐに獣医師さんに相談しましょう。
- 元気も食欲もあるのに犬のお腹が鳴る原因とは?
- 異物誤飲をしてしまうのは子犬だけではなく成犬も
- 犬の異物誤飲では開腹手術や内視鏡手術を行うことも
- 犬の開腹手術は約1週間の入院。内視鏡手術は日帰り
- 犬の異物誤飲を放っておくと腸閉塞から重篤な事態に陥る場合も
- 犬の異物誤飲を予防するには住環境の工夫が大事
元気も食欲もあるのに犬のお腹が鳴る原因とは?
―愛犬のお腹がキュルキュル鳴っていて、一度だけ吐いてしまったんです。部屋にある犬用の布製おもちゃがかみちぎられて、一部がなくなっていたので、それを飲み込んでしまったかも?
犬が朝起きたときや食前に嘔吐(おうと)したのであれば、単にお腹が空いて胃液が逆流しただけという可能性も考えられます。
―愛犬が吐いたのは食前ではありません。食後に部屋で遊んでいるとき、愛犬が吐いていたのです。
わんちゃんのうんちの状態はどうでしょうか? 下痢や血便が出ていたり、逆にうんちが出ていなかったり、いつもより量が少なかったり、大きさが小さいということはありませんでしたか?
―愛犬のうんちはいつもどおりです。今日も一度うんちをしていますが、下痢や血便ではありませんでした。
わんちゃんの元気や食欲はどうでしょうか?
―特に変わりはありません。お腹が空いてるようでもないのに、愛犬のお腹がキュルキュル鳴って吐いてしまった場合、どのような原因が考えられるのでしょうか?
例えば、次のようなことが考えられます。
- 異物誤飲
- 胃や腸の炎症
- 膵炎
- パルボウイルス感染症や犬ジステンパーなどのウイルス感染
- 回虫や瓜実条虫などのお腹の寄生虫感染
- ストレス
- 運動不足による消化機能の低下
今回は、犬用の布製おもちゃの一部がかみちぎられてなくなっていたことと、レントゲン検査やエコー検査の結果から、胃の中におもちゃの一部と思われる異物が確認できたので、病名は異物誤飲の可能性が高いですね。
異物誤飲をしてしまうのは子犬だけではなく成犬も
異物誤飲とは、文字どおり本来口にしてはいけないものを誤って飲み込んでしまう病気です。事故と言ってもいいかもしれませんね。
―うちの子は、すっかり成犬になっていると思っていたのですが。
好奇心旺盛で何にでも興味を示す子犬に起こることが多いのですが、成犬でもおもちゃで遊んでいる最中に何かの拍子で誤って飲み込んでしまったり、お腹が空いて人間の食べ物などを口にしてしまったりする場合もあります。
犬が誤って飲み込みやすいものには、犬用のおもちゃやクッションの綿、ペットシーツ、焼き鳥の串、チキンの骨、人間用の薬のほか、チョコレートや玉ねぎなど犬に中毒を引き起こす可能性がある食べ物など、多岐に渡ります。
―犬が異物誤飲、誤食をすると、どんな症状が現れるのですか?
異物の種類や大きさなどによって異なります。無症状のこともあるのですが、犬に嘔吐や便秘、元気・食欲の低下、腹痛などの症状が見られることが多いですね。
犬が焼き鳥の串やチキンの骨のような尖ったものを、また、犬にとって中毒を引き起こすおそれがあるものを大量に食べてしまうと、命にかかわる危険性があるため、すぐに病院で対処する必要があります。
犬の異物誤飲では開腹手術や内視鏡手術を行うことも
犬の嘔吐が激しい場合や大きなもの・先が尖ったものを飲み込んだ場合
開腹手術で犬の胃や腸を切開したり、内視鏡を使ったりして、異物を取り出すほか、薬を使って吐かせる場合もあります。
犬が中毒性のものを誤飲した場合
犬に薬を使って吐かせたり、胃洗浄を行ったり、すでに症状が出ている場合は解毒剤を投与したりする場合もあります。
犬に症状がない場合や異物が小さい場合、中毒の心配がない場合
犬の様子を見て自然に排泄されるのを待ちます。
愛犬に次のような症状が見られる場合、腸閉塞を起こしている可能性があり、すぐに手術が必要になります。そのため、愛犬から異物が出てくるまでは、よく様子を見てあげてください。
- 何度も吐いてしまう
- 元気や食欲がなくなる
- うんちが出ない
- 異物が排泄されない
開腹手術や内視鏡で犬の体内から異物を取り除く場合、まずはレントゲン検査やエコー検査などで異物の位置や腸の状態を確認します。
さらに、どちらの手術も犬に全身麻酔をかける必要があるので、全身麻酔がかけられる状態かを確認するために、聴診を始め一般身体検査や血液検査などをします。
それら検査の結果から犬に開腹手術をするのか、内視鏡で異物を取り除くのかを判断します。犬の全身状態に問題がなければ、全身麻酔をかけて手術を行い、異物を取り出します。
犬の開腹手術は約1週間の入院。内視鏡手術は日帰り
犬の開腹手術の場合は、点滴や注射、傷の確認、食事管理などをするため、数日から1週間程度の入院が必要になります。また、傷や点滴の針を犬がなめてしまわないよう、入院中はエリザベスカラーを着けて過ごします。
退院時に犬の抜糸ができれば、自宅でエリザベスカラーを着けたり内服薬を飲ませたりする必要はありません。しかし、犬の入院日数が短く退院時に抜糸ができない場合は、エリザベスカラーを着けたまま自宅に帰り、抗炎症薬や粘膜保護剤などの内服薬を数日間飲む必要があります。
一方、内視鏡手術を犬に行う場合は、基本的には入院せず、その日のうちに帰宅でき、エリザベスカラーをする必要はありません。また、その日のうちに犬は食事ができますが、抗炎症薬や粘膜保護剤などの内服薬を数日間飲む必要があります。
犬の異物誤飲を放っておくと腸閉塞から重篤な事態に陥る場合も
犬が異物誤飲によって腸閉塞を起こしているにもかかわらず、手術をせずそのままにしてしまうと、腸が壊死してしまったり、ショック状態に陥り命にかかわる事態に発展してしまったりする危険性があるので、愛犬の様子が「何かおかしいな」と思ったら、すぐに病院に連絡をしてください。
※獣医師監修の記事「犬の腸閉塞」をご参照ください。
犬の異物誤飲を予防するには住環境の工夫が大事
犬は人間の赤ちゃんと同じように、食べて良いもの・悪いものを自分で判断できません。そのため、犬の口が届く場所になるべく物を置かないことが大切です。
おもちゃを出しっぱなしにしてしまう方が少なくありませんが、今回のように犬が誤って飲み込んでしまう危険性があるため、一緒に遊ぶとき以外はしまっておくと安心ですね。
また、焼き鳥の串やチキンの骨など、人間の食べ物の匂いが付いたものは、ゴミ箱に捨てたとしても、犬がゴミ箱を漁って食べてしまう可能性があります。そのため、ゴミ箱に捨てたからと安心せず、ロックできるタイプの蓋が付いたゴミ箱に変えるといった工夫をしておきましょう。
犬が中毒を起こす原因となるものには、お伝えしきれないくらいたくさんの種類があるため、基本的に犬用に販売されているフードやおやつをあげるようにして、ほかのものを食べさせたいときは必ず調べてからにしてくださいね。
そのほか気になる犬のお腹の病気については、獣医師監修の「犬の疾患 消化器系の病気」をご覧ください。
また、犬の体や行動の異常・変化については、「犬の症状」を併せてご覧ください。
参考文献
新獣医内科学(文永堂出版)
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犬種別の保険料
- 純血犬は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。犬種の区分については、「犬種分類表」をご確認ください。
- ミックス犬の保険料は、年齢と体重により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類します。詳しくは、「犬種分類表」の「ミックス犬」の欄をご確認ください。
- 猫の場合は、品種によらず純血猫もミックス猫もすべて同じ保険料です。
ア行~カ行犬の品種分類表
ア行
- アーフェンピンシャー
- アイリッシュ・ウルフハウンド
- アイリッシュ・セター
- 秋田
- アフガン・ハウンド
- アメリカン・コッカー・スパニエル
- アメリカン・スタッフォードシャー・テリア
- アメリカン・ピット・ブルテリア
- アメリカン・フォックスハウンド
- アラスカン・マラミュート
- イタリアン・グレーハウンド
- イングリッシュ・コッカー・スパニエル
- イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル
- イングリッシュ・セター
- イングリッシュ・ポインター
- ウィペット
- ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
- ウェルシュ・コーギー・カーディガン
- ウェルシュ・コーギー・ペンブローク
- ウェルシュ・スプリンガー・スパニエル
- ウェルシュ・テリア
- エアデール・テリア
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- オーストラリアン・ケルピー
- オーストラリアン・シェパード
- オーストラリアン・シルキー・テリア
- オーストラリアン・テリア
- オールド・イングリッシュ・シープドッグ
カ行
- カーリーコーテッド・レトリーバー
- 甲斐
- カニーンヘン・ダックスフンド
- キースホンド/ジャーマン・ウルフスピッツ
- 紀州
- キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
- キング・チャールズ・スパニエル
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- ケリー・ブルー・テリア
- コーイケルホンディエ
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- ゴールデン・レトリーバー
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サ行~ナ行
サ行
- サモエド
- サルーキ
- シー・ズー
- シーリハム・テリア
- シェットランド・シープドッグ
- 四国
- 柴(小柴・豆柴も含む)
- シベリアン・ハスキー
- シャー・ペイ
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- ジャーマン・ポインター
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- ジャック・ラッセル・テリア
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- スコティッシュ・テリア
- スタッフォードシャー・ブル・テリア
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- スタンダード・ダックスフンド
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タ行
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ナ行
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ハ行~ワ行・その他
ハ行
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ワ行
ミックス犬(※1)
- 8か月未満:6kg未満
- 8か月以上:8kg未満
- 8か月未満:6kg以上~20kg未満
- 8か月以上:8kg以上~25kg未満
- 8か月未満:20kg以上
- 8か月以上:25kg以上
※ 「犬種分類表」に記載のない犬種の分類につきましては別途お問い合わせ下さい。
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記事監修:ペットメディカルサポート株式会社
動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。