犬の心不全の症状と原因、治療法について

最終更新日:2024年07月09日

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犬の心不全の症状

犬の心不全の症状と原因

心不全とは、全身に血液を送っている心臓のポンプ機能が低下し、血液の循環が悪くなっている状態です。心臓病を発症したときに、心不全を引き起こします。心不全には、右心(右心房と右心室からなる右側の部屋)の機能が低下する「右心不全」と、左心(左心房と左心室からなる左側の部屋)の機能が低下する「左心不全」があります。

また、急激に心機能が低下する「急性心不全」と、ゆっくりと進行していく「慢性心不全」があります。急性心不全は、病状が急速に悪化して命を落とす可能性があり、特に危険な状態です。

犬が心不全になると、次のような症状が現れます。

  • 呼吸が速い
  • 疲れやすい
  • 食欲が落ちる
  • 元気がない

こんな症状が見られたらすぐに動物病院を受診

犬に次のような症状が現れた場合、心不全の悪化が疑われるため、いち早く動物病院を受診しましょう。

  • 足がむくむ
  • お腹が膨らむ・お腹に水がたまる(腹水)
  • 口の中の粘膜や舌の色が暗い色になる
  • 失神
  • 呼吸が速く、ぐったりしている

心臓は生命の維持にとても重要な臓器のため、心不全を放置すると犬の命にかかわります。また、重度の左心不全は、肺水腫(肺に水がたまる病気)を誘発する可能性があるため、注意が必要です。

犬の心不全の原因

心臓は、血液を全身に送るためのポンプの役割を担っている臓器です。心臓の右心から肺へと血液を送り、血液中の酸素と二酸化炭素を交換します。肺からの血液は左心に戻ってきた後、全身へと送られ、右心に再び戻ってきます。

心不全になった犬は、ポンプ機能が低下して、十分な量の血液を全身に送れなくなります。犬の心臓のポンプ機能が低下する原因は、加齢とともに現れる病気や、生まれもった先天的な問題などさまざまです。

心不全を引き起こす可能性のある病気

僧帽弁閉鎖不全症

僧帽弁閉鎖不全症は、犬の心不全を起こす病気のうち、最も多く見られる疾患です。心臓の左側の部屋を仕切っているのが僧房弁で、心臓を流れる血液が一方通行になるように管理しています。僧房弁の働きが悪くなると、心臓内で血液の乱流が起こり、左心の負担が大きくなります。症状が悪化すると、肺水腫といった病気につながるおそれがあります。

心タンポナーデ

心タンポナーデとは、心臓を覆っている心膜と心臓の間に、血液や心のう液(しんのうえき:心臓と心膜の間にもともと存在する液体)などが何らかの原因で大量に貯留した状態です。

貯蓄した液体が心臓の働きを阻害し、心不全に陥ります。救急処置が必要な病気で、多くは犬の心臓にできた腫瘍が原因ですが、原因がはっきりしない特発性の場合もあります。

拡張性心筋症

拡張性心筋症は、心臓の筋肉が薄く伸びて心臓の内腔が拡張し、収縮する力が弱まって心機能が低下する病気です。大型犬に起こりやすいと言われています。

フィラリア症

フィラリア症は、蚊を介して、犬糸状虫(いぬしじょうちゅう)という寄生虫が犬の心臓近くの血管に寄生する感染症です。

動脈管開存症

動脈管開存症は、胎仔(たいじ:母体の中にいる出産前の子ども)のころに開通している大動脈と肺動脈をつなぐ血管である動脈管が、塞がらずに残ったままになる先天的な心疾患です。通常は、生まれて数時間で犬の動脈管は機能しなくなり、自然に塞がります。

肺動脈狭窄症(はいどうみゃくきょうさくしょう)

肺動脈狭窄症は、右心室と肺をつなぐ肺動脈が、生まれつき狭窄(狭くすぼまった状態)である先天的な心疾患です。血液が流れにくく、犬の右心に負担がかかります。

心不全にかかりやすい犬の特徴は?

心不全になりやすい犬種は、チワワ、マルチーズ、ヨークシャー・テリア、トイ・プードル、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルといった小型犬が挙げられます。特に、キャバリアは遺伝的な要因による発症が指摘されていて、若くして発症する可能性があります。

犬の心不全の治療法

犬の心不全の治療法と予防法

検査内容

聴診

犬の心音や呼吸音に異常がないかを確認します。

レントゲン検査

心臓は負担がかかると肥大化する特徴があるため、心臓の形やサイズに異常がないかを確認します。

超音波検査

犬の心臓内での血液の流れ、弁の様子、右心・左心に拡張がないかを確認します。

心電図

犬の心臓が正常に拍動しているか、不整脈がないかを確認します。

治療法

心不全の多くは根治しません。犬の病状が進行しないように、原因となっている心疾患に応じた管理を行います。

外科的治療

動脈管化依存症や肺動脈狭窄症といった犬の先天的な心疾患は、外科手術で改善が見込めます。また、犬の僧帽弁閉鎖不全症には、僧帽弁形成術といった手術が選択される場合があります。しかし、高度な設備と技術が必要になるため、手術ができる動物病院はまだ少なく、手術費用も高額です。

内科的治療

犬の心不全の原因として最も多い僧帽弁閉鎖不全症に対しては、内服薬による管理が一般的です。強心剤を用いて犬の心臓の働きを助けるほか、利尿剤で心臓の負担を下げます。犬の病気の進行度に合わせて内服薬の量や種類を調節する必要があるため、治療開始後も定期的な診察・検査が必要です。

無治療の場合

愛犬を無治療のまま放置すると、心不全が進行し、肺水腫や腹水がたまるなど命にかかわる状態に陥るおそれがあります。また、心タンポナーデといった緊急処置が必要な場合もあるため、様子を見ず、早急に動物病院を受診してください。

犬の心不全の予防法

犬の心不全を引き起こす可能性のある病気で取り上げたフィラリア症には、予防薬があります。予防シーズンは月一回、予防薬の投与が非常に効果的です。

しかし、それ以外で犬の心不全に対する明確な予防方法はありません。加齢に伴って心臓病が現れる場合があるため、日ごろから愛犬の様子をよく観察し、いつもと違う様子が見られた際は、早めに動物病院を受診しましょう。また、心臓病の早期発見・早期治療ができるように、定期検診をきちんと受けてください。

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犬の心臓の病気

犬種別の保険料

  • 純血犬は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。犬種の区分については、「犬種分類表」をご確認ください。
  • ミックス犬の保険料は、年齢と体重により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類します。詳しくは、「犬種分類表」の「ミックス犬」の欄をご確認ください。
  • 猫の場合は、品種によらず純血猫もミックス猫もすべて同じ保険料です。
ア行~カ行犬の品種分類表
ア行
カ行
サ行~ナ行
サ行
タ行
ナ行
ハ行~ワ行・その他
ハ行
マ行
ヤ行
ラ行
ワ行
ミックス犬(※1)
  • 8か月未満:6kg未満
  • 8か月以上:8kg未満
  • 8か月未満:6kg以上~20kg未満
  • 8か月以上:8kg以上~25kg未満
  • 8か月未満:20kg以上
  • 8か月以上:25kg以上

※ 「犬種分類表」に記載のない犬種の分類につきましては別途お問い合わせ下さい。

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記事監修:ペットメディカルサポート株式会社

動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。