犬がご飯を食べない理由とは?病院に連れて行くべき症状を獣医師が解説

最終更新日:2024年02月22日

犬がご飯を食べない、食欲不振になる原因としてどんな病気が考えられるのでしょうか。また、病院に連れて行くタイミング、予防や対処法などを獣医師さんに伺ってみました。

犬の動作の異常や症状の変化は、何かの病気のサインかもしれません。気になることがあれば、すぐに獣医師さんに相談しましょう。

犬がご飯を食べない理由とは?病院に連れて行くべき症状を獣医が解説

犬がご飯を食べなくなったら注意が必要

愛犬がご飯を食べなくなったときには、愛犬の元気や排便排尿の様子を確認することが大切となります。

もし、食欲不振以外にも気になる症状が見られるならば速やかに動物病院を受診するようにしましょう。 また、急にフードを切り替えたときやおやつを与えすぎたとき、さらにはストレスなどからもご飯を食べなくなる場合があるため、何かしらの考えられる原因がないか状況を振り返ってみることも大切です。

特に他に気になる'症状や思い当たる原因もなく、かつ健康で若い成犬ならば1回は食べないフードを下げてみて次はいつもより少し早い時間にご飯をあげて様子を見ても良いでしょう。

消化機能が未発達だったり、体格が小さい子の場合は少量頻回にしてあげることで消化器への負担が減り、食欲が少し沸いてくれる可能性もあります。その子に合った食事のパターンを見つけてあげるとよいでしょう

しかし持病がある、子犬や老犬の場合はご飯を食べないことで健康に悪影響を及ぼしてしまう危険性があるため、まずはかかりつけの動物病院に電話などで相談してみても良いですね。

犬がご飯を食べない原因とは?

―犬がご飯を食べなくなってしまうのはどうしてでしょうか?

ストレス

人間と同じで、犬も環境の変化や身体的な負担からストレスを感じると、ご飯を食べなくなる場合があります。個体差があり、ストレスがあってもまったく食欲が変わらない犬もいれば、ちょっとしたストレスでもまったくご飯を食べなくなる犬もいます。

老化

犬も年をとると徐々に代謝が落ちてきます。その影響でご飯を食べなくなる場合もあります。ストレスと同じく、個体差があるため、まったく食欲が落ちない犬もいます。

フード

フードを変えると食べなくなる犬もいますし、フードを変えずに継続してあげていると食べなくなる犬もいます。この場合、元気はいつもと変わらないはずです。また、おやつ(トリーツ)をあげると喜んで食べるでしょう。これは、いわゆる「わがまま」の状態だと考えられます。原因としては、「新しいフードが気に入らない」「最初は目新しいので食べるけど、すぐに飽きてしまう」といったことが考えられます。こういった傾向は、大型犬よりも小型犬でよく見られます。

―何日も食べないのは心配ですが、犬の体力が心配です。

犬がストレスやフードの好き嫌いで食べない場合は、体が我慢できないくらいお腹が空けばご飯を食べるようになります。病気ではないため、数日食べなくても特に問題はありません。

しかしながら、病気が原因で犬がご飯を食べない場合は注意が必要です。病気になるとカロリー消費が通常よりも多くなるため、急激に栄養状態が悪化してしまう可能性があります。

夏バテ

夏バテによってご飯を食べなくなる場合があり、それ以外にも嘔吐・下痢などの消化器症状がみられることがあるため注意が必要となります。

個体差はありますが犬にとっての適切な夏の室温は20度前後かつ湿度は40~50%といわれているため、愛犬がよく過ごす場所には温湿度計を設置して適切な環境を整えてあげるようにしましょう。

犬がご飯を食べないのは、どんな病気のせい?

犬がご飯を食べないのは、どんな病気のせい?

―犬がご飯を食べない場合、どんな病気が考えられますか?

水を飲まない

犬がご飯を食べないだけでなく、水も飲まなくなる場合は全身状態がかなり悪い可能性があります。悪性腫瘍が進行して全身に転移しているような状態や、椎間板ヘルニアのような強い痛みが出る病気、毒素が全身にたまってしまう病気、重度の感染症による敗血症などがあると、犬がご飯も水も口にできなくなる可能性があります。

嘔吐

ご飯を食べないだけでなく、犬が嘔吐をする場合、胃や小腸、膵臓といった消化器に異常があると考えられます。例えば、胃や小腸の炎症、異物、腫瘍、膵臓の炎症が比較的多い病気と言えます。

次に肝臓や腎臓といった代謝を行う臓器に異常がある場合も嘔吐という症状が現れる可能性があります。肝不全、腎不全といった病気が代表的です。

下痢

症状として、ご飯を食べないほかに、犬が下痢をする場合は、腸に異常がある可能性があります。さらに、食べていないのに下痢をするようだと、腸のダメージがかなり大きいことが予想されます。また、感染症で腸粘膜に激しいダメージがあったり、腫瘍や異物によって腸の通過状態に問題があったりする場合に、こういった症状が見られる可能性があります。

元気がない

水を飲まないのと同様、犬がご飯を食べなくなり、元気がない場合は、全身状態が悪化している可能性があります。

水は飲む

犬がご飯を食べないのに、水を飲む場合は、しばしば口の中の痛みが原因のようです。中高齢の犬では歯周病から歯槽膿漏になり、歯がグラグラすることで違和感を覚えると、こういった症状が出る場合があります。

犬がご飯を食べないだけでなく、こんな症状ならすぐ病院へ

犬がご飯を食べないだけでなく、こんな症状ならすぐ病院へ

心配のいらない犬の食欲不振

ご飯は食べなくてもおやつなら喜んで食べて、元気はいつもと変わらず、嘔吐や下痢がないのであれば、あまり心配はいらないでしょう。

受診を強く勧める犬の食欲不振の症状

反対に、おやつを食べない、元気もない、さらに嘔吐や下痢が出てくるようであれば、何か大きな異常が体に起こっている可能性があります。その場合は動物病院を受診してください。

犬がご飯を食べないときの対処法

犬がご飯を食べないときの対処法と予防法

―犬がご飯を食べなくなってしまったら、どう対処すればいいのでしょうか?

ストレス

ストレスが原因でご飯を食べなくなっている場合は、ストレスがなくなる、または犬がストレスに慣れると食欲は回復します。それまでは、ほかのストレスがなるべくかからないように、いつもどおりの生活を心がけましょう。

また、犬が好きなことをしてあげるのも効果的です。運動が大好きな犬であれば、散歩の時間をいつもより長くしたり、ドッグランに行ったりするとストレスを発散できます。逆に散歩が嫌いな犬であれば、無理に連れ出さずにしばらく家の中で過ごすことがストレス緩和になるかもしれません。

フード

フードの好き嫌いが原因でご飯を食べなくなっている場合は、ふたつの対策があります。

ご飯は決まった時間だけ出す

ひとつは厳しく接する方法です。朝ご飯をあげて、決まった時間(10分とか15分)までに食べ切っていなければご飯を片付けます。その後は、次のご飯までおやつもあげないというものです。ただし、水は自由に飲めるようにしておきましょう。こうすると、ご飯が出てきてすぐに食べないと、しばらく何も食べられないと理解し、食べるようになります。

ご飯の種類をローテーションで出す

もうひとつは、ご飯を数種類用意しておき、ローテーションしていくというものです。ここで大事なのは、犬が食べなくなったらご飯を変えるのではなく、こちらでその間隔を決めるということです。その間隔は、飽きる前にこまめにローテーションしてもいいですし、もっと長くても問題ありません。

老犬

年齢によって犬がご飯を食べないのであれば、多くの場合、特に対策は必要ありません。ただし、体重がどんどん落ちてしまうようであれば、少しカロリーの高いフードに変更したほうがいいでしょう。

病気の場合

犬がご飯を食べないだけでなく、元気がない、水も飲まない、嘔吐や下痢がある場合は、状態をきちんと把握して治療方針を決める必要があります。そのため、できるだけ早く動物病院を受診してください。

食べないが、水は飲める場合

ご飯が食べられなくても水は飲めるようであれば、ドライフードをふやかしたり、ウェットフードにお湯を混ぜたりすると犬が食べてくれる可能性があります。歯が痛いときは、食べたい気持ちはあることが多いので、食べやすくしてあげましょう。

―病気の場合は、どのように治療するのですか? また、家庭ではどのよう点に注意すればいいでしょうか?

治療法

  • 腫瘍は摘出可能なものであれば手術を行い、そうでなければ抗がん剤治療を検討します。異物はできるだけ早く摘出します
  • 椎間板ヘルニアは重症度によって手術を検討することもあります。そうでなければ、安静と消炎鎮痛剤などで治療します
  • 感染症や炎症、代謝の異常がある場合は、点滴をして、必要に応じて抗菌剤や消炎剤などを投与します

自宅でのケア

自宅でのケアが可能な状態であれば、獣医師の指示に従って薬を飲ませたり、食事の管理をしてあげたりしてください。また、病気の状態やタイミングによっては、ご飯をあげるほうがいい場合とあげないほうがいい場合があります。対処を間違えると状態が悪化するおそれがあるので注意が必要です。

犬の食欲不振の予防するには?

―犬の食欲不振を予防するには、どうしたらいいですか?

病気でなければ、犬にしっかり運動させ空腹にさせることが一番の予防です。ストレスが原因であれば、早めにストレスを取り除いてあげましょう。

病気の場合は、感染症の中にワクチン接種で予防できるものがあります。予防が難しいものは、早期発見が何よりも大事です。元気なうちから定期的に健康診断を受けるようにしましょう。

まとめ

元気がないのと同様に、犬がご飯を食べないのはあらゆる体調不良のサインの可能性があります。それ以外の変化がなければ、様子を見ても問題ありませんが、そうでなければ早めに獣医師の診察を受けてください。

犬の食習慣の関連記事

そのほか気になる犬の体や行動の異常・変化については、獣医師監修の「犬の症状」を併せてご覧ください。

犬種別の保険料

  • 純血犬は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。犬種の区分については、「犬種分類表」をご確認ください。
  • ミックス犬の保険料は、年齢と体重により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類します。詳しくは、「犬種分類表」の「ミックス犬」の欄をご確認ください。
  • 猫の場合は、品種によらず純血猫もミックス猫もすべて同じ保険料です。
ア行~カ行犬の品種分類表
ア行
カ行
サ行~ナ行
サ行
タ行
ナ行
ハ行~ワ行・その他
ハ行
マ行
ヤ行
ラ行
ワ行
ミックス犬(※1)
  • 8か月未満:6kg未満
  • 8か月以上:8kg未満
  • 8か月未満:6kg以上~20kg未満
  • 8か月以上:8kg以上~25kg未満
  • 8か月未満:20kg以上
  • 8か月以上:25kg以上

※ 「犬種分類表」に記載のない犬種の分類につきましては別途お問い合わせ下さい。

PS保険

記事監修:ペットメディカルサポート株式会社

動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。