犬の尿毒症の症状と原因、治療法について
最終更新日:2024年07月09日
本コンテンツは獣医師2名による確認を行い、制作をしております。
犬の尿毒症の症状
腎臓は、血液を濾過(ろか)し、余分な水分や老廃物などを尿として体外へ排出するのが主な役割です。尿の生成には大量の血液が必要で、全体の20%以上の血液が腎臓に供給されています。
腎臓の機能が低下すると尿が生成されなくなるため、尿として排出されるはずの老廃物が犬の体内に蓄積されて、急性腎不全や慢性腎不全を引き起こします。腎不全の末期症状として中毒症状が現れた状態を尿毒症と言います。
次のような症状が犬に見られる場合、尿毒症が疑われます。
- 口が臭い(アンモニア臭がする)
- 食欲がない
- 元気がない
- 脱水が見られる
- 口腔内粘膜や結膜などの血色が悪い
- 嘔吐(おうと)
- 下痢
こんな症状が見られたらすぐに動物病院を受診
次のような症状が犬に見られる場合、尿毒症が進行している可能性があります。
- けいれんや発作などの神経症状
- 震え
- 血が混じった下痢や真っ黒な下痢
- 尿が出ない
- 重度の体重減少
- 呼吸が速い
- 意識障害
犬の尿毒症は進行が早く、死亡率が高い病気です。尿毒症を疑う症状が見られた場合はもちろん、前段階である急性腎不全や慢性腎臓病を疑う症状(後述します)が見られた場合も、なるべく早く動物病院を受診しましょう。
犬の尿毒症の原因
尿毒症は腎機能障害により、尿として排出されるはずの老廃物が犬の体内に蓄積されて発症します。腎機能障害の原因として、次のような病気が考えられます。
尿毒症を引き起こす可能性のある病気
- 急性腎不全
- 慢性腎臓病
- 尿路結石
- 膀胱腫瘍(ぼうこうしゅよう)
急性腎不全
腎臓に供給される血流の減少や濾過される血液量の減少によって、尿量が少なくなったり、あるいはまったく尿が出なくなったりする病気です。犬に元気消失や食欲不振、嘔吐、下痢の症状が現れます。
急性腎不全は、以下のような要因によって引き起こされます。
- 低血圧
- 心不全
- レプトスピラなどの細菌感染症
- 誤食
- 中毒
- 免疫疾患
- 長時間の麻酔
慢性腎臓病
腎臓の機能が継続的に低下していく病気で、一度失われた腎機能は元には戻りません。犬の慢性腎臓病の原因には、次のような要因が挙げられます。
- 先天性・家族性
- 免疫疾患
- レプトスピラなどの細菌感染症
- 尿路結石
- 中毒
- 慢性尿路感染症
- 腎毒性物質
- 膀胱の腫瘍
犬の慢性腎臓病は、症状ごとに4つのステージに分類されます。ステージ1~2ではほとんど症状は見られない、または軽度の症状しかありません。ステージ3になると食欲不振や元気消失、貧血などの症状が現れます。さらに症状が進行すると、老廃物の異常蓄積や電解質異常などが起こり、腎不全の末期症状として尿毒症を発症する場合があります。
尿路結石症
犬の腎臓から尿管、膀胱、尿道の中に結石ができる病気です。尿の通り道がふさがれ、排尿できなくなるため、尿毒症を引き起こす場合があります。
膀胱の腫瘍
犬の膀胱にできた腫瘍が尿の通り道をふさぎ、尿毒症を引き起こす場合があります。
尿毒症にかかりやすい犬の特徴は?
慢性腎臓病は、犬種にかかわらず発症する可能性がある病気ですが、高齢の犬に多く見られます。また、塩分やたんぱく質過多のような食生活を続けると、発症リスクが高まると言われています。
犬の尿毒症の治療法
検査内容
血液検査
尿毒症の犬は、BUN(尿素窒素)やクレアチニン、電解質、乳酸などの数値に異常が見られます。貧血やほかの臓器が障害を受けている場合、あらゆる数値が上下します。
尿検査
原疾患(おおもとの病気)として腎臓病がある場合、尿たんぱくや潜血が見られたり、尿の比重が低かったりします。尿の量は少なく、ほとんど出ない犬もいます。
エコー検査
犬の腎臓の萎縮や腫大、構造の変化、膀胱の腫れや尿の蓄積、腫瘍の有無などを確認します。
治療法
点滴
犬に点滴で水分補給を行い、腎臓の血流を増やします。犬に脱水症状が起きている場合、脱水の改善も行います。
利尿剤
尿が作られていない場合には、利尿剤により尿を増加させ、犬の体外へと老廃物の排出を促します。
血液透析
血液透析により、水・電解質代謝と酸塩基平衡の異常を改善して、犬の命を維持します。
消化器症状の改善
吐き気や下痢が犬に見られる場合、吐き気止めや下痢止めなどを症状に合わせて使用します。
無治療の場合
尿毒症にかかったまま犬に無治療で放置すると、けいれんや発作などの神経症状が現れ、多くの場合は数日以内に命を落とします。
犬の尿毒症の予防法
急性腎不全や慢性腎臓病の予防が、犬の尿毒症の予防につながります。急性腎不全や慢性腎臓病は、レプトスピラ症や中毒物質の誤食に気を付けると、発症リスクを軽減できます。
レプトスピラ症の予防
年1回の混合ワクチンの接種を愛犬に行うと予防が可能です。ただし、レプトスピラ症の予防が可能な混合ワクチンと、予防ができない混合ワクチンがあります。レプトスピラ症の予防ができるのか、混合ワクチンを接種する際に獣医師に確認しましょう。
中毒物質の誤食の予防
中毒物質の誤食を避けるために、日ごろから拾い食いをしないように愛犬をしつけましょう。塩分やたんぱく質の過剰摂取は犬の腎臓の負担になるため、低塩分や低たんぱく質に配慮されたドッグフードを与えると、慢性腎臓病の予防効果が期待できます。
初期の慢性腎臓病は犬に症状がほとんど現れないため、尿毒症が悪化して初めて気付くケースが多く見られます。定期的に愛犬の血液検査を行い早期に腎臓病を発見できると、尿毒症の進行を防げます。愛犬の体調に異常がなくても、年1回は血液検査や尿検査を受けると安心です。
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犬の泌尿器系の病気
犬種別の保険料
- 純血犬は、犬種により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類され、それぞれ保険料が異なります。犬種の区分については、「犬種分類表」をご確認ください。
- ミックス犬の保険料は、年齢と体重により「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類します。詳しくは、「犬種分類表」の「ミックス犬」の欄をご確認ください。
- 猫の場合は、品種によらず純血猫もミックス猫もすべて同じ保険料です。
ア行~カ行犬の品種分類表
ア行
- アーフェンピンシャー
- アイリッシュ・ウルフハウンド
- アイリッシュ・セター
- 秋田
- アフガン・ハウンド
- アメリカン・コッカー・スパニエル
- アメリカン・スタッフォードシャー・テリア
- アメリカン・ピット・ブルテリア
- アメリカン・フォックスハウンド
- アラスカン・マラミュート
- イタリアン・グレーハウンド
- イングリッシュ・コッカー・スパニエル
- イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル
- イングリッシュ・セター
- イングリッシュ・ポインター
- ウィペット
- ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
- ウェルシュ・コーギー・カーディガン
- ウェルシュ・コーギー・ペンブローク
- ウェルシュ・スプリンガー・スパニエル
- ウェルシュ・テリア
- エアデール・テリア
- オーストラリアン・キャトル・ドッグ
- オーストラリアン・ケルピー
- オーストラリアン・シェパード
- オーストラリアン・シルキー・テリア
- オーストラリアン・テリア
- オールド・イングリッシュ・シープドッグ
カ行
- カーリーコーテッド・レトリーバー
- 甲斐
- カニーンヘン・ダックスフンド
- キースホンド/ジャーマン・ウルフスピッツ
- 紀州
- キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
- キング・チャールズ・スパニエル
- グレート・デーン
- グレート・ピレニーズ
- グレーハウンド
- ケアーン・テリア
- ケリー・ブルー・テリア
- コーイケルホンディエ
- コーカサス・シープドッグ
- ゴードン・セター
- ゴールデン・レトリーバー
- コリア・ジンドー・ドッグ
- コリー
サ行~ナ行
サ行
- サモエド
- サルーキ
- シー・ズー
- シーリハム・テリア
- シェットランド・シープドッグ
- 四国
- 柴(小柴・豆柴も含む)
- シベリアン・ハスキー
- シャー・ペイ
- ジャーマン・シェパード・ドッグ
- ジャーマン・ポインター
- ジャイアント・シュナウザー
- ジャック・ラッセル・テリア
- スカイ・テリア
- スキッパーキ
- スコティッシュ・テリア
- スタッフォードシャー・ブル・テリア
- スタンダード・シュナウザー
- スタンダード・ダックスフンド
- スタンダード・プードル
- セント・バーナード
タ行
- ダルメシアン
- ダンディ・ディンモント・テリア
- チェサピーク・ベイ・レトリーバー
- チベタン・スパニエル
- チベタン・テリア
- チベタン・マスティフ
- チャイニーズ・クレステッド・ドッグ
- チャウ・チャウ
- チワワ
- 狆(ちん)
- トイ・プードル
- トイ・マンチェスター・テリア
- ドーベルマン
- ドゴ・アルヘンティーノ
- 土佐
ナ行
- ナポリタン・マスティフ
- 日本スピッツ
- 日本テリア
- ニューファンドランド
- ノーフォーク・テリア
- ノーリッチ・テリア
ハ行~ワ行・その他
ハ行
- バーニーズ・マウンテン・ドッグ
- パグ
- バセット・ハウンド
- バセンジー
- パピヨン
- ハリア
- ビアデッド・コリー
- ビーグル
- ビション・フリーゼ
- ブービエ・デ・フランダース
- プーミー
- プーリー
- プチ・バセット・グリフォン・バンデーン
- プチ・バラバンソン
- フラットコーテッド・レトリーバー
- ブリタニー・スパニエル
- ブリュッセル・グリフォン
- ブル・テリア
- ブルドッグ
- ブルマスティフ
- フレンチ・ブルドッグ
- ペキニーズ
- ベドリントン・テリア
- ベルジアン・シェパード・ドッグ
- ボーダー・コリー
- ボーダー・テリア
- ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグ
- ボクサー
- ボストン・テリア
- 北海道
- ポメラニアン
- ポリッシュ・ローランド・シープドッグ
- ボルゾイ
- ボロニーズ
- ホワイト・シェパード・ドッグ
マ行
- マスティフ
- マルチーズ
- マンチェスター・テリア
- ミディアム・プードル
- ミニ・オーストラリアン・ブルドッグ
- ミニチュア・シュナウザー
- ミニチュア・ダックスフンド
- ミニチュア・ピンシャー
- ミニチュア・プードル
- ミニチュア・ブル・テリア
ヤ行
ラ行
- ラージ・ミュンスターレンダー
- ラサ・アプソ
- ラブラドール・レトリーバー
- レークランド・テリア
- レオンベルガー
- ローデシアン・リッジバック
- ロットワイラー
ワ行
ミックス犬(※1)
- 8か月未満:6kg未満
- 8か月以上:8kg未満
- 8か月未満:6kg以上~20kg未満
- 8か月以上:8kg以上~25kg未満
- 8か月未満:20kg以上
- 8か月以上:25kg以上
※ 「犬種分類表」に記載のない犬種の分類につきましては別途お問い合わせ下さい。
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記事監修:ペットメディカルサポート株式会社
動物病院での実務経験をもつベテラン獣医師および動物看護師が多数在籍するペット保険の少額短期保険会社。スタッフ全員が動物好きなのはもちろんのこと、犬や猫といったペットを飼っている者も多いので、飼い主様と同じ目線に立ったサポートに取り組んでいます。