犬の元気がない原因とは?病院に連れて行くべき症状を獣医師が解説

最終更新日:2024年02月22日

犬の元気がない、じっとして動かない、大好きなおやつにも興味を示さないとなると、飼い主さんとしてはとても心配でしょう。

犬が元気をなくしてしまう原因としてどんな病気が考えられるのでしょうか。また、病院に連れて行くタイミングや対処法などを獣医師の三宅亜希先生に監修いただきました。

日ごろから愛犬の様子を観察し、動作の異常や状態の変化で気になることがあれば、すぐに獣医師さんに相談してください

犬の元気がない原因とは?病院に連れて行くべき症状を獣医が解説

犬に元気がない原因として考えられる病気とは?

―犬に元気がない、寝てばかりの場合、原因としてどんな病気が考えられますか?

犬が「元気がない」「寝てばかりいる」といった状態は、病気のサインとして見逃せない項目ではあるものの、発熱のように数値化できないことから、病的なものかどうかを判断するのは難しいですよね。

そこで、ここでは、「ある日を境に急に様子が変わった、動かなくなった」という状況から考えられる原因をご紹介していきます。

犬に元気がない原因として考えられる病気や併発する症状から考えられる病気

痛み

骨折や関節炎といった骨関節疾患、椎間板ヘルニアといった神経疾患、急性膵炎や胃拡張・胃捻転症候群などの内臓疾患などが起こると、犬が強い痛みを感じ、動きたがらなくなったり、元気がなくなったりします。

体が震える

痛みから犬の体が震えることもありますが、そのほかにも中毒や発熱、てんかん、低血糖症などによっても体が震えることがあります。

食欲がない・ご飯を食べない

犬の食欲の低下はあらゆる病気に見られる症状のひとつで、ここまでご紹介した痛みや体の震えを起こすような病気を始め、異物誤飲などの事故や、慢性疾患、急性疾患、がんなどはもちろんのこと、歯周病や口内炎といった口腔内の病気などでも見られます。

犬に元気がない原因として考えられる病気とは?

嘔吐や下痢

嘔吐や下痢は、犬に比較的よく見られる症状ではありますが、胃腸炎のような消化器疾患や感染症、熱中症など、さまざまな病気が原因で起こり、長引く場合は脱水症状を引き起こすことがあります。

嗜眠(しみん)

嗜眠とは、常に眠っていて、強い刺激を与えないと起きない状態を指します。高齢犬によく見られる甲状腺機能低下症は、「元気の源」とも呼ばれている甲状腺ホルモンの分泌が低下し、嗜眠や肥満、脱毛などの症状が見られます。

犬に元気がないのは、病気以外にも原因がある

ここまでは、犬に元気がない原因として考えられるさまざまな病気についてご紹介しました。

しかし、野生では弱っている姿を見せてしまうと外敵に襲われるリスクがあることから、動物は痛みを始め体の不調を隠す習性があります。犬には、今もなおその習性が残っていることから、急に元気がなくなった、動かなくなったという場合には、愛犬にとって非常につらい状況にある可能性があります。

―病気以外の原因としてどんなことが挙げられますか?

病気以外の原因には、以下のようなものがあります。

避妊・去勢手術後に元気がなくなる理由

犬が避妊・去勢手術をするときは、日帰り、もしくは1泊入院をしなければならないため、慣れない環境や飼い主さんと離れている不安などから、犬がストレスを感じ、帰宅後に疲れて元気がなくなってしまうことがあります。

また、避妊手術後や去勢手術後に手術の傷が痛み、元気がなくなることもあります。着け慣れないネッカー(エリザベスカラー)により元気がなくなる例も多く見られます。また、まれですが、日帰り手術の場合に、全身麻酔から完全に醒めきらずに、ぼうっとしていることもあります。

ワクチン接種後に元気がなくなる理由

動物病院や注射が苦手な犬の場合は、ストレスや疲労からワクチン接種後に元気がなくなることがありますが、翌日になれば元の元気な状態に戻ることがほとんどです。

また、私たち人間と同じように、犬もワクチン接種後に副作用がでることがあります。犬に元気がないだけでなく、嘔吐や顔が腫れるなどの症状も出ている場合は、すぐに動物病院を受診するようにしましょう。子犬のように皮下脂肪が少ない場合にワクチンの薬剤が染みると元気がなくなる場合もありますが、これは時間の経過とともに消失します。

環境の変化によるストレスで元気がなくなる

犬は環境の変化にストレスを感じることが多く、引っ越しや家族構成の変化(赤ちゃんの誕生のような)、慣れない場所への外出、ペットホテルでのお泊りなどがあると、元気がなくなることがあります。

老化で元気がなくなる

犬は7歳からシニア期に入るため、私たちよりもかなり速いスピードで年を重ねていきます。老犬(高齢犬)になるとさまざまな老化現象が見られるようになりますが、活動性が低下して寝ている時間が増えるため、「最近元気がないな」と感じる飼い主さんが多いようです。

犬がぐったりして元気がなく、こんな症状ならすぐ病院へ

犬がぐったりして元気がなく、こんな症状ならすぐ病院へ

犬の元気がなくても心配がいらない場合

―犬の元気がなくても様子を見てもいい場合について教えてください。

ドッグランに行った後のように犬が遊び疲れてぐったりしている場合にも、元気がないように見えることがあります。明らかな疲れが原因の場合は、犬をしっかり休ませて、1、2日様子を見てましょう

―食欲はあるのに、元気がない場合もありますが、この原因は何ですか?

先ほどもご紹介したような環境の変化によるストレスや老化が原因の場合は、活動性が低下しても食欲はあることがほとんどです。ですが、身体に痛みがある場合などでも、食事は食べるというケースも多いため、食欲があれば活発ではなくても安心とは言えません。

犬の元気がなく受診を強く勧める場合の症状

―愛犬の元気がないのに加え、どんな症状が見られるようなら動物病院を受診したほうがいいのでしょうか。

犬に次のような症状が見られる場合、何らかの病気が疑われます。これらはほんの一例です。

  • 激しい嘔吐が見られる場合は、中毒や急性膵炎急性腎不全など
  • お腹が膨らんで、ぐったりしている場合は、胃拡張・胃捻転症候群
  • ワクチン接種後に顔が腫れている場合は、ワクチンの副作用
  • 夏場にぐったりしていて呼吸が速く、体が熱をもっている場合は熱中症
  • 子犬がふらふらしたり、ぐったり眠ったりしている場合には低血糖症
  • 避妊手術をしていない雌犬に、嘔吐や食欲不振、多飲多尿、陰部からの膿の排出といった症状が見みられる場合は子宮蓄膿症

繰り返しになりますが、これらの症状はほんの一例にすぎません。飼い主さんが気になるほど元気がないと感じるときには、上記のような症状が見られなくても病院への受診を検討しましょう

犬に元気がないときの対処法

犬に元気がないときの対処法

―犬に元気がなく、かつ緊急性の高い症状の場合はどう対処すればいいのでしょうか?

自宅での処置

明らかな低血糖の場合は、少量の砂糖水やガムシロップなどを口に含ませる、熱中症が疑われる場合は涼しい場所で身体を冷やし水分を飲めそうなら与えるなど、受診前にできることはあります。原因がはっきりしていないときは、かかりつけの病院に連絡をし、指示を仰ぎましょう。

受診の際の準備

―愛犬を動物病院に連れて行く際、どんな準備をしておいたほうがいいですか?

緊急性が高ければ高いほど、あらかじめ動物病院に電話を入れるようにしてください。犬の状態を伝えていれば、病院に到着したらすぐに診察や処置を受けられますし、病院から移動中に注意事項をアドバイスしてくれることもあります。

また、嘔吐や下痢が見られる場合は、排泄物を持参するようにしてください。診断の助けになることがあります。

まとめ

実は飼い主さんが「何となく元気がない」と感じるときには、何かしらの病気が隠れている場合が多いのです。それだけいつもの愛犬の様子をわかっているのだと思います

動物病院に連絡をする際は、元気がないといっても食事は食べるのか、普段リラックスしているときと同じ体勢で休んでいるのかそうではないのか、呼吸数はどうか、呼びかけると尻尾を振るかなど、どの程度元気がないのかを言葉で伝えられるといいでしょう。

記事の監修者:獣医師 三宅亜希

監修者:三宅 亜希

獣医師。日本で唯一の電話相談専門病院である「電話どうぶつ病院Anicli24」院長。電話による24時間365日の相談、健康診断や未病予防の啓発、獣医師向けのホスピタリティ講演などを中心に活動。

犬が元気ないに関連する記事

そのほか気になる犬の体や行動の異常・変化については、獣医師監修の「犬の症状」を併せてご覧ください。

犬種別の保険料

  • 純血犬は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。犬種の区分については、「犬種分類表」をご確認ください。
  • ミックス犬の保険料は、年齢と体重により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類します。詳しくは、「犬種分類表」の「ミックス犬」の欄をご確認ください。
  • 猫の場合は、品種によらず純血猫もミックス猫もすべて同じ保険料です。
ア行~カ行犬の品種分類表
ア行
カ行
サ行~ナ行
サ行
タ行
ナ行
ハ行~ワ行・その他
ハ行
マ行
ヤ行
ラ行
ワ行
ミックス犬(※1)
  • 8か月未満:6kg未満
  • 8か月以上:8kg未満
  • 8か月未満:6kg以上~20kg未満
  • 8か月以上:8kg以上~25kg未満
  • 8か月未満:20kg以上
  • 8か月以上:25kg以上

※ 「犬種分類表」に記載のない犬種の分類につきましては別途お問い合わせ下さい。