犬の骨折

犬の骨折ってどんなケガ?

骨折は、体を構成している骨が、完全ないし不完全に折れてしまった状態です。比較的大きな外力が加わった後に、前足や後ろ足を引きずるようになったり、非常に痛がるようになったります。

犬では橈尺骨骨折が最も多く見られます。 橈尺骨(とうしゃくこつ)とは、犬の前足を構成する橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)からなる手首から肘にかけての長い骨のことです。

犬の骨折の原因と症状

犬の保険について

骨折の原因は?

1979年の犬の骨折284例を検証した報告(2)では、交通事故が204例の76.9%で最多の原因とされています。続いて、高い所から落ちたという報告が12.8%の34例、何かが落ちてきたりドアに挟まれたりするのが16例で1.5%、動物同士のけんかや咬傷事故などが2.3%の6例の順番でした。この結果から、骨折は大きな外力により生じる外傷性であることがわかります。

このほか身近な事例として、飼い主さんが抱き上げているとき、そして、食卓のようなそれほど高くない場所に犬を載せていて、油断してそこから飛び降りたときに骨折してしまったという例が意外に多いのです。

犬の骨折の原因まとめ

  1. 交通事故
  2. 高所からの落下
  3. ドアに挟まれる
  4. 動物同士のけんか

上記の中には含まれていませんが、骨にできる「がん」(「骨肉腫」が最も多い)により、骨の強度が低下することで骨折することがあります。このような骨折を「病的骨折」呼びます。 また、成長期の犬に肉のみを与えていると、体の中のリンが多くなる高リン血症になり、骨からカルシウムが失われ、骨折しやすくなる栄養性骨折もまれですが起こります。

どんな犬が骨折しやすいの?

若く、小さい犬種

犬の骨折2,385,508例という膨大な症例を検証した疫学調査では、約80%の症例が3歳未満でした。つまり、比較的若い犬で骨折が多いということです(1)。また、2,385,508頭中、1,203,203頭(50.4%)が、トイ犬種、または小型犬種でした。これは、比較的小さい犬で骨折が多いということを表します。特に、トイ・プードルの橈尺骨骨折は、10,000頭に18.3頭と非常に起こりやすい骨折です。

犬の骨折の特徴とチェック項目

犬の骨折の疫学調査では、前腕部という手首から肘にかけての骨である橈尺骨骨折が最も多く、一万頭に7.2頭の確率で発生します。その次が、脛(すね)の骨である脛骨(けいこつ)骨折が多く4.3頭、続いて太ももの大腿骨が3.8頭、頭蓋骨の2.3頭、上腕骨の1.4頭、骨盤と背骨の各0.3頭、肩甲骨が最も少なく0.1頭です。

犬の骨折部位ランキング

  1. 橈尺骨
  2. 脛骨
  3. 大腿骨
  4. 頭蓋骨
  5. 上腕骨
  6. 骨盤
  7. 背骨

以上から、犬の骨折の中で橈尺骨骨折が最も多いことがわかります。

骨の表面には骨膜という膜があります。この膜には神経が走っており、膜が破れる際に神経が傷害されるため、骨折は非常に痛みが強いのが特徴です。

犬の骨折の特徴

  • 前足や後ろ足をかばうようになる
  • 折れた足はとても痛みが強い

犬の骨折はどうやって診断されるの?

まずは犬の歩き方を確認し、体重をかけることに忌避感(きひかん:きらって避けること)の見られる足を特定します。また、触診、つまり触って折れている部分を特定します。

確定診断をつけるためにはレントゲン検査を行います。レントゲン検査で注意しなければならないのは、折れている骨を一方向からのみレントゲンを撮ってはならないことです。レントゲン画像は影絵で重なっている部分を判断することができません。このため、見落としがないように必ず正面と横からレントゲン写真を撮影し、重なっている部分を別方向から確認する必要があります。

さらに、反対側の足も同様に撮影する必要があります。これは正常な形を把握することで、治療する際の目標とするためです。

犬の骨折の治療にはどんな方法があるの?

犬の骨折の治療と予防

骨折は、非観血的整復法と観血的整復法の2種類があります。

非観血的整復法

非観血的整復法とは、骨折をつなげる方法です。全身麻酔下で骨折した足に牽引(けんいん:引っ張こと)をかけて、骨折部をつなぎ、整復します。整復が達成された後に、ギブス包帯や添え木により固定(外固定)を維持します。

この方法が達成できた場合、切らずに直すことができるので、理想的で人の患者の多くの骨折はこの方法で治療されます。特に、肘と膝より下の部分でこの方法は効果的です。ギブスも添え木もこの部位が適用しやすいと言えます。しかし、犬の場合は、協力が得られないので、また、犬は痛くなければ動き回ってしまい術後管理が非常に難しいので、このような方法はあまり期待できません。

観血的整復法

観血的整復法は、多くの動物の骨折症例で選択される方法です。骨折部を切り開き、骨折部を肉眼で確認しながら、合わせてつなぎます。そして、整復されている状態をいくつかのタイプの固定器具、インプラントで維持します(内固定)。特に不安定な骨折、または複雑骨折、時間が経っている骨折、そして、関節の表面に骨折が入り込んでいる骨折の場合は行う必要があります。

特に、関節内骨折は、かみ合わせが悪いと軟骨が削れやすくなり、変形性関節症が不可逆的(もとに戻らない)に進んでしまうため、しっかりと合わせる必要があります。そのため、観血的整復法が必要です。

固定に使用するインプラントは、プレートスクリュー(板とねじ)、Kワイヤー(針金)、創外固定といった器具が挙げられます。いずれの方法を用いたとしても、骨折部には固定強度を上回る力が加わると破綻してしまいます。 そのため、固定後は犬にソファやベッドへの飛び降りや階段の上り下り、フローリングでの生活、リードをつけない状態で走らせることは避けなければなりません。また、犬の不自然な動きを避けるために、完全に骨がくっつくまでは、可能であればケージに入れることがいいでしょう(特に、就寝時や外出時に犬をひとりにする場合)。

さらに、骨に力がかからないと、骨はくっつきません。骨には、力がかかる所に骨が形成されるという性質があります(これを「Wolffの法則」と呼ばれます)。そのため、固定強度を上回らない程度の負荷をかける目的で、リード制限した状態での散歩は行った方がいいでしょう。

どうやって予防したらいいの?

犬を高い所に上らせない

原因の項目でも述べたとおり、犬の骨折は高い所から落ちることで発生する機会が多くあります。そのため、犬を抱き上げる際には、細心の注意を払うこと、また、高所に上がらせないようにして、骨折の原因から避けるというのが最善の予防法です。

さらに、犬が自力でソファやベッド、階段の昇降を行うのも骨折のリスクが高まります。リスクを避けるためにも、なるべくそうしたことをさせないようにしつけをするほうがいいでしょう。 また、まれですが、高リン食で骨強度が低下し、骨折が起こることがあるため、犬に栄養バランスがいい「総合栄養食」を与えるといった工夫が必要です。

参考

  1. Prevalence of Bone Fractures in Dogs & Cats.
  2. Pillips IR.; A survey of bone fractures in the dog and cat. J Small Anim Pract 1979, 20: 661-774.

そのほか気になる犬の骨・関節の疾患については、獣医師監修の「犬の疾患 骨・関節の病気」をご覧ください。

犬の保険について

ペット保険の契約対象となる犬種・品種について

当社のペット保険は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。
犬種の区分については、「ペット保険取り扱い犬種分類表」をご覧ください。

ミックス犬の保険料は、下記のように設定します。

  • 両親の犬種が共にわかっているミックス犬の場合は、いずれか大きい型に該当する保険料となります。
  • 片方の親の犬種のみわかっている場合は、わかっている親の型に該当する保険料となります。
  • 当社の「ペット保険取扱の犬種分類表」に記載のない犬種の区分については、別途お問合わせください。

なお、猫の保険料については、品種による違いはありません。

PS保険エントランス

記事監修:ペットメディカルサポート株式会社

動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。