犬の急性膵炎の症状と原因、治療法について
最終更新日:2024年07月09日
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犬の急性膵炎の症状
膵臓(すいぞう)は、胃と十二指腸に接しているV字型をした臓器で、膵液やホルモンの分泌が主な働きです。膵液は、トリプシンやキモトリプシン、リパーゼ、アミラーゼなどの消化酵素を含み、膵管を通して十二指腸に送られ、食物の消化を促します。膵臓が分泌しているホルモンは、血糖値の調整(インスリン、グルカゴン)や消化機能を抑制(ソマトスタチン)などの役割を担っています。
犬が急性膵炎を発症すると、膵臓の本来の機能に異常を来し、次のような症状を引き起こします。
- 嘔吐(おうと)
- 下痢
- 腹痛
- 食欲不振
- 元気消失
- 脱水
こんな症状が見られたらすぐに動物病院を受診
次のような様子が犬に見られる場合、急性膵炎が悪化している可能性があります。
- 激しい腹痛(胸を床につけ、お尻を持ち上げる「お祈りのポーズ」をする場合が多い)
- ぐったりして何も食べない
- 血色が悪い
- 皮膚に点状内出血を起こしている
急性膵炎により播種性血管内凝固(DIC)と呼ばれる状態に陥ると、血小板が不足して内出血を起こしやすくなります。
急性膵炎が重症化すると、命にかかわるおそれがありますので、様子を見ずにすぐに動物病院を受診しましょう。
犬の急性膵炎の原因
急性膵炎は、膵臓が自己消化(膵臓から分泌される消化酵素により、膵臓自身が消化されてしまう現象)して引き起こされると考えられています。通常、膵臓には自己消化を防ぐ機能が備わっていますが、何らかの原因で防御機能が破綻すると自己消化と炎症が生じます。
急性膵炎を引き起こす可能性のある病気
愛犬が次のような病気を発症していると、急性膵炎を引き起こす可能性があります。
ホルモンを作り出す器官のいずれかに不具合が起こる内分泌疾患は、急性膵炎のリスク要因です。
急性膵炎にかかりやすい犬の特徴は?
次のような特徴をもつ犬は、急性膵炎にかかりやすい傾向にあります。
発症リスクが高い犬種
ヨークシャー・テリア、コッカー・スパニエル、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、コリー、ボクサーなど
年齢層
中年齢から高年齢の犬
食生活
過食や高脂肪食などを続けている犬や肥満の犬
薬剤の投与歴
臭化カリウム、フェノバルビタール、アザチオプリン、L-アスパラギナーゼなどの投与をしたことがある犬
犬の急性膵炎の治療法
検査内容
血液検査
犬の白血球の数やCRP(炎症が起こると血中に増加するたんぱく質)、リパーゼやアミラーゼなどの数値が上昇していないか確認します。膵特異的リパーゼの測定も急性膵炎の診断に役立ちます。
播種性血管内凝固(DIC)を引き起こしている場合は、血小板数の減少が認められます。また、脱水を伴っている場合は、赤血球やたんぱく質の数値の上昇も見られます。
エコー検査
犬の膵臓の腫れや形のゆがみなどを検出します。急性膵炎を診断するうえでとても重要な検査です。
膵生検
麻酔下での開腹や腹腔鏡手術により、膵臓の組織を採取します。急性膵炎の確定診断のためには膵生検が必要ですが、外科手術や麻酔は犬の体への負担が大きいため、あまり実施されていません。
レントゲン検査
腹部のレントゲン検査での急性膵炎の特定は難しいものの、急性膵炎が原因で起こる消化管のガス貯留や腹膜炎の確認ができる場合があります。
治療法
犬の急性膵炎の基本的な治療として、最低1週間以上の入院措置をとり、支持療法(重篤な疾患に伴う症状や治療による副作用を軽減し、生活の質を改善する目的で行われる治療やケア)を行います。
入院中は、点滴や膵臓の炎症を抑える薬、鎮痛剤、吐き気止め、下痢止めなどを犬に使用します。嘔吐がない場合は早期に食事を再開し、ささみといった低脂肪食や療法食を口から与えます。
急性膵炎では、細菌感染の可能性は低いと言われていますが、二次感染を防ぐ目的で抗菌薬を使用する場合もあります。
無治療の場合
愛犬を治療せずに放置した場合、短時間で重症化し、命を落とすおそれがあります。急性膵炎は緊急性が高い病気のため、早急な治療が必要です。
犬の急性膵炎の予防法
犬の急性膵炎を引き起こす自己消化の原因は明らかになっていませんが、過食、肥満、高脂肪食などがリスク因子として報告されています。
過食を避け、肥満の場合はダイエットし、高脂肪な食べものを与えないように日ごろの食生活に注意すると、急性膵炎の発症リスクを低減できるでしょう。
犬の適切なダイエット方法
犬がダイエットをする場合、運動で体重を減らすのはかなり難しく、過度の運動は腰痛や関節炎などの原因にもなるため、食事管理を中心に行いましょう。
ご飯の量を1割程度減らしたり、おやつをやめたり、ダイエット用のドッグフードを与えたりするのが効果的です。
食事の量は、ドッグフードのパッケージに記載されている体重ごとの給与量の目安を参考にしてください。体重を減らすのが目的ですから、理想的な体重における給与量よりも少なめの量を与えましょう。
犬の適性体重を知る方法
愛犬の体型が標準なのか、肥満気味なのかは、動物の脂肪の蓄積具合を数値化して示した「ボディーコンディションスコア」を参考に判断してください。ボディーコンディションスコアが5段階の場合はスコア3、9段階の場合はスコア4~5が理想的な体型です。 判断に迷う場合や不安な場合は、動物病院で獣医師に相談しましょう。
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犬の肝臓・膵臓の病気
犬種別の保険料
- 純血犬は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。犬種の区分については、「犬種分類表」をご確認ください。
- ミックス犬の保険料は、年齢と体重により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類します。詳しくは、「犬種分類表」の「ミックス犬」の欄をご確認ください。
- 猫の場合は、品種によらず純血猫もミックス猫もすべて同じ保険料です。
ア行~カ行犬の品種分類表
ア行
- アーフェンピンシャー
- アイリッシュ・ウルフハウンド
- アイリッシュ・セター
- 秋田
- アフガン・ハウンド
- アメリカン・コッカー・スパニエル
- アメリカン・スタッフォードシャー・テリア
- アメリカン・ピット・ブルテリア
- アメリカン・フォックスハウンド
- アラスカン・マラミュート
- イタリアン・グレーハウンド
- イングリッシュ・コッカー・スパニエル
- イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル
- イングリッシュ・セター
- イングリッシュ・ポインター
- ウィペット
- ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
- ウェルシュ・コーギー・カーディガン
- ウェルシュ・コーギー・ペンブローク
- ウェルシュ・スプリンガー・スパニエル
- ウェルシュ・テリア
- エアデール・テリア
- オーストラリアン・キャトル・ドッグ
- オーストラリアン・ケルピー
- オーストラリアン・シェパード
- オーストラリアン・シルキー・テリア
- オーストラリアン・テリア
- オールド・イングリッシュ・シープドッグ
カ行
- カーリーコーテッド・レトリーバー
- 甲斐
- カニーンヘン・ダックスフンド
- キースホンド/ジャーマン・ウルフスピッツ
- 紀州
- キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
- キング・チャールズ・スパニエル
- グレート・デーン
- グレート・ピレニーズ
- グレーハウンド
- ケアーン・テリア
- ケリー・ブルー・テリア
- コーイケルホンディエ
- コーカサス・シープドッグ
- ゴードン・セター
- ゴールデン・レトリーバー
- コリア・ジンドー・ドッグ
- コリー
サ行~ナ行
サ行
- サモエド
- サルーキ
- シー・ズー
- シーリハム・テリア
- シェットランド・シープドッグ
- 四国
- 柴(小柴・豆柴も含む)
- シベリアン・ハスキー
- シャー・ペイ
- ジャーマン・シェパード・ドッグ
- ジャーマン・ポインター
- ジャイアント・シュナウザー
- ジャック・ラッセル・テリア
- スカイ・テリア
- スキッパーキ
- スコティッシュ・テリア
- スタッフォードシャー・ブル・テリア
- スタンダード・シュナウザー
- スタンダード・ダックスフンド
- スタンダード・プードル
- セント・バーナード
タ行
- ダルメシアン
- ダンディ・ディンモント・テリア
- チェサピーク・ベイ・レトリーバー
- チベタン・スパニエル
- チベタン・テリア
- チベタン・マスティフ
- チャイニーズ・クレステッド・ドッグ
- チャウ・チャウ
- チワワ
- 狆(ちん)
- トイ・プードル
- トイ・マンチェスター・テリア
- ドーベルマン
- ドゴ・アルヘンティーノ
- 土佐
ナ行
- ナポリタン・マスティフ
- 日本スピッツ
- 日本テリア
- ニューファンドランド
- ノーフォーク・テリア
- ノーリッチ・テリア
ハ行~ワ行・その他
ハ行
- バーニーズ・マウンテン・ドッグ
- パグ
- バセット・ハウンド
- バセンジー
- パピヨン
- ハリア
- ビアデッド・コリー
- ビーグル
- ビション・フリーゼ
- ブービエ・デ・フランダース
- プーミー
- プーリー
- プチ・バセット・グリフォン・バンデーン
- プチ・バラバンソン
- フラットコーテッド・レトリーバー
- ブリタニー・スパニエル
- ブリュッセル・グリフォン
- ブル・テリア
- ブルドッグ
- ブルマスティフ
- フレンチ・ブルドッグ
- ペキニーズ
- ベドリントン・テリア
- ベルジアン・シェパード・ドッグ
- ボーダー・コリー
- ボーダー・テリア
- ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグ
- ボクサー
- ボストン・テリア
- 北海道
- ポメラニアン
- ポリッシュ・ローランド・シープドッグ
- ボルゾイ
- ボロニーズ
- ホワイト・シェパード・ドッグ
マ行
- マスティフ
- マルチーズ
- マンチェスター・テリア
- ミディアム・プードル
- ミニ・オーストラリアン・ブルドッグ
- ミニチュア・シュナウザー
- ミニチュア・ダックスフンド
- ミニチュア・ピンシャー
- ミニチュア・プードル
- ミニチュア・ブル・テリア
ヤ行
ラ行
- ラージ・ミュンスターレンダー
- ラサ・アプソ
- ラブラドール・レトリーバー
- レークランド・テリア
- レオンベルガー
- ローデシアン・リッジバック
- ロットワイラー
ワ行
ミックス犬(※1)
- 8か月未満:6kg未満
- 8か月以上:8kg未満
- 8か月未満:6kg以上~20kg未満
- 8か月以上:8kg以上~25kg未満
- 8か月未満:20kg以上
- 8か月以上:25kg以上
※ 「犬種分類表」に記載のない犬種の分類につきましては別途お問い合わせ下さい。
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記事監修:ペットメディカルサポート株式会社
動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。