犬が梅干しを食べすぎた、種を飲み込んだときの症状と応急処置を獣医が解説

最終更新日:2024年07月09日

本コンテンツは獣医師2名による確認を行い、制作をしております。

梅干しには、犬に中毒を引き起こす成分は含まれていませんが、その塩分や種に注意が必要です。愛犬が梅干しを大量に食べてしまった、種を詰まらせてしまった場合、どんな症状が起こり、どう対処すべきかを獣医師が詳しく解説します。

犬が梅干しを食べすぎた、種を飲み込んだときの症状と応急処置を獣医が解説

犬が梅干しを食べても大丈夫。ただし、注意は必要

―犬に梅干しを与えても問題ありませんか?

梅干しには、犬に中毒を引き起こす成分は含まれていません。そればかりか、ポリフェノールやクエン酸、鉄分などといった、犬の健康維持にメリットのある成分が多く含まれています。

ただし、梅干しを愛犬に与える場合には、いくつかの注意点があります。

犬が梅干しを食べすぎた、種を飲み込んで引き起こされる症状

梅干しの過剰な塩分が犬に食塩中毒を引き起こす

犬は梅干しを過剰に摂取すると、食塩中毒を引き起こします。食塩中毒は摂取してから数十分から数時間以内に現れ、嘔吐や下痢のほか、ふらつきや発作などの症状を引き起こします。また、重症の場合には、命にかかわることがあります。

梅干しの種で喉や腸を詰まらせてしまう

梅干しの種は犬の体にとって大きく、また消化されることはありません。そのため、喉に詰まらせて呼吸がうまくできなくなる場合や、胃腸に詰まり、急な嘔吐や下痢を引き起こすことがあります。

犬が梅干しを食べたかも!? こんな症状が見られたら病院へ

  • 食欲がない
  • 元気がない
  • 熱っぽい
  • 下痢をする
  • ふるえが続く
  • 吐いている

特に緊急性の高い状態

  • 頻繁に吐いている
  • 立てない
  • 歩けない
  • ふらついている
  • けいれんしている
  • 目が見えていない様子がある
  • 意識がもうろうとしている

犬が梅干しをどのくらい食べると危険なのか

犬が梅干しをどのくらい食べると危険なのか

犬が梅干しをなめた、少量を食べてしまったらどうなるの?

―愛犬が梅干しをなめたり、少量を食べてしまったりしたら、どうなってしまうのでしょうか? 様子を見ていても大丈夫ですか?

この場合、中毒の心配は少ないでしょう。一方で、梅干しには塩分が多く含まれているため、愛犬が一時的に水分を多く欲しがるかもしれません。その場合には十分にお水を与えてください。その上で、嘔吐や下痢、ふらつきなどの症状が出てくることがないか、様子を見てください。

犬にとって危険な梅干しの接収量(食塩換算)

体重1kgあたり食塩2~3gで中毒症状、4gで命にかかわる

―犬はどのくらいの量の梅干しを食べると中毒症状が出るのですか?

犬は1kgあたり2~3gの食塩を摂取すると中毒を起こす可能性があり、4gを超えると命にかかわるとされています。

梅干し1個には約2gの食塩相当量が含まれており、犬の体重1kgあたり梅干し1個を超えて摂取すると、食塩中毒を引き起こす可能性があります。つまり、体重3kgの小型犬では、梅干し3個以上を一気に食べてしまうと非常に危険です。

ただし、梅干しと一緒に、塩分を含むほかの食べ物を摂取すると、より少ない量でも食塩中毒の心配がありますので注意しましょう。

犬が梅干しを多量に食べてしまった、種を飲み込んでしまったときの応急処置

犬が梅干しを多量に食べてしまった、種を飲み込んでしまったときの応急処置

家庭内ですべき応急処置、対処法

梅干しを多量に食べ、塩分過多の場合

―愛犬が、梅干しを大量に食べてしまった場合、自宅でできる応急処置について教えてください。

愛犬に水を飲ませる方法が有効です。ただし、愛犬が水を飲まない、飲ませられない場合には決して無理をすることなく、なるべく早く動物病院を受診してください。また、愛犬に水を飲ませられたとしても、あくまで応急処置ですので、動物病院を受診してください。

梅干しの種を飲み込み、詰まらせた場合

―愛犬が、梅干しの種を飲み込んでしまった場合、どうしたらいいのでしょうか。

梅干しの種が喉や食道に詰まると、呼吸困難を引き起こす場合があります。特に種を飲み込んだあと、舌の色が青っぽくなっている、倒れてしまうといった呼吸困難を疑う症状がある場合には、緊急度が高く応急処置が必要です。具体的には、愛犬の口を開け、舌を引っ張り、気道を確保します。ときとして、こうした方法が有効な場合があります。ただし、決して無理はせずに早急に動物病院に連絡を取ってください。

また、梅干しの種が胃腸に詰まると、急な嘔吐や腹痛などの症状が出ることがあります。こうした場合、自宅でできる応急処置はありませんので、すぐに動物病院を受診しましょう。

受診の際には、食べた梅干しの量、大きさ、いつごろ食べたのかといった情報が大変重要になりますので、わかる範囲でまとめておきましょう。加えて、食べた梅干しと同じものがあれば、動物病院に持参してください。

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病院での対処法

―愛犬が大量の梅干しを食べてしまったら、病院ではどのような処置をするのですか?

動物病院では症状や状況に応じた検査・処置を行います。

梅干しを多量に食べ、塩分過多の場合

  • 血液検査
    梅干しの摂取による体内への影響度合を調べます。
    1万~2万円程度
  • 催吐処置(読み:さいとしょり、意味:はかせること)
    胃の中に梅干しが残っており、吐かせる処置が適切と思われる場合に行うことがあります。
    1万~3万円程度(処置前検査を含む)
  • 点滴、薬剤処置
    過剰な塩分の希釈・排泄を促し、中毒症状を緩和します。入院が必要な場合があります。
    一日あたり1万~3万円程度

梅干しの種を飲み込み、詰まらせた場合

  • 血液検査・レントゲン検査・超音波検査など
    梅干しの摂取による体内への影響度合や、種の有無・形・数・大きさなどを調べます。
    1万~2万円程度
  • 催吐処置
    胃の中に梅干しの種が残っている場合に行うことがあります。
    1万~3万円程度(処置前検査を含む)
  • 摘出処置
    梅干しの種が催吐処置で取り出せない、または催吐処置ができないときに行うことがあります。内視鏡や外科手術などの摘出方法によって、費用はさまざまです。
    5万~30万円程度

※こちらの診療費は参考例です。平均や水準を示すものではありません。診療費は病院によって異なります。

まとめ「犬に梅干しを与えるときは種を除き少量で」

全米研究評議会(NRC:National Research Council)が公表しているデータでは、成犬が一日に必要な食塩相当量は体重1kgあたり約0.25gとされています。これは、8kg未満の犬が梅干しを一日ひとつ食べてしまうと、塩分過多になることを意味します。

梅干しは種のない状態で、適切な量を与えれば犬の健康面にもメリットがある食物ですが、与えすぎに注意しましょう。

愛犬に食べさせていいかを迷ったり、何かを食べて具合が悪くなったかもしれないと思ったりしたら、獣医師監修の「犬が食べてはいけない危険な食べ物」「犬が食べても大丈夫なもの」を併せてご覧ください。

関連リンク

犬種別の保険料

  • 純血犬は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。犬種の区分については、「犬種分類表」をご確認ください。
  • ミックス犬の保険料は、年齢と体重により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類します。詳しくは、「犬種分類表」の「ミックス犬」の欄をご確認ください。
  • 猫の場合は、品種によらず純血猫もミックス猫もすべて同じ保険料です。
ア行~カ行犬の品種分類表
ア行
カ行
サ行~ナ行
サ行
タ行
ナ行
ハ行~ワ行・その他
ハ行
マ行
ヤ行
ラ行
ワ行
ミックス犬(※1)
  • 8か月未満:6kg未満
  • 8か月以上:8kg未満
  • 8か月未満:6kg以上~20kg未満
  • 8か月以上:8kg以上~25kg未満
  • 8か月未満:20kg以上
  • 8か月以上:25kg以上

※ 「犬種分類表」に記載のない犬種の分類につきましては別途お問い合わせ下さい。