犬がネギを食べたときの症状と応急処置を獣医が解説

最終更新日:2024年02月26日

玉ねぎや長ねぎ、にらやにんにくなどのネギ類は、犬が食べると中毒を引き起こしてしまう危険なものです。愛犬がネギ類をなめてしまった、食べてしまった場合、どんな症状が起こり、どう対処すべきかを獣医師が詳しく解説します。

犬がネギを食べたときの症状と応急処置を獣医が解説

犬がネギを食べると引き起こされる症状

ネギの成分「アリルプロピルジスルフィド」が犬に溶血性貧血を引き起こす

―犬がネギを食べると、何が原因で、どんな症状が現れるのですか?

犬がネギを食べてはいけないということ自体は、犬を飼っているほとんどの方が知っていると言われています。そこで、今回はネギが犬に対してどう良くないのかを具体的に説明していきたいと思います。

犬が長ねぎや玉ねぎなどネギ類を食べると、これに含まれる香味成分「アリルプロピルジスルフィド」という有機硫黄化合物が、犬の赤血球を壊すという現象(これを溶血と言います)を引き起こします。赤血球が溶血することにより、犬は溶血性貧血を引き起こし、貧血が重度になると死亡例も報告されているため、ネギ類は非常に危険な食べ物だと言っていいでしょう。

犬の溶血性貧血の症状と治療法について獣医師が解説

また、犬がネギ類を大量に食べた場合、1~2日のうちに症状が出る場合もありますが、食べた量にかかわらず、数日経ってから症状が現れる場合もあるので注意が必要です。

犬がネギを食べたかも!? こんな症状が見られたら病院へ

  • 元気がない
  • ごはんを食べない、食欲不振
  • 血尿(赤色だけでなく、茶色や醤油のような色になることも)
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 体がふらつく
  • 歯肉や結膜が白っぽい
  • 黄疸が出る
  • 息が荒い、呼吸が速い
犬がネギを食べると引き起こされる症状

これらの症状の中でも、醤油のような血尿が出たときや、体がふらついて歯肉が白っぽいときなどは症状が重篤で、非常に危険な状態だと考えられます。こういった症状が少しでも出ていたら、できるだけ早く動物病院へ連れて行きましょう。

ネギは加熱処理しても犬に与えてはいけない

―加熱したネギは、どうですか?

ネギを加熱調理しても香味成分「アリルプロピルジスルフィド」は変化することがないため、生と同じく犬に与えてはいけません。そのため、ネギを煮込んだスープであっても成分が溶け出しているため、犬に飲ませることは危険です。

犬にとって危険なネギ類

―ネギと同じ成分が含まれるものはありますか? その食品について教えてください。

一般的にネギ類と言われるものは、すべて「アリルプロピルジスルフィド」が含まれていると考えてください。長ねぎのほかに、玉ねぎ、わけぎ、あさつき、エシャロット、にら、にんにくなども同じくこの成分が含まれています。さらに、この食材の中で、葉や皮、根の部分も危険ですので注意してください。

また、ネギ類を使った料理は本当にたくさんあり、見た目だけではネギが入っているのかわからないケースがあるため、煮込み料理や子供の離乳食のようなものも誤って犬に食べさせないように気を付けましょう。

犬がネギをどのくらい食べると危険なのか

犬がネギをなめた、少量を食べてしまったらどうなるの?

―愛犬がネギをなめたり、少量を食べてしまったりしたら、どうなってしまうのでしょうか? 様子を見ていても大丈夫ですか?

犬のネギに対する溶血性貧血の発現は食べた量が多いほど症状が出やすいことから、ネギそのものや調理してネギが溶け込んだ食べ物をほんの少量食べたり、なめたりした程度であれば、中毒症状が出る可能性は低いと考えられます。

しかし、犬のネギに対する感受性には個体差があるため、少しであっても症状が出ないとは限りません。もし、上記で挙げたような症状が愛犬に見られたら、動物病院を受診するか、電話で問い合わせてみましょう。

犬にとって危険なネギの摂取量

―どのくらいの量のネギを食べると中毒症状が出るのですか?

現時点で、犬のネギ中毒の発現量ははっきりとわかっていませんが、ネギ類の摂取が体重の0.5%以上で中毒が発現する可能性があると言われています。

これを体重に換算すると、犬の体重1kgに対してネギが5~10gの摂取で中毒症状が現れると考えられます。長ねぎは1本が100g程度であるため、体重3kgくらいの小型犬なら1/3本を食べただけで中毒を起こす可能性があるということです。

犬がネギを食べてしまったときの応急処置

家庭内ですべき応急処置、対処法

―愛犬がネギ類を食べてしまったら、家庭でどのように対処したらいいのでしょうか?

まずは、すぐに動物病院へ連絡し、獣医師に食べたものの種類や量、いつごろ食べたのかを正確に伝えられるようにしましょう。

食べてすぐであれば、動物病院で吐かせる処置を行う場合がありますが、飼い主の自己判断で吐かせようとしたり、しばらく様子を見たりすることは避けるべきです。なぜなら、吐かせることは危険を伴いますし、様子を見ているうちに中毒症状が出てからでは治療が難しくなる場合が多いからです。

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病院での対処法

―犬がネギ類を食べてしまったら、病院ではどのような処置をするのですか?

動物病院では、犬がネギを食べて2時間以内であれば吐かせる処置をする場合があります。また、ネギを食べてある程度時間が経過しているなら、血液検査や尿検査などを行って、中毒症状が発現していないかを調べることもあります。

このような処置や検査をすると、相場として2~3万円ほどかかる場合があります。もし犬に中毒症状が発現してしまっている場合には、症状の程度にもよりますが、輸血や入院して集中治療をすることもあります。その場合、日数や治療内容により10万円以上かかることがあるでしょう。

※こちらの診療費は参考例です。平均や水準を示すものではありません。診療費は病院によって異なります。

まとめ「犬にネギを食べさせてはいけない」

人には無害な食べ物であるネギ類は、犬にとっては非常に危険な食べ物です。犬が大量のネギを誤食し、中毒症状が現れた場合には、治療が間に合わないことや、治療に反応せず死が避けられない状態になることすらあるため、日ごろから注意し、犬にネギ類を絶対に食べさせないように気を付けてあげてください。

愛犬に食べさせていいかを迷ったり、何かを食べて具合が悪くなったかもしれないと思ったりしたら、獣医師監修の「犬が食べてはいけない危険な食べ物」「犬が食べても大丈夫なもの」を併せてご覧ください。

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犬種別の保険料

  • 純血犬は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。犬種の区分については、「犬種分類表」をご確認ください。
  • ミックス犬の保険料は、年齢と体重により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類します。詳しくは、「犬種分類表」の「ミックス犬」の欄をご確認ください。
  • 猫の場合は、品種によらず純血猫もミックス猫もすべて同じ保険料です。
ア行~カ行犬の品種分類表
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