犬が鳥の骨を食べると起こりうる症状と応急処置を獣医師が解説
最終更新日:2024年07月08日
本コンテンツは獣医師2名による確認を行い、制作をしております。
鳥の骨は、与え方に注意すれば、犬に与えても問題ありません。ただし、誤った与え方は犬に食中毒や感染症、腸閉塞などを引き起こすリスクがあります。それらの詳しい症状や対処法について獣医師が解説します。
- 鳥の骨は犬が食べても成分的に問題なし。ただし、与え方に注意
- 犬が鳥の骨を食べると引き起こされるリスク
- 犬に鳥の骨の与える際の注意点
- 犬が鳥の骨を食べて具合が悪いときの応急処置
- まとめ「犬に鳥の骨を与える際は注意が必要」
鳥の骨は犬が食べても成分的に問題なし。ただし、与え方に注意
鳥の骨は栄養豊富。犬は固い骨を消化できる
―「犬は骨が大好き」というイメージがありますが、鳥の骨を愛犬に与えても問題ありませんか?
鳥の骨には、カルシウムやコラーゲンなどがたっぷり含まれています。
カルシウムは犬の歯や骨を作る成分であり、そのほか筋肉を動かしたり、細胞間の情報伝達、および神経刺激の伝達をしたりと、重要な役割を担っています。一方、コラーゲンも骨を強くしたり、関節の動きをスムーズにしたりといった役割を担っています。
また、鳥の骨は消化が悪そうに見えますが、健康な成犬であれば数時間で消化できると言われているため、愛犬に鳥の骨を与えたいと考える飼い主さんは多いかもしれません。
しかし、鳥の骨を愛犬に与える際には注意しなければならないことがあります。
犬が鳥の骨を食べると引き起こされるリスク
生の鳥の骨が犬に食中毒や感染症を引き起こす
―犬に生の鳥の骨を与えると、どんなリスクがあるのでしょうか?
大きい骨をよくかまずに丸飲みしてしまうと、特に小型犬では食道閉塞を起こしてしまうことがあります。
また、生の鳥の骨を食べることで、サルモネラ感染症(食中毒)を引き起こすこともあります。
犬が生の鳥の骨を食べて様子がおかしい! こんな症状が見られたら病院へ
―どういった状態であれば、様子を見ていていいですか?
元気や食欲、便の状態などを注意深く観察して、普段と変わりがないようであれば、そのまま様子を見ていただいても特に問題はありません。
食道閉塞を起こすと、骨を食べてすぐによだれや吐き気などの症状が現れます。
また、サルモネラ感染症を発症すると、次のような症状が見られます。
- 発熱
- 嘔吐
- 下痢
- 食欲不振
- 元気がなくなる
通常、生の鳥の骨を食べてから3~5日ほどで症状が現れますが、12時間で症状が出たという報告もあります。また、幼犬では症状が出やすく、敗血症を引き起こすと死に至る場合もありますので、これらの症状が見られる場合には、すぐに動物病院を受診してください。
加熱処理した鳥の骨が犬の粘膜を傷付け、腸閉塞を引き起こす
―犬に加熱処理した鳥の骨を与える場合、どんな症状が引き起こされる可能性がありますか?
加熱処理した骨は砕けやすいため、特に小型犬では骨の欠片が腸閉塞を起こすことがあります。また、骨が縦に裂けると先端が尖り、胃や腸などが傷ついたり穴が開いたりすることもあります。
犬が加熱処理した鳥の骨を食べて様子が変! こんな症状が見られたら病院へ
―どういった状態であれば、様子を見ていていいですか?
犬は鳥の骨を消化できます。また、高温で加熱処理された骨や圧力鍋で調理された骨であれば、犬がかむと簡単に崩れるため、食べてしまっても無症状であることがほとんどです。愛犬の体調が普段と変わらないのであれば、そのまま様子を見ていただいても特に問題はありません。
しかし、次のような症状が見られた場合や、無症状であっても大量に食べてしまった場合には、動物病院を受診するようにしましょう。
- 嘔吐
- 下痢
- 食欲の低下
- 元気がない
また、下記のような症状が見られる場合は、腹膜炎や腸閉塞を起こしている可能性があります。命にかかわる状態ですので、一刻も早く動物病院を受診してください。
- 激しい嘔吐
- 血便
- 腹痛
- ぐったりしている
犬に鳥の骨の与える際の注意点
―以上のようなリスクを避けるため、愛犬に鳥の骨を食べさせるには、どのようにすればいいのでしょうか?
鳥の骨にはさまざまな部位がありますが、手羽先の先の部分を与えるようにしましょう。圧力鍋を使って骨がやわらかくなるまで調理したり細かくカットしたりすると、より安心して与えることができます。ただし、与えすぎには気を付つけましょう。
犬が鳥の骨を食べて具合が悪いときの応急処置
家庭内ですべき応急処置、対処法
―愛犬が、鳥の骨を食べてしまって具合が悪そうな場合、自宅でできる応急処置について教えてください。
体調を注意深く観察し、何か異常があればすぐに動物病院を受診するようにしましょう。動物病院を受診する際は、骨を食べてしまった日時や骨の部位、調理方法、症状などをあらかじめメモしておくと、情報を漏れなく正確に伝えられます。
食道閉塞や腸閉塞、腹膜炎が疑われる場合は様子を見ずに、すぐに動物病院に連絡をしましょう。応急処置の指示があれば従い、その後すぐに動物病院を受診するようにしてください。
嘔吐をしている場合、胃腸を休めるために水を与えないようにしましょう。下痢のような便の状態に異常がある場合は、なるべく新鮮な便をペットシーツやビニールに包んで動物病院に持参してください。ただし、下痢の原因がサルモネラ感染症である場合、人にもうつる可能性があります。絶対に素手で作業をせず、作業が終わったら、手洗い、うがい、消毒をしっかり行うようにしましょう。
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病院での対処法
―病院ではどのような処置をするのですか?
食道閉塞を起こしている場合は、内視鏡を使って鳥の骨を取り除く必要があります。この処置は犬に全身麻酔をかけて行うため、検査の費用を合わせると、治療費は10万円以上かかります。
サルモネラ感染症を発症してしまった場合は、吐き気止めの投与や点滴など、症状に合わせた治療(対症療法)を行います。ほとんどのケースでは2~3回の通院のみで済むことが多いのですが、さまざまな検査を行う必要がありますので、治療費は2~3万円かかります。
腸閉塞や腹膜炎を起こしている場合は、入院や手術が必要になります。さまざまな検査が必要であったり、入院が長期化したりすることが多いため、その治療費は20万円前後かかることも珍しくありません。
※こちらの診療費は参考例です。平均や水準を示すものではありません。診療費は病院によって異なります。
まとめ「犬に鳥の骨を与える際は注意が必要」
鳥の骨はカルシウムやコラーゲンが多く含まれるため、愛犬に与えたいと考える飼い主さんは少なくありません。しかし、鳥の骨には少なからずリスクが伴うため、与え方に注意して愛犬の健康を守ってあげてください。
愛犬に食べさせていいかを迷ったり、何かを食べて具合が悪くなったかもしれないと思ったりしたら、獣医師監修の「犬が食べてはいけない危険な食べ物」「犬が食べても大丈夫なもの」を併せてご覧ください。
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犬種別の保険料
- 純血犬は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。犬種の区分については、「犬種分類表」をご確認ください。
- ミックス犬の保険料は、年齢と体重により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類します。詳しくは、「犬種分類表」の「ミックス犬」の欄をご確認ください。
- 猫の場合は、品種によらず純血猫もミックス猫もすべて同じ保険料です。
ア行~カ行犬の品種分類表
ア行
- アーフェンピンシャー
- アイリッシュ・ウルフハウンド
- アイリッシュ・セター
- 秋田
- アフガン・ハウンド
- アメリカン・コッカー・スパニエル
- アメリカン・スタッフォードシャー・テリア
- アメリカン・ピット・ブルテリア
- アメリカン・フォックスハウンド
- アラスカン・マラミュート
- イタリアン・グレーハウンド
- イングリッシュ・コッカー・スパニエル
- イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル
- イングリッシュ・セター
- イングリッシュ・ポインター
- ウィペット
- ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
- ウェルシュ・コーギー・カーディガン
- ウェルシュ・コーギー・ペンブローク
- ウェルシュ・スプリンガー・スパニエル
- ウェルシュ・テリア
- エアデール・テリア
- オーストラリアン・キャトル・ドッグ
- オーストラリアン・ケルピー
- オーストラリアン・シェパード
- オーストラリアン・シルキー・テリア
- オーストラリアン・テリア
- オールド・イングリッシュ・シープドッグ
カ行
- カーリーコーテッド・レトリーバー
- 甲斐
- カニーンヘン・ダックスフンド
- キースホンド/ジャーマン・ウルフスピッツ
- 紀州
- キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
- キング・チャールズ・スパニエル
- グレート・デーン
- グレート・ピレニーズ
- グレーハウンド
- ケアーン・テリア
- ケリー・ブルー・テリア
- コーイケルホンディエ
- コーカサス・シープドッグ
- ゴードン・セター
- ゴールデン・レトリーバー
- コリア・ジンドー・ドッグ
- コリー
サ行~ナ行
サ行
- サモエド
- サルーキ
- シー・ズー
- シーリハム・テリア
- シェットランド・シープドッグ
- 四国
- 柴(小柴・豆柴も含む)
- シベリアン・ハスキー
- シャー・ペイ
- ジャーマン・シェパード・ドッグ
- ジャーマン・ポインター
- ジャイアント・シュナウザー
- ジャック・ラッセル・テリア
- スカイ・テリア
- スキッパーキ
- スコティッシュ・テリア
- スタッフォードシャー・ブル・テリア
- スタンダード・シュナウザー
- スタンダード・ダックスフンド
- スタンダード・プードル
- セント・バーナード
タ行
- ダルメシアン
- ダンディ・ディンモント・テリア
- チェサピーク・ベイ・レトリーバー
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- チベタン・テリア
- チベタン・マスティフ
- チャイニーズ・クレステッド・ドッグ
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- 狆(ちん)
- トイ・プードル
- トイ・マンチェスター・テリア
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- ドゴ・アルヘンティーノ
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ナ行
- ナポリタン・マスティフ
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- ノーフォーク・テリア
- ノーリッチ・テリア
ハ行~ワ行・その他
ハ行
- バーニーズ・マウンテン・ドッグ
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- ビーグル
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ヤ行
ラ行
- ラージ・ミュンスターレンダー
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- ラブラドール・レトリーバー
- レークランド・テリア
- レオンベルガー
- ローデシアン・リッジバック
- ロットワイラー
ワ行
ミックス犬(※1)
- 8か月未満:6kg未満
- 8か月以上:8kg未満
- 8か月未満:6kg以上~20kg未満
- 8か月以上:8kg以上~25kg未満
- 8か月未満:20kg以上
- 8か月以上:25kg以上
※ 「犬種分類表」に記載のない犬種の分類につきましては別途お問い合わせ下さい。
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記事監修:ペットメディカルサポート株式会社
動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。