犬が首を触ると痛がる原因とは?病院に連れて行くべき症状を獣医が解説

愛犬の首をなでたら、突然キャンと鳴き出し、痛がるのはどんな原因、病気が背景にあるのでしょうか。また、病院に連れて行くタイミング、予防や対処法などを獣医師さんに伺ってみました。

首には脳から全身に送る神経の束、脊髄が通っています。これに何らかの障害があると全身にかかわる症状が現れる可能性があります。愛犬の普段と違う行動や動作で気になることがあれば、すぐに獣医師さんに相談しましょう。

犬が首を触ると痛がる原因とは?病院に連れて行くべき症状を獣医が解説

目次

犬が首を触ると痛がる、突然キャンと鳴く理由とは?

―愛犬の首をなでたら、大きな声でキャンと鳴いて痛がっていました。その理由は何でしょうか?

犬が首を痛がるときには、いくつかの原因が考えられます。

神経の病気

脳から出た神経は首を通って体に伸びていますが、首の部分の神経に異常があると、そこで強い痛みが出ます。

軟部組織の損傷

遊んでいるときにぶつける、高いところから落ちるといったように、首に強い衝撃があると、そこの筋肉や靭帯、腱といった軟部組織を痛めてしまうことがあります。いわゆる打撲や捻挫といった症状です。

精神的なもの

以前に犬が首を痛めている時に触られたこと、しつけで首を強く押さえつけられて嫌な記憶が残ってしまったなどのトラウマができてしまうと、首を触られると反射的に鳴いたり怒ったりする可能性があります。

犬が首を痛がる原因として考えられる病気とは?

犬が首を痛がる原因として考えられる病気とは?

―犬が首を痛がる、キャンと鳴いて突然動けなくなってしまう原因として、どんな病気が考えられますか?

病気としては主に神経の病気があります。今回は代表的な3つの病気を紹介します。

環軸不安定症(亜脱臼)

首の骨は合計で7つありますが、環軸不安定症とは、そのうちの第一頚椎(環椎)と第二頚椎(軸椎)がくっ付いている部分が不安定になり、亜脱臼や脱臼をしてしまい神経症状を起こす病気です。

多くの場合、先天性であり、チワワ、ポメラニアン、ヨークシャー・テリア、シー・ズー、マルチーズ、ミニチュア・ダックスフンド、トイ・プードルといった犬種で多く見られることが知られています。神経症状は成長期に起こるため、1歳以下で最初に受診されることが多いようです。ただし、不安定の度合いが軽度だと長い間症状が出ることなく、中高齢になってから症状が現れることがあります。

症状は首の痛みと、首の神経の圧迫による足のふらつきなどがあります。症状が急性で重度である場合は、呼吸不全になってしまい命にかかわることがあります。

頚部椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアのうち、首の神経が傷害されるものを頚部椎間板ヘルニアと呼びます。背中や腰に起こる椎間板ヘルニアと同様の病態で、首の骨である頚椎と頚椎の間にある椎間板というクッションの役割を果たしている物質が、そのすぐ上を走っている神経を圧迫してしまうことで神経症状が見られる病気です。

神経を圧迫するメカニズムは2種類あります。

線維輪の損傷によるもの

ひとつは、ミニチュア・ダックスフンド、ペキニーズ、ビーグル、シー・ズーに好発するもので、椎間板の外側を形成する線維輪という部分が壊れてしまい、中の髄核という物質が飛び出し、神経が圧迫されるタイプです。この病気はいきなり発症するため、さっきまで普通にしていたのに、突然キャンと鳴いたら急に動けなくなっていたという経過を取ります。

加齢により分厚くなった線維輪によるもの

もうひとつのタイプは、すべての犬種で高齢になると見られるもので、線維輪が加齢とともに分厚くなり、神経を圧迫するというものです。こちらは慢性かつ進行性に悪化していきます。

頚部の神経症状は、次の3段階のグレードに分類されます。

  • グレード1:一番軽く、首の痛みはあるが麻痺(まひ)ようなの神経学的な異常は出ないもの
  • グレード2:起きたり歩いたりすることは可能だが、歩き方に異常が現れ、どこかの足に神経学的な異常が出る
  • グレード3:最も重症で、起きたり歩いたりすることができず、すべての足に神経学的な異常が出る

ウォブラー症候群

ウォブラー症候群とは、脊柱管という神経が通っている管が狭いために首の神経が圧迫されてしまい、その結果、神経症状が出る病気の総称です。いろいろな病態を取るため、頚椎不安定性・形成異常症候群、頚部脊椎症、尾側頚部脊椎脊髄症、尾側頚椎形成・関節異常、頚椎不安定症、頚椎すべり症といった多くの呼び名があります。

ウォブラー症候群は、大型犬で見られる病気で、中でもドーベルマンとグレート・デーンが好発犬種として知られています。ほかにはバーニーズ・マウンテン・ドッグ、セント・バーナード、ボルゾイといった犬種でも見られます。

一般的な症状は、歩行障害で、ウォブラー症候群の犬のうち40%で首の痛みが出るというデータがあります。

犬が首を痛がる、こんな症状ならすぐ病院へ

犬が首を痛がる、こんな症状ならすぐ病院へ

心配のいらない場合

―愛犬の頭や首を触って痛がるようなしぐさが見られても放っておいて大丈夫ですか?

明らかに病的ではなく、その後でけろっとしていたり、普通に動き回っていたりする場合は心配ない可能性が高いでしょう。例えば、昔痛い思いをしてため、頭や首を触るとすごく怒るけど、自分で首をブンブン動かせるといった状態です。このように、実際に痛みがない場合は病気ではないため、緊急性がないと思われます。

受診を強く勧める症状

―受診すべき症状の見分け方、併発するそのほかの症状を教えてください。

愛犬に次のような症状が見られたら、特に注意してください。

耳から首のあたりがピクピクとけいれんする

愛犬が動かなくなり、背中を丸めて首を下げた姿勢をとり、耳から首のあたりがピクピクとけいれんする。この症状は、首の痛みがかなり重度である場合に見られます。痛みが強ければ強いほど、犬にとっては強いストレスになります。

足を引きずったり、よろけたりしてしまう

この症状は、首の神経が圧迫され、麻痺によるものです。頚部椎間板ヘルニアの場合、首の痛みだけでなく麻痺が出ているということは、それだけ重症だということになります。対応が遅れると、動けなくなってしまう危険がありますので、できるだけ早く動物病院を受診してください。

犬が首を痛がる場合の対処法

犬が首を痛がる場合の対処法

―愛犬の首を痛がっているようなら、どう対処すればいいのでしょうか?

自宅での対処

愛犬がどの程度痛いのかを知るために、首を触って状態を確認したくなるかもしれませんが、それによって痛がらせてしまうことになります。また、警戒して飼い主さんをかむようになるかもしれません。そして、さらに神経を圧迫してしまい、麻痺のようなほかの症状が出てしまう可能性もあります。そのため、できるだけ動かさずに、狭いところで安静にさせてあげましょう。

病院での対処

まずは痛みが出るようになった経緯、痛がり方、ほかの異常について問診をします。その後、犬の動き方を確認(視診)し、実際に首を触って痛みが出るかどうか(触診)を調べます。

首に異常がありそうだと判断したら、頚部のレントゲンを撮影して異常の有無を調べます。前述の病気のうち、環軸不安定症(亜脱臼)については、基本的にレントゲン検査で診断可能です。ただし、亜脱臼の程度が非常に軽度の場合は、異常が検出できないこともあります。頚部椎間板ヘルニアとウォブラー症候群については、レントゲンのみで確定診断ができる可能性は低く、CT検査やMRI検査が必要になります。そのため、レントゲン検査の目的としては、これら以外の病気のうちレントゲンで見つけられるものを除外するということになります。

痛みが強い場合、鎮痛剤の投与やギブス固定をして首を保護します。

―受診時の注意点について教えてください。

病院に着くまでの移動時には愛犬の首の痛みを悪化させないために、リードで歩かせるのではなく、抱っこで移動してあげてください。愛犬の痛みが強く、揺れただけで激しく鳴くようであれば、タオルのようなもので体を包んであげると首が安定します。

犬の首の痛みを予防にするには?

愛犬の頭と首にかかる負担を減らすこと

―予防法や飼い主が日ごろから気を付けるべきことを教えてください。

確実に病気を予防できるわけではありませんが、大事なのは、愛犬の頭と首にかかる負担をできる限り減らすことです。具体的には、激しく頭を動かすような運動や遊びを避けること、リードを強く引っ張らないようにすることなどがあります。

精神的な原因の場合は、無理強いすればするほどトラウマが強化されてしまうため、嫌がるときは無理をしないようにしましょう。

まとめ

首の痛みは犬にとって非常につらいものです。食べたり飲んだりするときや遊んでいるときにも首を動かしますし、目線が高い飼い主さんを見上げるときにも首を動かします。こういったことができなくなるだけでなく、愛犬が痛くて苦しむ姿を見るのは飼い主さんにとってもつらいものです。愛犬の痛みが激しく、つらそうであれば、できるだけ早く動物病院を受診してください。

そのほか気になる犬の体や行動の異常・変化については、獣医師監修の「犬の症状」を併せてご覧ください。

ペット保険の契約対象となる犬種・品種について

ペットメディカルサポートのペット保険「PS保険」は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。
犬種の区分については、「ペット保険取り扱い犬種分類表」をご覧ください。

ミックス犬の保険料は、下記のように設定します。

  • 両親の犬種が共にわかっているミックス犬の場合は、いずれか大きい型に該当する保険料となります。
  • 片方の親の犬種のみわかっている場合は、わかっている親の型に該当する保険料となります。
  • 当社の「ペット保険取扱の犬種分類表」に記載のない犬種の区分については、別途お問い合わせください。
ア行~カ行犬の品種分類表
ア行
カ行
サ行~ナ行
サ行
タ行
ナ行
ハ行~ワ行・その他
ハ行
マ行
ヤ行
ラ行
ワ行
ミックス犬(※1)
  • 8ヶ月未満:6kg未満
  • 8ヶ月以上:8kg未満
  • 8ヶ月未満:6kg以上~20kg未満
  • 8ヶ月以上:8kg以上~25kg未満
  • 8ヶ月未満:20kg以上
  • 8ヶ月以上:25kg以上

※1 両親の犬種がともにわかっているミックス犬の場合は、いずれか大きい型に該当する保険料となります。片方の親の犬種のみわかっている場合は、わかっている親の型に該当する保険料となります。
※ 当品種分類表に記載のない犬種の区分につきましては別途お問い合わせ下さい。