犬の椎間板ヘルニアの症状と原因、治療法について

最終更新日:2024年03月19日

犬の椎間板ヘルニアってどんな病気?

椎間板とは背骨(脊椎)を構成しているたくさんの椎骨と椎骨の間にある薄い軟骨を差します。

椎間板は背骨を滑らかに曲げられるような役割を持っています。

椎間板ヘルニアとは、椎間板に強い力が加わり損傷し、椎間板の中の組織が飛び出てしまうことによって近くにある神経や脊髄を圧迫してしまい起こる病気です。

人にも見られますが、犬でもよく見られます。

ヘルニアとは体内にある臓器などが、本来のあるべき位置からとび出て(脱出や突出)しまった状態を指します。

どうして症状が出るの? 原因は?

犬の椎間板ヘルニアの一般的な原因として、激しい運動(昇降運動やジャンプなど)や加齢や肥満などによって椎間板の圧力を支えられず椎間板が損傷することによります。

軟骨異栄養性犬種では若年齢期から発症する傾向にあります。

どんな犬が椎間板ヘルニアになりやすいの?

加齢によって症状が現れることが多い

軟骨異栄養性犬種(以下にあげられる犬種類など)では若年齢期に発症しやすい

犬の保険について

犬の椎間板ヘルニアの症状とチェック項目

椎間板は首から腰まである背骨にありますので発症部位と進行状態によって症状は異なります。

椎間板ヘルニアの主な症状は痛みと麻痺です。

初期症状は患部のじんじんとした痛みにより幹部に触ると、犬が痛がるようになります。

例えば腰で発症している場合には犬の背中をなでると嫌がるようになります。

また、ほかに犬が足を引きずる、歩き方がおかしい、歩くのを嫌がるなどの症状が見られます。

頸部の椎間板ヘルニアでは頸部の痛みからはじまり、症状が悪化すると自分の力で立ち上がれなくなり、犬の四肢が完全に麻痺してしまったり、排尿・排便にも支障を来してしまったりすることがあります。

胸部や腰部の椎間板ヘルニアでは、犬の腰から背中にかけての痛みや後肢の麻痺などがおこり自力による排便・排尿が困難になることも多いです。

場合によっては車イスになってしまうこともあります。

背中から腰にかけての発症が一番多く見られ、犬の椎間板ヘルニアの全体の80%以上とも言われています。

症状の項で述べたような症状が、軟骨異栄養性犬種で見られたら、椎間板ヘルニアと疑ってください。

椎間板ヘルニアは早期発見が大事になります。重症になってしまうと犬が下半身不随になってしまうこともあります。

そうならないように少しでも疑いがあれば、早めにお近くの動物病院での診察を受けてください。

椎間板ヘルニアの治療方法について

犬の椎間板ヘルニアで最も大切なことは、安静にすることです。

生活環境では階段の上り下りなどの上下運動をさせないようにしましょう。 内科治療では、痛み止めや消炎剤が出ることが多いです。

これで症状が落ちつけばよいのですが、麻痺や排泄障害など重度の神経障害が出ているときには、外科手術で飛び出て神経を圧迫している椎間板物質を取り除くことがあります。

ヘルニアの程度などによって内科治療になるか外科治療になるかも異なります。治療方法の決定などは獣医師の判断が必要です。

麻痺などの神経障害の症状が出てから長時間経っていると、治療反応が悪いことがありますので何か変だと思ったら早く受診しましょう。

椎間板ヘルニアの治療にかかる費用

椎間板ヘルニアの内科治療であれば、飲み薬が主体となるので、治療費はお薬料金となります。 病院によって薬代は異ななりますが5,000円から30,000円ほどで良化傾向になることが多いでしょう。

ただし定期的な経過観察などが必要なため、併せてその都度検査費用が掛かる場合もあります。 すでに重度の神経障害が起きている、あるいは内科治療で良化しない場合は外科手術になります。

椎間板ヘルニアが起きている箇所が1か所なのか、複数個所に起きているのかによっても手術や入院期間は異なりますが、25万円から50万円が目安です。 外科治療に入るためにはCTなどの画像診断(10万~20万円)も必要となるケースが多いです。

費用は動物病院や症状の程度によって異なるため、最初に費用の見込みを確認しておくと安心です。

椎間板ヘルニアの予防方法

椎間板ヘルニアの予防としてもっとも大切なことは、肥満にならないことです。

体重の増加は関節に負担をかけます。脊椎も関節の連なりなので、肥満は椎間板ヘルニアのリスクを高くします。 さらに、背骨を縦にすることで脊椎に負担がかかるため縦抱きの抱っこも控えましょう。

もともと脊椎の形状がつぶれたようになっている先天性の問題が隠れていることもあります。

そのため、中高齢になったら一度は健康診断でレントゲン撮影をして脊椎の形状に問題がないかを確認しておくのもおすすめです。 階段の上り下りも背骨に負担がかかるので避けましょう。

自宅でもできる予防方法は?

中高齢になって、関節の機能低下が出始める7歳や8歳ごろからは、ソファなどに飛び乗ったり下りたりさせることは避けるべきです。

椎間板ヘルニアの好発犬種では、上下運動や段差は避けて、スロープを設置するなどが良いでしょう。 階段では元気に上り下りしていても、その積み重ねが椎間板ヘルニアの原因になっていることも多いため、飼い主さんが抱っこをして上り下りをするようにしてください。

関節に良い成分であるEPAやDHAが入っているサプリメントも有効ですので、活用しましょう。

また、体重増加は関節への負担をかけるため、椎間板ヘルニアになることや、一度完治した犬の再発につながりやすいです。肥満にならないよう体重管理をしましょう。

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記事監修:ペットメディカルサポート株式会社

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