犬が急に痩せる原因とは?病院に連れて行くべき症状を獣医師が解説

最終更新日:2024年02月27日

犬が急に痩せてしまう原因としてどんな病気が考えられるのでしょうか。また、病院に連れて行くタイミング、予防や対処法などを獣医師さんに伺ってみました。

少し様子を見ようと思っているうちに、病状が悪化し、重篤な事態に陥ってしまうかもしれません。気になることがあれば、すぐに獣医師さんに相談しましょう。

犬が急に痩せる原因とは?病院に連れて行くべき症状を獣医が解説

犬が痩せる原因とは?

―犬が痩せてしまう原因として、どんなことが考えられるのでしょうか?

痩せるメカニズム

痩せるということは、基本的には消費カロリーが食餌による摂取カロリーを上回った場合に起こります。消費カロリーは年齢によっても異なりますし、犬の種類によっても活動量が異なるので変わってきます。そして、何かの病気にかかって健康状態が悪くなると、必要以上に消耗するためカロリー消費と摂取とのバランスが崩れて痩せることがあるのです。

このように、一言で「痩せる」といっても理由や状況はさまざまで、主に以下の項目に分けられます。

  • 食欲がないから痩せる
  • 食欲があるのに痩せる
  • 季節要因
  • 発情期(ヒート)
  • 老化に伴う筋肉量の低下

これらをそれぞれ説明していきましょう。

食欲がないから痩せる

食欲がなくなると摂取カロリーが少なくなります。もし食べないのにもかかわらず、いつものように散歩に行ったり遊ばせたりしていると、普段と変わらずカロリーを消費するため、消費カロリーが摂取カロリーを上回り、自然と痩せてしまいます。まずは、その子がなぜ食欲がないのかという原因を考え、適切に対処してあげましょう。

食欲があるのに痩せる

食欲があるのに痩せるときというのは、消費カロリーが摂取カロリーを大幅に上回ったときに起こります。いつもの散歩以上にドッグランでしっかり遊ばせたり、フリスビーのようにハードな運動を行ったりするのであれば、しっかりと食べさせないと痩せてしまうでしょう。

一方で、実は潜在的に糖尿病や腎臓病などの病気があって痩せてくることもあるので注意が必要です。

季節要因

季節要因としては、寒暖差が大きくなり、体に影響が出ることがあります。例えば、夏になると、暑くて食欲が落ち痩せることがあります。また、冬になると、雪の多い地域で屋外に生活している犬の場合、寒い中で体温を維持するため消費カロリーが多くなり、痩せていきます。

発情期(ヒート)

発情期中のメス犬は、やや落ち着きがなくなり、食欲が落ちることがあります。そうすると、発情期の間、痩せていきます。この場合は発情期中の一過性の変化なので、発情期が終わって様子が落ち着くと自然と体重が元に戻ります。そのため発情期中であれば、病気による体重減少ではないかもしれないという目安になります。
獣医師が、犬の発情期(ヒート)について詳しく解説します。

また、オスは発情期という性的な変化はないのですが、発情中のメスの近くにいると落ち着きがなくなり食欲が低下し、結果として痩せることがあります。

老化に伴う筋肉量の低下

老化してきた時、特に老齢期の中でも14,15歳を超えてくると運動量が減ることから筋肉が衰え始め、筋肉量が少なくなります。それに伴って痩せて見えることがあります。老化に伴って痩せるのは、痩せ方が緩慢で気付づかないうちに少しずつ減っていくことがほとんどです。また、食欲は基本的に落ちずによく食べてくれるはずです。そのため、食欲と元気があって、少しずつ痩せてきたときには老化に伴う筋肉量の低下と考えられます。

犬が痩せる原因として考えられる病気とは?

犬が痩せる原因として考えられる病気とは?

―犬が痩せてしまう原因としてどんな病気が考えられますか?

その原因となる病気はいくつも考えられますが、比較的多く遭遇するケースとしては、以下のようなものです。

  • 口内炎や歯周病など口の中の病気
  • 腫瘍
  • 糖尿病
  • 消化器疾患
  • 寄生虫感染
  • 腎臓病

口内炎や歯周病など口の中の病気

犬に食べたい様子があるのに、ご飯が食べられない場合は、口の中に炎症があったり歯がぐらついて痛みがあったりするのかもしれません。口の中をよく観察してあげるとわかる場合があります。

腫瘍

目に見えない犬の体内に腫瘍ができてしまう場合には進行するまで気付かず、病気の進行によって痩せていきます。特に、肝臓や肺など生きて行くうえで重要な主要臓器に腫瘍ができてしまうと、痩せた症状が確認できるころにはかなり悪化している場合があります。
獣医師が犬の腫瘍について詳しく解説します。

糖尿病

糖尿病の場合、犬には食欲があって食べているのに痩せていきます。同時に飲水量も多くなるので多食多飲である場合には糖尿病が疑われます。
獣医師が犬の糖尿病について詳しく解説します。

消化器疾患

消化器での消化吸収がうまくいっていない場合にも痩せてくることがあります。また、慢性の腸炎がある場合は、下痢によって脱水だけでなく栄養も吸収されずに痩せていくのです。

寄生虫感染

主に寄生虫が消化管内にいる場合、腸内での栄養吸収を障害させるため痩せていきます。

腎臓病

腎臓病の場合は、病状がかなり進行していると痩せてしまいます。さらに進行すると脱水により痩せ方の程度がひどくなります。

犬が痩せてきて、こんな症状ならすぐ病院へ

犬が痩せてきて、こんな症状ならすぐ病院へ

心配のいらない場合

―愛犬が痩せてきても心配のいらない、様子を見てもいい場合について教えてください。

様子を見てもいいケースというのは多くはないのですが、基本的に元気があることが前提です。そのうえで、いつも以上に運動させた、発情中である、暑くて夏バテ気味といった明らかな要因がある場合は様子を見てもいいでしょう。

受診を強く勧める場合

脱水症状がひどい場合がすぐ病院へ

―受診すべきタイミング、併発するそのほかの症状を教えてください。

以下に示す症状の項目に当てはまる場合は、様子を見ずに動物病院を早めに受診したほうがいいでしょう。

  • 痩せ方がひどく、体を触ったときに骨ばってしまうほど痩せている場合
  • 食事量を増やしたのに体重が戻らず減り続けてしまう
  • 嘔吐や下痢の症状がある
  • 飲水量が多い
  • 尿量が多い

この中で、嘔吐や下痢がある場合は脱水症状がひどくなり、ぐったりした時にはすでに重篤な状態になっている場合があるので様子を見るべきではありません。

また、飲水量や尿量が多い場合は、糖尿病や腎臓病などの疾患の可能性があるため、早めに病院で検査してもらいましょう。

犬が痩せてきた場合の対処法

犬が痩せてきた場合の対処法

食事量や食事回数を増やす。栄養を考え食べやすさを工夫しよう

―愛犬が痩せてきたら、どのように対処すればいいのでしょうか?

まずは、愛犬の日ごろの食事量や生活パターンを記録しておくことが大切です。そのうえで、元気があるのなら、なぜ痩せてきたのかを普段の生活記録と照らし合わせて食事量を調節してあげましょう。食事量や食事回数を増やすと食べてくれるかもしれません。

運動量が多い場合は、運動自体を減らす必要はありませんが、その分の消費カロリーを補うためにタンパク質や炭水化物の量を増やしてあげるといいでしょう。また、愛犬がドライフードを好んで食べない場合は、缶詰タイプやささみをトッピングしてあげるとよく食べてくれるようになるはずです。

このように工夫して食べさせようとしても体重が減る場合は、動物病院への受診をお勧めします。

まとめ

愛犬が痩せてしまう原因は生理的なものから病的なものまでさまざまです。そのため、普段から愛犬の食餌と運動のバランスがどうなっているのかを把握しておき、健康なときの体重を測っておきましょう。そうすれば、愛犬が痩せてきた際に、どうおかしいのかを気付きやすくなります。また、大事に至らないであろう場合でも、痩せるということは心配な点が多いので、念のために動物病院で見てもらったほうが安心でしょう。

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犬種別の保険料

  • 純血犬は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。犬種の区分については、「犬種分類表」をご確認ください。
  • ミックス犬の保険料は、年齢と体重により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類します。詳しくは、「犬種分類表」の「ミックス犬」の欄をご確認ください。
  • 猫の場合は、品種によらず純血猫もミックス猫もすべて同じ保険料です。
ア行~カ行犬の品種分類表
ア行
カ行
サ行~ナ行
サ行
タ行
ナ行
ハ行~ワ行・その他
ハ行
マ行
ヤ行
ラ行
ワ行
ミックス犬(※1)
  • 8か月未満:6kg未満
  • 8か月以上:8kg未満
  • 8か月未満:6kg以上~20kg未満
  • 8か月以上:8kg以上~25kg未満
  • 8か月未満:20kg以上
  • 8か月以上:25kg以上

※ 「犬種分類表」に記載のない犬種の分類につきましては別途お問い合わせ下さい。

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記事監修:ペットメディカルサポート株式会社

動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。