犬の不整脈の症状と原因、治療法について

最終更新日:2024年07月09日

本コンテンツは獣医師2名による確認を行い、制作をしております。

犬の不整脈の症状

犬の不整脈の症状と原因

不整脈とは、心臓が拍動するリズムが狂った状態を指します。

心拍数(心臓が1分間に拍動する回数)は動物によって異なり、小型犬(成犬)で約60~80回、人間は約60~70回なので、犬と人間はほぼ同じ速さで心臓が動いています。

不整脈は、脈が異常に速くなる「頻脈性不整脈」、遅くなる「徐脈性不整脈」、脈のリズムが乱れる「期外収縮」の3つのタイプがあり、異常が起きている部位によってさらに細かく分類されます。

  • 頻脈性不整脈:心房細動、心室細動
  • 徐脈性不整脈:洞不全症候群、房室ブロック
  • 期外収縮:上室性期外収縮、心室性期外収縮

また、不整脈を発症すると、犬の以下の症状が現れます。

  • 元気や食欲がなくなる
  • 散歩や運動を嫌がる(運動不耐性)

不整脈があっても無症状で経過するケースが多い一方、最悪の事態では、突然死をしてしまうおそれもあるため注意が必要です。

こんな症状が見られたらすぐに動物病院を受診

犬に次のような症状が見られる場合は、不整脈が疑われます。命にかかわるおそれがありますので、様子を見ずに、すぐに動物病院を受診しましょう。

  • ふらつき
  • 呼吸困難
  • 失神(発作的に突然倒れる)

愛犬の様子を日ごろから注意深く観察していても、初期の不整脈を見つけるのは難しく、別のきっかけで動物病院を受診した際にたまたま発覚するケースも少なくありません。そのため、愛犬の様子がいつもと違うと感じたら、早めに獣医師に相談しましょう。

犬の不整脈の原因

犬の心臓は4つの部屋に分かれていて、左上の部屋を左心房、左下の部屋を左心室、右上の部屋を右心房、右下の部屋を右心室といいます。

右心房の上の方には、自然のペースメーカーである「洞房結節(どうぼうけっせつ)」という特殊な細胞が集まっていて、規則的に電気信号を発しています。電気信号は右心房と左心房に伝わりながら心房を拍動(収縮と拡張を繰り返す運動)させます。続いて、心房と心室の間にある房室結節(ぼうしつけっせつ)を通って、左心室と右心室にそれぞれ伝わって心室を拍動させます。

つまり、電気信号が規則正しく発生しなかったり、電気信号が伝わる間で異常が起きたりして拍動のリズムが乱れた状態が不整脈です。

人間の場合、ストレスや飲酒、喫煙などが原因で不整脈が起きるケースが多々ありますが、犬の場合はほぼ病気が原因で起こります。

不整脈を引き起こす可能性のある病気

  • 僧帽弁閉鎖不全症
  • 拡張型心筋症
  • 肺高血圧症
  • 不整脈源性右室心筋症(ボクサー心筋症)
  • 甲状腺機能低下症
  • 胃拡張・胃捻転症候群
  • 膵炎(すいえん)
  • 心臓腫瘍
  • 脾腫(ひしゅ)
  • 敗血症
  • DIC(播種性血管内凝固)
  • 中毒
  • 薬の作用
  • 重度の貧血

不整脈は心臓が拍動するリズムが狂った状態を指すので、心臓の病気が原因で起こるイメージがあるかもしれません。もちろん、僧帽弁閉鎖不全症や拡張型心筋症といった心臓病が原因で犬に不整脈が起こることもありますが、ホルモンの異常(甲状腺機能低下症など)や腫瘍(心臓腫瘍、脾腫)、中毒など、さまざまな病気が不整脈の原因となります。

不整脈になりやすい犬の特徴

どの犬種も不整脈を引き起こす可能性はありますが、特に以下の犬種に起こりやすいとわれています。

  • ウエスト・ハイランド・ホワイトテリア
  • ダックスフント
  • コッカー・スパニエル
  • ミニチュアシュナウザー
  • パグ
  • ラブラドールレトリーバー

また、不整脈は年齢を問わず発症しますが、中・高齢犬に多い傾向にあります。

犬の不整脈の治療法

犬の不整脈の治療法と予防法

検査内容

  • 聴診
  • 心電図検査
  • 血液検査
  • レントゲン検査
  • 超音波検査

まずは聴診で犬の心臓が拍動するリズムを確認し、心電図検査で不整脈の種類や程度などを確認します。さらに、心臓の状態や、不整脈を引き起こしている原因を確認するために、血液検査やレントゲン検査、超音波検査を行います。

治療法

不整脈治療の基本は、抗不整脈薬による内科療法です。

ただし、不整脈の種類や程度によっては、犬に治療を行わず経過観察を行う場合もあります。また、不整脈を引き起こしている病気があれば、原因となっている病気の治療を進めると不整脈が改善するケースもあります。

人間の場合、ペースメーカーの埋め込み手術やカテーテルアブレーション(心筋焼灼術/しんきんしょうしゃくじゅつ)による外科療法があります。犬の場合、カテーテルアブレーションは国内の動物病院では現在実施されていませんが、ペースメーカーの埋め込み手術は循環器科がある動物病院や大学病院などで受けられます。

しかし、紹介状が必要だったり、犬の不整脈の種類や年齢によっては手術ができなかったりするため、手術を希望する場合は、かかりつけの獣医師に相談してください。

犬の不整脈の予防法

人間の場合は生活習慣の改善である程度不整脈を予防できますが、残念ながら、犬に対する有効な予防法は今のところありません。そのため、早期発見・早期治療が重要です。

犬は自分から不調を訴えられません。日ごろから愛犬の様子をよく観察して、元気や食欲などのちょっとした変化に気付いた場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。特に高齢犬では、加齢による変化と不整脈による体調不良との区別が難しくなります。愛犬が7歳を過ぎたら、1年に1回は健康診断を受けるとより安心です。

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犬種別の保険料

  • 純血犬は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。犬種の区分については、「犬種分類表」をご確認ください。
  • ミックス犬の保険料は、年齢と体重により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類します。詳しくは、「犬種分類表」の「ミックス犬」の欄をご確認ください。
  • 猫の場合は、品種によらず純血猫もミックス猫もすべて同じ保険料です。
ア行~カ行犬の品種分類表
ア行
カ行
サ行~ナ行
サ行
タ行
ナ行
ハ行~ワ行・その他
ハ行
マ行
ヤ行
ラ行
ワ行
ミックス犬(※1)
  • 8か月未満:6kg未満
  • 8か月以上:8kg未満
  • 8か月未満:6kg以上~20kg未満
  • 8か月以上:8kg以上~25kg未満
  • 8か月未満:20kg以上
  • 8か月以上:25kg以上

※ 「犬種分類表」に記載のない犬種の分類につきましては別途お問い合わせ下さい。

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記事監修:ペットメディカルサポート株式会社

動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。