犬が寝ない原因とは?病院に連れて行くべき症状を獣医師が解説

最終更新日:2024年07月08日

本コンテンツは獣医師2名による確認を行い、制作をしております。

犬が夜も昼もずっと寝ない、ウロウロと歩き回るのは、どんな原因があるのでしょうか。病院に連れて行くタイミングや対処法などを獣医師さんに伺ってみました。

日ごろから愛犬の様子を観察し、状態の変化や動作の異変を感じたら、すぐに獣医師さんに相談してください。

犬が寝ない原因とは?病院に連れて行くべき症状を獣医が解説

犬にとって睡眠とは?

犬の睡眠は人と同様大事なもの。ただし、睡眠の取り方に違いあり

―私たち人間にとっても睡眠は大事なものですが、犬の場合はどうでしょう。

人にとっての睡眠は、体を休めている間に体のさまざまな部分のメンテナンスをしていると言われており、生きていくうえで必要不可欠なものです。もし、その睡眠が何らかの原因で障害され眠れなくなったら、意識がもうろうとして正常な判断ができなくなるどころか、体調に異常を来すようになります。

犬の場合も睡眠が与える影響は同じで、睡眠がなくては体のさまざまな機能を健康に保つことができません。

ただし、人と犬とでは睡眠の取り方が多少異なっているため、その違いを説明しましょう。

成犬の睡眠時間は人の倍の13時間。その眠りは浅い

まず、人の場合、成人の睡眠時間について、個人差はあるものの6~7時間前後が目安と言われています。それに比べて犬の場合、成犬で平均12〜13時間であり、人の倍は寝ている計算になります。

次に、睡眠のサイクルですが、人の場合は、ある程度まとめて寝ることが通常です。ところが犬の場合、完全に熟睡している時間は意外に短く、まとまって寝ることはあまりありません。睡眠時間の大半は外部の音や振動にすぐ対応できるよう浅い眠りであったり、うとうとするだけだったりします。

しかし、犬は、浅い眠りであっても寝ていないわけではありません。そのため、犬が完全に起きていて寝ない場合には、睡眠に影響を与える何かしらの原因が隠れていると思われます。

犬にとっても睡眠不足は精神状態と体に大きな影響を及ぼす

―犬の場合も睡眠の質が悪いと弊害が発生するのですか?

犬の睡眠も人と同様、何らかの影響で眠りが障害され睡眠の質が悪くなると、体や精神状態に悪影響が出ます。睡眠に影響を与えるものとしては、例えば、犬が慣れない場所にいて不安やストレスを感じているときです。それによって眠れなくなり、睡眠不足になると元気がなくなり、食欲不振につながります。さらに、精神状態にも影響を与え、気が立って吠えたり、逆に沈うつ(ちんうつ:気分が沈んでふさぎこんでいること)になったりすることもあります。

また、体や精神状態に影響を及ぼすと、さらに免疫力低下や病気につながることもあるため、睡眠不足は人と同様に犬でも大敵なのです。

犬が寝ないでウロウロする原因とは?

犬が寝ないでウロウロする原因とは?

―犬が寝ないのはどうしてですか?

犬の世代の違いによって寝ない原因が変わりますので、世代別に見てみましょう。

子犬が寝ない原因

子犬は元気がいっぱいですから、興味を示すものにいつまでも夢中で遊んでしまいます。また、子どものいる家庭で子犬を迎え入れると、家族が代わる代わる遊んだり、かまったりするため、子犬はなかなか寝るタイミングがないまま過ごしてしまいます。そうすると子犬は疲れてしまい、体調を崩すことになりかねません。遊ぶ時間と寝かせる時間を決めて、上手に管理してあげましょう。

成犬が寝ない原因

成犬も子犬の場合と同じで、落ち着かない環境下にいれば、眠るタイミングをなくしてしまいます。例えば、ホテルに預けたり知人に預かってもらったりする場合には、リラックスできなくなり、落ち着かず寝なくなってしまいます。

飼っている犬の性格をよく理解し、ストレスを与えず不安な気持ちにさせないようにすることが寝かせてあげるための大切な要素なのです。

老犬が寝ない原因

老犬と呼ばれる基準は犬種や体格にもよりますが、小型犬、中型犬では体力的な衰えが現れ始める13歳ころからが高齢期、老犬と呼ばれます。老犬の場合は、健康であれば基本的に寝ている時間が長くなるのですが、逆に睡眠時間が短かったり夜になかなか寝なかったりする場合は、原因が認知症(痴呆症)である可能性が考えられます。認知症を疑う場合は、寝ないだけでなく、ウロウロと歩き回っていたり、呼びかけに無反応だったりするので、これらの症状がないかをよく見てあげましょう。

犬の認知症について獣医師が詳しく解説

ただ、愛犬の寝つきが急に悪くなる場合や、リラックスできる環境なのに寝つきが悪い場合、さらに食欲も元気もない場合には、何かしらの病気が隠れていることがあるので、様子を見ずに獣医師さんに相談してください。

犬が寝ない! こんな症状ならすぐ病院へ

心配のいらない場合

元気で食欲があれば大丈夫

―たまたま寝つきが悪かっただけ、一過性で様子を見てもいいのはどんな場合ですか?

犬が寝ない場合、不安そうだったり、落ち着かず興奮していたりすることが多いのですが、元気で食欲があれば、一過性の可能性が高いと思われます。寝ないという症状が何日にも及んでいなければ、大抵は問題ないでしょう。

犬が寝ない! こんな症状ならすぐ病院へ

受診を強く勧める場合

―受診すべき行動や異変の見分け方、併発するそのほかの症状を教えてください。

犬が寝ないのは、実は病気やケガといった体の異変が原因で起こっていることがあります。食欲や元気がない場合は、基本的に様子を見るべきではありません。まずは、これらをチェックしましょう。

また、世代別に見ていくと、以下のような病気が考えられます。

子犬の場合

子犬は、どこかケガをして、その部分が痛くて寝られないことがあります。また、皮膚炎を起こし、皮膚や耳がかゆくて気にしているかもしれません。ほかにも、気が付かないうちにおもちゃのような異物を飲み込んでしまい、腸に詰まって苦しくて眠れないでいるかもしれません。犬が異物を飲み込んだ場合は頻繁に嘔吐も見られます。

成犬と老犬の場合

愛犬が寝ないだけでなく食欲も元気もない場合は、心臓病や腎臓病、肝障害など、体の中で異常が起こっているかもしれません。特に、呼吸が苦しくて横になって寝られない場合は、心臓病や呼吸器疾患の可能性があるため、病院へ連れていく緊急性が高くなります。これらの疾患は様子を見ているうちに犬の呼吸が止まり、亡くなってしまうリスクが高いので、夜中であっても朝まで様子を見ずに、すぐに受診することが大切です。

犬が寝ないときの対処法

犬が寝ないときの対処法

愛犬をやさしくなでて安心させる。食欲がないなら受診を

―犬がずっと寝ないようなら、どのような対処をすればいいのでしょうか?

犬が寝ないのは不安やストレスを感じている場合が多いので、まずは愛犬をやさしくなでて安心させましょう。また、少し食べ物や水を差し出してみて、食べてくれるかどうかを見ることも大切です。

愛犬が食べないときは病気の可能性が高くなりますので、動物病院の受診をお勧めします。もし、皮膚炎やケガが原因でありそうなら、犬が体のどこかをしきりに舐めるので、その場所をよく観察しましょう。

愛犬の呼吸が荒くて苦しそうな場合は、様子を見ずにすぐ動物病院に問い合わせて、すぐに受け入れてもらえるかを相談してください。夜中の場合は、夜間救急動物病院に連絡をとってみましょう。

お勧めできないNGなケア

―愛犬が寝ないからといって、飼い主が勘違いして実践してしまいがちなこと、NGな行動について教えてください。

愛犬を無理やり布団に入れて、寝かしつけようとするのは少し強引ですし、犬はあまり喜ばないことが多いので、愛犬だけで寝かせるようにしましょう。

また、愛犬が寝ないことを感情的に怒ってしまうのもよくありません。「しつけ」と称してどなりつけること、ましてや体罰を与えることはやめましょう。

さらに、放っておくだけというのは、病気が原因なら見逃してしまうので注意して見てあげてください。

まとめ

「犬が寝ない」原因は、さまざまです。病気ではない場合と、病気で調子が悪くて寝られない場合とでは対処がまったく異なります。そのため、愛犬をよく観察し、どうして寝ないのかを突き止める努力が必要です。大したことではないと思わずに、気になったときには獣医師さんに相談してみるといいでしょう。

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犬種別の保険料

  • 純血犬は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。犬種の区分については、「犬種分類表」をご確認ください。
  • ミックス犬の保険料は、年齢と体重により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類します。詳しくは、「犬種分類表」の「ミックス犬」の欄をご確認ください。
  • 猫の場合は、品種によらず純血猫もミックス猫もすべて同じ保険料です。
ア行~カ行犬の品種分類表
ア行
カ行
サ行~ナ行
サ行
タ行
ナ行
ハ行~ワ行・その他
ハ行
マ行
ヤ行
ラ行
ワ行
ミックス犬(※1)
  • 8か月未満:6kg未満
  • 8か月以上:8kg未満
  • 8か月未満:6kg以上~20kg未満
  • 8か月以上:8kg以上~25kg未満
  • 8か月未満:20kg以上
  • 8か月以上:25kg以上

※ 「犬種分類表」に記載のない犬種の分類につきましては別途お問い合わせ下さい。

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記事監修:ペットメディカルサポート株式会社

動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。