犬の疥癬症の症状と原因、治療法について

犬の疥癬症の症状

犬の疥癬症の症状と原因

犬の疥癬症(かいせんしょう)は、イヌセンコウヒゼンダニが感染して発症する病気です。

イヌセンコウヒゼンダニは伝染性が強く、人間にも感染するため注意が必要です。イヌセンコウヒゼンダニは犬の表皮内に感染し、強いかゆみを伴う皮膚病を引き起こします。

イヌセンコウヒゼンダニの大きさは250~300μmと非常に小さく、肉眼での確認は困難です。犬の表皮内に掘ったトンネル(疥癬トンネル)で生活し、イヌセンコウヒゼンダニのメスはトンネル内で産卵します。孵化(ふか)した幼虫はフケや垢(あか)などを食べて成虫になります。

犬の疥癬症は、角化型疥癬とアレルギー型疥癬の2種類に分けられます。角化型皮膚炎は多量のフケを伴い、アレルギー型疥癬ではアトピー性皮膚炎のような皮膚炎が見られます。

疥癬症を発症すると、犬の全身の皮膚に次のような症状が見られる場合があります。特に、顔面や耳の周り、肘、前足や後ろ足、お腹周りなどの部位に症状が見られる場合は注意が必要です。

  • かゆみがある
  • 皮膚に赤いポツポツや発疹(ほっしん)が見られる
  • 脱毛
  • かさぶた
  • 皮膚が分厚くなる
  • 体臭がひどい

こんな症状が見られたらすぐに動物病院を受診

犬に次のような症状が見られる場合は、重症化や慢性化が疑われます。なるべく早く動物病院で獣医師の診察を受けましょう。

  • 皮膚のかゆみや赤みなどの皮膚症状が治らない
  • 一日中体をかゆがる
  • 夜も眠れないほど体をかゆがる

犬にとってかゆみは強いストレスで、他の病気を誘発する可能性もあるため注意が必要です。また、疥癬症は慢性化すると細菌の二次感染も生じ、さらに悪化するおそれがあります。

犬の疥癬症の原因

犬の疥癬症は、イヌセンコウヒゼンダニにすでに感染している動物と接触したり、イヌセンコウヒゼンダニに汚染されたものに接触したりすると感染します。

主な感染経路として、以下のふたつが挙げられます。

犬が多く集まる施設を利用する場合

多頭飼育の場合や、ペットホテル、ドッグランといった犬が多く集まる施設を利用する場合は注意が必要です。また、使用するブラシやバリカンなどを共有することも避けてください。

野生動物が身近にいる環境で犬を外飼いしている場合

野生動物が身近にいる環境で外飼いをしている犬は、疥癬症にかかっている野生動物との接触で伝染するケースもたまに見られます。

毛の抜けたタヌキやキツネ、そのほかの野生動物など疥癬症が疑われる動物が近所で見られる場合には、接触を避ける工夫をしましょう。

疥癬症になりやすい犬の特徴は?

外飼いの犬や集団で飼育されている犬は、疥癬症の感染リスクが高まります。特に、成犬に比べて免疫力がない若齢犬は疥癬症に感染しやすいため、ほかの動物との接触には気を付けてあげましょう。

ダニが侵入した部分の皮膚の角化が進み、非常に多くのダニが生息してしまうことがあります。場合によっては数万匹のダニが寄生していることもあります。

免疫不全の犬が疥癬症に感染し、イヌセンコウヒゼンダニが侵入した部分の皮膚の角化が進むと、非常に多くのダニが生息し、数万匹が寄生する可能性があります。放置すると、ほかの犬や人間などへの強力な感染源となるため注意が必要です。

犬の疥癬症の治療法

犬の疥癬症の治療法と予防法

検査内容

皮膚搔爬検査(ひふそうはけんさ)

皮膚症状が見られる犬の皮膚をメスの刃や鋭匙(えいひ:先端がスプーン状の器具)などを用いて削り取り、イヌセンコウヒゼンダニの虫体や卵がないか顕微鏡で観察します。1回の検査では見つからない場合が多いため、繰り返し検査を行ったり、虫体や卵が見つからなくても試験的に薬を投与したりする場合があります。

治療法

犬が疥癬症と診断されたら、角質溶解シャンプーを使って余分なフケや角質を除去し、さらに駆虫薬を投与します。

駆虫剤による治療法

犬の駆虫薬にはさまざまな種類がありますが、イベルメクチン系の薬はコリー犬で遺伝的に副作用が出やすいため注意が必要です。

ノミやマダニの駆虫薬の中で、イヌセンコウヒゼンダニに効果がある薬は限られているため、自己判断での使用は避け、獣医師に相談しましょう。

また、フィラリア症の予防効果もあるタイプの駆虫薬の場合、犬に使用する前にフィラリア症の検査が必要です。にすでに犬がフィラリア症に感染していて、血液中にミクロフィラリアがいる状態で駆虫薬を使うと、重度の副作用が生じる場合があるため、動物病院で必ず事前に検査を受けましょう。

イヌセンコウヒゼンダニの駆虫と並行して、多頭飼いの場合は再感染や蔓延を防ぐために、同居している犬たちにも予防的に駆虫薬を投与してください。また、飼育ケージやタオルなどを常に清潔に保ち、飼育環境の整備も併せて行いましょう。

犬の疥癬症が慢性化し、細菌の二次感染を伴っている場合は、必要に応じて抗菌薬も投与します。細菌性の皮膚病は、慢性化すると治療に長期間を要する場合があります。

また、犬の疥癬症は、症状が良くなったからといって自己判断で薬を中止すると、高い確率で再発します。抗菌薬治療を行う場合は、獣医師の指示に従いましょう。

犬の疥癬症の予防法

犬の疥癬症の予防法は、イヌセンコウヒゼンダニへの感染を避けるために飼育環境を整える方法と、予防薬を投与する方法のふたつが挙げられます。

飼育環境

愛犬に野生動物との接触が考えられる場合は、外飼いから室内飼育に切り替えましょう。特に、毛の抜けた野生動物が近所に出没している場合は注意が必要です。

多頭飼育の場合、疥癬症のような症状が見られる犬は隔離し、ほかの犬に伝染するのを予防しましょう。疥癬症が疑われる犬に触る際にはゴム手袋を装着し、さらに触れた後には手をよく洗いましょう。

予防薬

イヌセンコウヒゼンダニに効果があるタイプのノミダニ予防薬を愛犬に毎月投与すると、疥癬症の予防が可能です。

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犬の皮膚・アレルギーの病気

犬種別の保険料

  • 純血犬は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。犬種の区分については、「犬種分類表」をご確認ください。
  • ミックス犬の保険料は、年齢と体重により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類します。詳しくは、「犬種分類表」の「ミックス犬」の欄をご確認ください。
  • 猫の場合は、品種によらず純血猫もミックス猫もすべて同じ保険料です。
ア行~カ行犬の品種分類表
ア行
カ行
サ行~ナ行
サ行
タ行
ナ行
ハ行~ワ行・その他
ハ行
マ行
ヤ行
ラ行
ワ行
ミックス犬(※1)
  • 8か月未満:6kg未満
  • 8か月以上:8kg未満
  • 8か月未満:6kg以上~20kg未満
  • 8か月以上:8kg以上~25kg未満
  • 8か月未満:20kg以上
  • 8か月以上:25kg以上

※ 「犬種分類表」に記載のない犬種の分類につきましては別途お問い合わせ下さい。

PS保険

記事監修:ペットメディカルサポート株式会社

動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。