犬パルボウイルス感染症の症状と原因、治療法について

最終更新日:2024年04月25日

犬パルボウイルス感染症の症状

犬パルボウイルス感染症の症状と原因

犬パルボウイルス感染症は、犬パルボウイルスが原因で起きる伝染性疾患です。移行抗体(母犬から子犬に引き継がれた抗体)がなくなる時期の子犬が感染しやすいものの、ワクチンで予防が可能です。

犬の体内に入った犬パルボウイルスは、喉のあたりで増殖した後、血液中に侵入して全身に広がります。潜伏期は約1~2週間で、発症すると下痢や嘔吐(おうと)などの消化器症状が多く見られます。治療が遅れると命を落とすおそれがあり、特に8週齢未満の子犬では、心臓の細胞に炎症が生じる「心筋炎」を起こして亡くなるケースもあるため注意が必要です。

犬に次のような症状が見られる場合、犬パルボウイルス感染症の疑いがあります。

  • 元気消失
  • 食欲不振
  • 嘔吐
  • 血が混じった下痢

子犬の場合には下痢を起こすことも少なくないため、ストレスやほかの感染症などとの違いを見分けにくい傾向があります。自己判断をせずに、かかりつけの動物病院に相談してみるのが良いでしょう。

こんな症状が見られたらすぐに動物病院を受診

犬に次のような症状が見られる場合、治療が遅れると命にかかわるおそれがあるため、すぐに動物病院を受診しましょう。

  • 元気消失
  • 食欲不振
  • 1日に何回も吐く
  • ケチャップのような血便

ワクチンを未接種、または初年度のワクチン接種がすべて終わっていない子犬が犬パルボウイルスに感染すると、容体が急変して亡くなるケースもあります。様子を見ずに、すぐ動物病院を受診しましょう。

犬パルボウイルス感染症はほかの犬に感染する病気です。受診前に動物病院に連絡をして、どのように連れていくか、病院に到着したらどこで待つかなど指示を受けておきましょう。

犬パルボウイルス感染症の原因

犬パルボウイルス感染症の原因である犬パルボウイルスは、主に糞便中に排泄(はいせつ)され、ほかの犬の口や鼻から体内に入って感染します。

また、感染している犬が接触した物や人を介してもうつります(接触感染)。飼い主さんの洋服や手などに付着したウイルスが感染源になる場合もあります。

犬パルボウイルスの感染力は非常に強く、乾燥した空気中や土壌といった環境でも数か月間生存します。そのため、ドッグランや通院など日常的に使用している場所が感染の原因になってしまう可能性があるのです。

犬パルボウイルス感染症にかかりやすい犬の特徴

どんな犬種でも、犬パルボウイルス感染症にかかる可能性があります。

混合ワクチンを接種していない犬、母犬からの移行抗体がなくなる時期の子犬がかかりやすいと言われており、子犬は特に重症化しやすい傾向にあります。

そのため、抗体がない愛犬を不特定多数の犬が往来する道やトリミングサロン、ドッグランなどに連れて行くのは危険です。また、犬を飼っている方を家に招いたり、子犬を抱っこさせたりするのも感染リスクがあります。もしお願いされた場合は、事情を説明してていねいにお断りしましょう。

犬パルボウイルス感染症の治療法

犬パルボウイルス感染症の治療法と予防法

検査内容

犬パルボウイルス感染症を診断するために、以下の検査を行います。

血液検査

白血球の数を確認します。感染初期に発生することはまれですが、犬パルボウイルス感染症の症状の進行に伴って白血球数が減少し、正常値をはるかに下回るケースがあるためです。

糞便検査

下痢の原因を検査します。下痢を伴う病気は、犬パルボウイルス感染症以外にも多いため、細菌数、寄生虫の虫卵や虫体の有無を確認します。

抗原検査

犬パルボウイルスに対する抗原の有無を確認します。検査キットを用いて少量の糞便で、迅速かつ簡単に診断できます。

治療法

犬パルボウイルスに直接効果がある薬や治療方法は、残念ながらありません。現れている症状に合わせた対症療法、支持療法を行います。

例えば、嘔吐や下痢によって失われた水分や電解質を補給するために輸液を行ったり、嘔吐や下痢などの消化器症状への対症療法を行ったりします。

感染から5~7日程度経過すると、免疫が獲得できた犬は徐々に快方に向かいます。一方、嘔吐や下痢が続き治療に対する反応が乏しい場合、回復せずに命を落とすケースが多く見られます。

無治療の場合

無治療の場合は、継続する嘔吐や下痢によって脱水や電解質異常、敗血症などを引き起こし、致死率が跳ね上がります。治療が遅れると命にかかわる場合があることに留意し、すぐにかかりつけの動物病院に相談してください。

犬パルボウイルス感染症の予防法

犬パルボウイルス感染症を予防するためには、パルボウイルスワクチン接種が有効です。以下、ワクチン接種における注意点をまとめています。

母犬からの移行抗体が強いケースがある

移行抗体がワクチンを攻撃してしまい、十分に抗体価(ワクチンで得られる抗体の量)が上がらないケースがあります。 移行抗体が自然消滅した無防備な状態のときに、子犬が犬パルボウイルス感染症にかからないように、初年度は複数回にわたってワクチン接種を行い、感染から守ります。

ワクチン接種が終了してから外部と接触する

犬パルボウイルスは身近なところに潜んでいるため、愛犬にしっかり抗体がつくまでは、散歩やほかの犬との触れ合い、犬が集まる場所への外出は控えましょう。子犬を迎えると一緒に外出したくなりますが、犬パルボウイルス感染症の感染リスクが非常に高い時期ですので、注意しましょう。

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犬種別の保険料

  • 純血犬は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。犬種の区分については、「犬種分類表」をご確認ください。
  • ミックス犬の保険料は、年齢と体重により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類します。詳しくは、「犬種分類表」の「ミックス犬」の欄をご確認ください。
  • 猫の場合は、品種によらず純血猫もミックス猫もすべて同じ保険料です。
ア行~カ行犬の品種分類表
ア行
カ行
サ行~ナ行
サ行
タ行
ナ行
ハ行~ワ行・その他
ハ行
マ行
ヤ行
ラ行
ワ行
ミックス犬(※1)
  • 8か月未満:6kg未満
  • 8か月以上:8kg未満
  • 8か月未満:6kg以上~20kg未満
  • 8か月以上:8kg以上~25kg未満
  • 8か月未満:20kg以上
  • 8か月以上:25kg以上

※ 「犬種分類表」に記載のない犬種の分類につきましては別途お問い合わせ下さい。

PS保険

記事監修:ペットメディカルサポート株式会社

動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。