犬のフィラリア症

犬のフィラリア症ってどんな病気?

毎年春になると、動物病院からフィラリア予防のお知らせが来ます。また、血液検査をして、フィラリアに感染していないことを確認したら予防薬が処方されます。「毎年の恒例行事のようになっているし、予防するのが当然だ」と考えている人が多いでしょうが、そもそもフィラリアって何でしょうか?

フィラリアは肺や心臓の血管に巣くう寄生虫

フィラリアとは、そうめんのような細長い寄生虫で「犬糸状虫」とも呼ばれます。オスとメスでサイズが異なりますが、成虫は大体20~30cmくらいの長さです。蚊が媒介することで感染して、心臓や、肺動脈という心臓と肺の間の血管に寄生します。

フィラリアが寄生すると血液の流れが悪くなり、それによってさまざまな影響が出てきます。今日、犬のフィラリア症は薬によってほぼ確実に予防ができるため、動物病院では春の予防期間が始まる前から積極的にお知らせをするようになります。

犬のフィラリア症の症状と原因

どうして症状が出るの?原因は?

蚊の体内にいるフィラリアの幼虫(ミクロフィラリア)は、蚊が犬の血を吸うときに蚊の体内から犬の体内に移動します。犬の体内では、皮膚の下にある皮下組織や筋肉・脂肪にいますが、2~3か月かけて成長すると、血管の中に侵入するようになります。

そして、成長しながら血液の流れに乗って、心臓へ移動します。犬の心臓は人間と同じようにふたつの心房・2つの心室という4つの部屋からできていますが、フィラリアは主に右心室という場所と、その先にある肺動脈に寄生します。

ここで、成虫になったフィラリアは、ミクロフィラリアを産むようになります。ミクロフィラリアは血管の中をぐるぐる回って、蚊に吸血されると蚊の体内に移動します。

フィラリア症の症状が出るのは、フィラリアが犬の肺動脈を成長しながら移動していくことと、フィラリアの成虫がたくさんいて心臓に負担がかかること、フィラリアの成虫が死ぬことが原因です。

フィラリアが成長しながら犬の肺動脈を移動するときには、肺動脈への物理的な刺激によって炎症が起こります。この炎症が時間の経過とともに進行していきます。たくさんのフィラリアが成虫になると、犬の心臓の右心房にかかる負担が大きくなり、その結果として心不全を発症し、血液の流れが悪くなる循環障害が起こります。

また、フィラリアの成虫が死ぬと、細い肺の血管をふさいでしまい、血液が流れなくなってしまいその周囲の組織が壊れてしまいます。

これらのような原因によってフィラリア症のさまざまな症状が見られるのです。

どんな犬がフィラリア症にかかりやすいの?

蚊が吸血したときにフィラリアが体内に入ってくるため、蚊が吸血される環境にいる犬はフィラリアにかかりやすいと言えます。

室内飼育よりは屋外で飼育している犬の方が蚊に吸血されやすいですが、室内にも蚊が入ってくることはあるので、絶対にフィラリア症にかからないとは言えません。つまり、予防薬を投与しない限りは、どんな犬もフィラリア症になる可能性があります。

しかし、予防薬をきちんと使っていれば、ほぼ確実にフィラリア症を予防することができるため、忘れずにしましょう。

犬のフィラリア症の特徴とチェック項目

犬のフィラリア症が軽度のうちは、初期症状として次のようなものが見られます。

  • 咳をするようになる
  • 運動や散歩を嫌がるようになる
  • 痩せてくる
  • 毛並みが悪くなる
  • 食欲がなくなる
  • 散歩や運動後に失神することがある
  • 呼吸が浅くて回数が増える

これらの中には、年をとるにつれて出てくる衰えだと感じられるものもあります。この状態で気付かずに進行していくと、次のような症状が見られるようになります。

  • 口や目の粘膜が白くなる(貧血の症状)
  • お腹が膨らんでくる(腹水がたまる)
  • 血尿が出る

犬のフィラリア症はどうやって診断されるの?

犬のフィラリア症は、一般的には「集虫法」と「成虫抗原検査法」という血液検査によって診断します。

集虫法は血液を観察して、ミクロフィラリアがいるかどうかを確認する検査です。成虫抗原検査法は、犬の血液中にフィラリアの成虫の抗原があるかどうかを確認する検査です。

犬のフィラリア症の治療にはどんな方法があるの?

現在ではほとんどの場合、フィラリア予防薬を月に1回、16か月以上投与する方法が選択されます。

成虫が多数寄生している場合、以前は特殊な鉗子(かんし)を用いて心臓や肺動脈に寄生したフィラリアを摘出する手術が行われていました。しかし、予防意識の普及に伴ってフィラリアに感染した犬が激減したため、この手術ができる病院の数も減っているようです。ほかに、成虫駆除のためにヒ素剤を投与することもあります。

犬のフィラリア症は治せるの?

犬のフィラリア症は初期の場合や、感染した成虫の数が多くなければ、先に挙げた治療によってフィラリアを駆除することで回復は可能です。しかしながら、重度のフィラリア症で心臓への負担が甚大な場合は、心不全により命に関わる危険があります。

どうやって予防したらいいの?

予防薬でほぼ確実にフィラリア症を予防

予防薬をしっかり投与すれば、ほぼ確実に犬のフィラリア症は予防することが可能です。予防薬には月に1回投与するタイプとして、錠剤タイプ、チュアブルタイプ(噛み砕いて服用する)、スポットタイプ(液剤を垂らす)があり、確実に投与できるのであればどのタイプでも大丈夫です。ほかにも1年間効果が持続する注射タイプもあります。

犬のフィラリア症の予防

フィラリアの予防は投薬期間が重要

注射タイプ以外は、月に1回投与しますが、ここで大事なのは投与する期間です。そもそもフィラリアの予防薬は、蚊に吸血されないための薬でもなければ、ミクロフィラリアが体内に入らなくするための薬でもありません。蚊に吸血されたときに、犬の体内に入ってきたフィラリアの幼虫を成長しきらないうちに駆除するためのものなのです。

そのため、フィラリアを感染する蚊が出始めた1か月後に投与をスタートし、感染する蚊がいなくなった後にもう一度投与することが必要になります。

フィラリアを媒介する蚊が出ている期間は気温に関連しているため、地域によって予防が必要な期間は異なります。また、すでに犬が予防薬の投与を受けていても、引っ越しをしたら必要な予防期間が変わるかもしれません。いずれの場合も、必ず動物病院で予防期間を確認するようにしてください。

予防薬投与を忘れてしまったら獣医に必ず相談を

フィラリアの予防には毎月1回の投与が必要ですが、もし1回投与を忘れてしまったらどうなるのでしょうか。

最後に予防薬を投与した直後に蚊に吸血され、そのときにミクロフィラリアが犬の体内に入ってしまった場合、そこから2か月の間、予防薬を投与していないと、フィラリアの幼虫が成長してしまい予防薬を投与しても駆虫できなくなる恐れがあります。

投与を忘れないのが基本ですが、忘れてしまったら獣医さんの指示を必ず仰いでください。

そのほか気になる犬の心臓の病気については、獣医師監修の「犬の疾患 心臓の病気」をご覧ください。

ペット保険の契約対象となる犬種・品種について

当社のペット保険は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。
犬種の区分については、「ペット保険取り扱い犬種分類表」をご覧ください。

ミックス犬の保険料は、下記のように設定します。

  • 両親の犬種が共にわかっているミックス犬の場合は、いずれか大きい型に該当する保険料となります。
  • 片方の親の犬種のみわかっている場合は、わかっている親の型に該当する保険料となります。
  • 当社の「ペット保険取扱の犬種分類表」に記載のない犬種の区分については、別途お問合わせください。

なお、猫の保険料については、品種による違いはありません。

PS保険エントランス

記事監修:ペットメディカルサポート株式会社

動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。