犬の外耳炎

犬の外耳炎ってどんな病気?

犬の耳の構造

犬の耳の構造は、外側から耳介・外耳道・鼓膜・中耳・内耳に分けられます。耳介は人間でいう耳たぶに当たる部分です。外耳道はいわゆる「耳の穴」の部分です。外耳道はL字の構造をしていて、耳介からは縦方向の穴である垂直耳道が伸びており、その先には横方向の穴である水平耳道が伸びています。水平耳道の先には鼓膜があり、鼓膜までを外耳と呼びます。

皮脂は微生物から外耳を守っている

外耳は、皮膚と連続しているため基本的な構造や働きは皮膚と同じで、皮脂が分泌され、汗腺から汗が分泌されています。外耳には細菌やマラセチアといった微生物が存在していますが、皮脂はこういった微生物から外耳を防御していると考えられています。

健康な外耳は耳垢を外に運び出す

外耳の分泌物と外耳表面からターンオーバー(皮膚の表面組織の新陳代謝)によって浮き上がった角質が混ざり合うことでできるのが耳垢です。つまり、耳垢自体はどんな犬の耳でも作られるものなのです。健康な外耳では、耳垢を外に運び出す働きがあり、中に大量の耳垢がたまってしまうことはありません。

外耳炎は外耳の働きを阻害し、かゆみや痛みを起こす

外耳炎は耳介や外耳道に炎症が起こった状態です。炎症が起こると腫れや滲出液が出てきて、外耳の正常な働きができなくなります。そして、かゆみや痛みが出てきて、耳垢が外耳の奥にたまるようになります。

犬の外耳炎の症状と原因

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どうして症状が出るの?原因は?

なぜ外耳炎になるのでしょうか。外耳炎の病態について、最近では「PSPP分類」という考え方が提唱されています。これに沿って考えていきましょう。

主な原因は、アレルギー性皮膚炎、耳の中の異物、外部寄生虫、脂漏症、甲状腺機能低下症

最初のPは、「Primary=主因」であり、これだけで外耳炎を発症させるような因子を指します。つまり、「外耳炎の原因は?」と聞かれたら、この中のどれかということになります。具体的には、アレルギー性皮膚炎、耳の中の異物、外部寄生虫(耳ヒゼンダニ)、脂漏症、甲状腺機能低下症のような内分泌疾患、免疫介在性疾患などがあると考えられています。

「犬アトピー性皮膚炎の犬の83%で外耳炎を併発していた」「犬アトピー性皮膚炎の犬の35%で症状が外耳炎のみだった」というデータがあります。また、「食物アレルギーの犬の80%は外耳炎を併発している」と言われています。

副因は、マラセチアや細菌の増殖、感染

Sは「Secondary=副因」で、外耳炎になった結果として出てきますが、簡単に取り除くことができる因子です。例えば、マラセチアの増殖、細菌の増殖や感染といったものが挙げられます。

増悪因は、耳垢が大量に出てくる状態

続くPは「Perpetuating=増悪因」で、外耳炎になった後で生じてくるもので、外耳炎をより重症化させるような因子です。耳垢が大量に出てくる状態です。

素因は、高温多湿、先天的な耳道狭窄、耳毛が多い

最後のPは「Predisposing=素因」で、外耳炎になる前から存在していて、外耳炎が発症するリスクを高めるような因子です。外耳環境の高温多湿、先天的な耳道狭窄(耳道が狭い状態)、耳毛が多いといった状態です。

どんな犬が外耳炎にかかりやすいの?

アレルギー性皮膚炎を発症しやすい犬種

垂れ耳の犬種

皮脂腺が大きく皮脂が出やすい犬種

毛の量が多いの犬種

犬の外耳炎の特徴とチェック項目

  • 外耳が赤い
  • 耳をかゆがる
  • 耳垢が多くなる
  • 耳が臭い
  • 頭をよく振る
  • 耳を触ろうとすると嫌がる、怒る

これらの症状が見られたら外耳炎になっているかもしれません。動物病院で確認してもらいましょう。

犬の外耳炎はどうやって診断されるの?

まず、耳を観察します。入口は肉眼で観察し、耳道の奥の方は耳鏡という器具を使って観察します。これらによって、次のような状態を確認します。

  • 炎症がどの程度なのか
  • 炎症がどの範囲まで広がっているのか
  • 耳垢がどれくらい溜まっているか
  • 異物やポリープなどがないか
  • 鼓膜に異常はないかを
  • 耳毛の量

より細かい観察は耳道内視鏡(ビデオオトスコープ)という器具を使うこともあります。

そして、耳垢が溜まっていたら、それを採取して顕微鏡で観察します。耳ヒゼンダニ、細菌、マラセチア、炎症細胞を調べます。また、耳だけでなく、身体検査や血液検査などで全身状態を調べて主因となるような病気がないかを探します。

犬の外耳炎の治療と予防

犬の外耳炎の治療にはどんな方法があるの?

治療についてもPSPPで考えてみましょう。

主因対策

耳の中の異物や耳ヒゼンダニが原因であれば、それを除去します。異物は鎮静処置や全身麻酔をかけて耳道内視鏡を使って摘出します。耳道内視鏡はどこの病院にもあるわけではありません。かかりつけの動物病院に耳道内視鏡がなければ、治療可能な病院を紹介してもらいましょう。

耳ヒゼンダニは、耳の洗浄と駆虫薬を使って駆除します。アレルギー性皮膚炎や脂漏症、内分泌疾患、免疫介在性疾患が見つかった場合は、それぞれに対しての治療を行います。

副因対策

副因に対しては、基本的に耳の洗浄を行って物理的に除去します。さらに、状態によって治療薬を投与します。外耳炎の治療薬は基本的に外用薬(点耳薬)を使用します。

ほとんどの薬にステロイド・抗菌薬・抗真菌薬が含まれており、炎症自体を抑え、副因になる細菌もマラセチアも減少させる効果が期待できます。その反面、必要ない成分を使用し続ける可能性もあるため、「耳をかゆがっているから、とりあえず薬を付けておこう」という考え方は危険です。

増悪因対策

増悪因に対しても洗浄や薬の投与が基本的な対処になります。

素因対策

垂れ耳といった素因は、犬自身のもともとの構造によるものが多く、これ自体を改善することが困難です。しかしながら、耳毛が過剰であれば、定期的に耳毛抜きを行うことが有効です。

犬の外耳炎は治せるの?

耳の中の異物や耳ヒゼンダニが原因で外耳炎になっているのであれば、原因を除去すれば完治します。しかし、それ以外のものは、継続して治療や定期的なケアが必要になります。

また、注意したいのが、外耳炎を放置したり、治療を中途半端で終わらせたりしてしまうと、外耳道の腫れが引かなくなり、慢性外耳炎に移行する危険性が高くなるということです。そうなると洗浄や投薬では治らず、外科手術が必要になる場合があります。早期発見・早期治療を心がけましょう。

どうやって予防したらいいの?

アレルギー対策と耳の洗浄が大切

絶対に外耳炎にならない方法はありませんが、リスクを上げるような要因をできるだけコントロールすることで、外耳炎になりにくくすることは可能です。

具体的には、アレルギー性皮膚炎のような主因になる疾患は、必要なケアをきちんとしてあげること、そして、素因である耳の中の環境が悪化しないように、定期的な耳の洗浄を行うことです。

そのほか気になる犬の耳の病気については、獣医師監修の「犬の耳の病気」をご覧ください。

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記事監修:ペットメディカルサポート株式会社

動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。